キッチンカー開業の資金と許可の取り方|補助金活用で初期費用を抑える

「お店を持たずに、自分の料理で勝負したい」
「副業として週末だけ営業したい」
「初期投資を抑えて独立したい」
そんな人にいま注目されているのが**キッチンカー(移動販売車)**です。
ここ数年でフードトラック市場は急速に拡大し、コーヒー、クレープ、からあげ、ラーメン、スムージーなど、多様なジャンルで参入が進んでいます。
一方で、実際に開業を考えると「資金はいくら必要?」「どんな許可が要る?」「補助金って使えるの?」という壁に直面する方も多いはずです。
本記事では、初期費用の目安・営業許可の取り方・補助金を活用した費用削減術を中心に、
これからキッチンカーを始めたい方が知っておくべきすべてのステップを解説します。
この記事の監修
中小企業診断士 関野 靖也
大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。
中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士
目次
第1章 キッチンカー開業が注目される理由
1-1. 初期費用が安く、リスクが低い
一般的な飲食店の開業には、店舗物件取得費・内装工事・設備投資などを含めて1,000万〜2,000万円が必要です。
一方、キッチンカーは200万〜400万円前後からスタートでき、出店場所も柔軟に選べるのが特徴です。
また、売上が低い時期はイベント出店を減らすなど、可変的に経営できる点も大きなメリット。
小規模事業者や副業層が低リスクで始められる“軽ビジネスモデル”として注目されています。
1-2. コロナ以降、自治体・企業イベントが急増
屋外イベントやキッチンカーフェスが全国各地で開催され、出店需要は年々増加しています。
オフィス街や大学構内、工事現場へのランチ出店など、固定契約型の営業も増えており、
**「固定費をかけずに店舗のように安定売上を得る」**ことも可能になりました。
第2章 キッチンカー開業に必要な初期資金の内訳
開業資金は販売メニュー・車種・営業地域によって異なりますが、ここでは一般的な費用目安を紹介します。
費用項目
目安金額/内容
車両購入費
約100〜250万円
軽トラック・中古車をベースに改造。新車ベースだと300万円以上も。
設備・改装費
約50〜100万円
シンク、給排水タンク、ガスコンロ、冷蔵庫などの設備工事。
保健所申請・営業許可費用
約2〜5万円
各自治体の食品営業許可取得に必要。
食材・備品購入費
約10〜20万円
初期の仕入れ・容器・調理器具など。
広告・デザイン費
約5〜15万円
ロゴ、メニュー看板、SNS広告など。
開業予備資金
約30〜50万円
イベント出店料、燃料費、駐車場代などの運転資金。
合計:約200〜400万円前後が一般的な目安です。
キッチンカーは「車両」と「営業許可」があれば営業できるため、店舗に比べて初期コストが圧倒的に低く抑えられます。
第3章 開業に必要な「営業許可」と「資格」
3-1. 食品営業許可
キッチンカーで食べ物を販売するには、各自治体の保健所から営業許可を取得する必要があります。
申請内容は自治体によって若干異なりますが、基本的には以下の要件が求められます。
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シンク(給水・排水タンク40L以上)
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冷蔵庫・温蔵設備
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手洗い設備・消毒液
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屋根付きの車両構造
※地域によっては、「調理行為を伴わない販売(例:既製品ドリンク)」なら簡易許可で済む場合もあります。
3-2. 営業許可の申請手順
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車両改装を済ませ、図面と設備仕様を準備
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管轄の保健所に事前相談
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現地確認・審査
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営業許可証の交付(発行まで1〜3週間)
費用は地域によりますが15,000〜25,000円程度が一般的です。
3-3. 食品衛生責任者の資格
食品を扱うには、店舗同様に**「食品衛生責任者」を設置する必要があります。
講習(1日・約6〜7時間)を受けるだけで取得でき、受講料は約1万円前後**です。
3-4. その他に必要な届け出
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消防署への火気使用届出(ガス使用車の場合)
-
移動販売届出(自治体によって必要)
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営業地域の道路使用許可(公道で営業する場合)
これらは「地域ごとに異なる」ため、営業予定地の自治体に事前確認が欠かせません。
第4章 補助金・助成金を活用して初期費用を抑える
4-1. 創業補助金(特定創業支援事業)
中小企業庁が実施する創業補助金は、新たに創業・開業する個人・法人を対象とした支援制度です。
対象経費は設備・車両・広報費などで、最大**200万円(補助率1/2)**まで支給されます。
【主な対象】
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新たに開業する個人事業主・法人
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事業計画書を作成できること
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市区町村や商工会議所の「創業支援事業」に参加
採択率は毎年30〜40%程度で、計画性と実現性の高い事業ほど採択されやすい傾向があります。
4-2. 小規模事業者持続化補助金
飲食店・移動販売・小売など小規模事業者向けの代表的な補助金です。
キッチンカー開業では、広告費・設備費・車両改装費などに活用できます。
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補助上限:50万円(※条件により最大200万円)
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補助率:経費の2/3以内
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対象経費:車両改装・ロゴ制作・HP制作・チラシ・メニュー看板など
商工会議所で事業計画書を一緒に作成する仕組みのため、初心者でも取り組みやすい補助金です。
4-3. ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
すでに飲食業を営んでいて、2号店や新規展開としてキッチンカーを導入する場合はこちらが有効です。
中小企業の新事業展開を支援する制度で、**最大1,000万円(補助率1/2〜2/3)**の支援が可能。
車両改造や厨房設備、販売促進システムなど“新たな試み”が条件になります。
4-4. 自治体の創業支援・設備導入補助
全国各地の自治体では、独自にキッチンカー支援制度を設けています。
例:東京都・大阪府・愛知県などでは「創業支援補助金」や「地域活性化型補助金」で車両購入費の一部を補助。
また、女性・若手・移住起業者向けの加点制度がある地域も増えており、
「地域で始めるキッチンカー」ほど採択されやすい傾向があります。
4-5. 補助金申請の基本ステップ
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どの補助金に当てはまるか確認(創業か既存か)
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事業計画書を作成(目的・市場分析・収支計画)
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商工会議所・自治体の支援を受ける
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応募→審査→採択後に経費支出→実績報告
ポイントは、「開業してから申請」では遅いということ。
開業前(または直後)に申請準備を始めることが重要です。
第5章 開業後の安定経営と集客のポイント
5-1. 売上を安定させる3つの柱
キッチンカーは天候やイベントに左右されやすいため、
「出店機会の分散」が安定経営の鍵になります。
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平日:オフィス街・大学構内などの定期契約
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週末:イベント・フェス出店
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雨天:テイクアウト提携・オンライン販売
複数の販路を持つことで、売上の波を平準化できます。
5-2. キャッシュレス・SNS連携を標準装備に
近年は「現金NGイベント」も増えており、
**キャッシュレス決済端末(SquareやAirPAYなど)**の導入は必須です。
また、Instagram・LINE公式アカウントと連携し、
出店情報やメニュー更新を配信することで、リピーターの獲得につながります。
第6章 SNS・AI時代のキッチンカー集客戦略
6-1. SNSで“出店を探してもらう”時代
「#キッチンカー」「#ランチ出店」「#○○市カフェ」など、
SNS検索で見つけてもらう動線づくりが最重要です。
Instagramでビジュアル重視の投稿、TikTokでライブ感のある動画、
LINEで出店スケジュール配信という組み合わせが効果的です。
6-2. AIで投稿効率を上げる
AI画像生成や文章支援ツールを使えば、メニュー写真の加工や投稿文作成も効率化できます。
また、Googleスプレッドシートと連携し「出店スケジュール自動投稿」を設定する企業も増えています。
“人手をかけずに継続できる発信体制”を整えることが、長期的な集客の秘訣です。
まとめ
キッチンカー開業は、小さく始めて大きく育てられる飲食ビジネスです。
補助金を活用すれば、初期費用を100万円以上抑えることも可能。
重要なのは、「許可・資格を正しく取得すること」と、「事業計画を立てて公的支援を活用すること」。
そして、開業後はSNSでファンを育て、LINEで固定客を囲い込む。
これが、低リスク・高継続のキッチンカー経営モデルの王道です。

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