GX・脱炭素経営に使える補助金まとめ【2025年最新】

地球温暖化対策が急務となる中、企業に求められているのがGX(グリーントランスフォーメーション)=脱炭素経営への転換です。
脱炭素化は単なる環境対応ではなく、企業の競争力・ブランド力・資金調達力を左右する経営課題になっています。

一方で、再エネ設備や省エネ機器への投資には多額のコストがかかるため、補助金を活用した賢い導入計画が重要です。

この記事では、**中小企業でも活用できるGX・脱炭素関連補助金(2025年最新情報)**をまとめて解説します。
それぞれの特徴・対象経費・申請ポイントを整理し、「どれを使うべきか」が分かる内容にしています。

この記事の監修

中小企業診断士 関野 靖也

大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は資金調達の支援実績300件以上、事業計画書の策定支援実績500件以上など中小企業支援に特化。中小企業にとってメリットの大きい経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用も支援。

中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士
応用情報処理技術者、Linux Professional、ITIL Foundation etc

目次

第1章 GX・脱炭素経営とは?いま注目される背景

GX(Green Transformation)とは、企業が脱炭素化・省エネ化・再エネ化を進め、経済成長と環境対応を両立させる変革のことです。

 

GXが経営課題になった理由

  • 2050年カーボンニュートラル宣言に伴い、企業にもCO₂削減目標が求められる

  • 取引先(大企業・自治体)からの脱炭素対応要請が増加

  • ESG投資・グリーン金融の拡大により、**「環境経営をしていない企業は選ばれない」**時代へ

中小企業でも、照明・空調・車両・生産ラインの省エネ化太陽光・蓄電池の導入が進んでいます。

しかし、その初期投資を支えるのが、今回紹介する補助金制度です。

第2章 GX関連補助金の全体像と選び方

GX(グリーントランスフォーメーション)関連の補助金は、経済産業省・環境省・自治体などが実施しており、目的や対象がそれぞれ異なります。

自社が「どんな形で脱炭素化を進めたいか」によって、選ぶべき補助金は変わります。

たとえば、工場設備や生産ラインの省エネ化・更新を行う企業には、経産省の「中小企業等GX投資促進補助金」や「省エネルギー投資促進支援事業」が有効です。

高効率機器や断熱改修、エネルギーマネジメントシステム(EMS)などが対象となり、投資額が大きいほど補助金額も増えます。

一方、太陽光発電・蓄電池・EV充電器などの再エネ導入を進めたい場合は、環境省や地方自治体の補助制度が適しています。

環境省の「地域脱炭素投資促進事業」や東京都・大阪府などの独自制度では、再エネ設備費用の半額程度が補助されるケースもあります。

また、脱炭素を軸に新しい事業モデルへ転換したい企業は、「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」を活用する方法もあります。

省エネ投資と新事業開発を同時に支援してもらえる点が魅力です。

このように、GX補助金は大きく「省エネ」「再エネ」「事業転換」の3タイプに分かれます。

自社の方向性に合った制度を選び、長期的なGX戦略として組み合わせて活用することが成功のポイントです。

第3章 主要補助金①:中小企業等GX投資促進補助金

3-1. 概要

2024年度から本格化した、経産省の中核的GX支援制度

製造業・建設業・運輸業など、CO₂排出量の多い業種を中心に支援します。

  • 対象経費:高効率ボイラー、インバータ設備、断熱・遮熱改修、再エネ電源、排熱回収装置など

  • 補助率:中小企業2/3(大企業1/2)

  • 補助上限:1,000万円〜5億円

3-2. 特徴とメリット

  • CO₂削減効果の算定が必須(エネルギー消費削減率で評価)

  • 申請は電子申請(jGrants対応)

  • 設備メーカー・エネルギー事業者との連携提案も可能

3-3. こんな企業におすすめ

  • 老朽化した生産設備を更新したい

  • 電気・ガス料金高騰によるコスト削減を図りたい

  • 脱炭素経営を“数字で可視化”したい企業

第4章 主要補助金②:省エネルギー投資促進支援事業(経産省)

経産省が長年実施している**「省エネ補助金」シリーズの中核制度**です。

設備更新を通じて、エネルギー消費量・CO₂排出を削減する取組を支援します。

4-1. 対象設備

  • 高効率空調・ボイラー・照明・変圧器

  • 冷凍冷蔵機器・コンプレッサー・熱交換機

  • IoT・AIを活用したエネルギーマネジメントシステム(EMS)

4-2. 補助内容

  • 補助率:1/3(中小企業2/3の場合あり)

  • 上限金額:原則1億円以内

  • CO₂削減効果が定量的に示されることが条件

 

4-3. 採択ポイント

  • 設備更新による削減効果(%)を根拠データで示す

  • 投資回収年数を明確に(5年以内が望ましい)

  • 省エネ診断結果を添付すると採択率が上がる

第5章 主要補助金③:再エネ導入・蓄電池支援(環境省・地方自治体)

太陽光発電・蓄電池・EV充電設備などを導入する企業を支援するのが、環境省や自治体の再エネ補助金です。

5-1. 環境省系の代表例

  • 地域脱炭素投資促進事業(環境省)

     再エネ・省エネ設備の導入を地域単位で支援。補助率1/2、上限数千万円。

  • 再エネ導入加速化事業

     中小企業の太陽光・蓄電池導入費の一部を補助。

     CO₂削減効果を伴う自家消費型設備が対象。

5-2. 自治体の支援事例(2025年動向)

  • 東京都:中小企業の「ゼロエミッション機器導入補助金」

  • 大阪府:再エネ設備・断熱改修補助(最大500万円)

  • 富山県:企業脱炭素化推進事業補助金(太陽光・EV車補助)

自治体補助金は年度途中で予算上限に達することも多いため、早期申請が鉄則です。

第6章 主要補助金④:事業再構築補助金・ものづくり補助金との連携活用

GX関連の投資は、**「省エネ設備導入+新事業創出」**のように、他の補助金と連携可能です。

6-1. 事業再構築補助金 × GX投資

例)製造業が脱炭素素材を使った新製品を開発 → 設備更新費+改修費を補助

→ GXと新市場開拓を同時に実現

6-2. ものづくり補助金 × 省エネ設備

例)省エネ型生産ライン導入 → 「革新的製造プロセス」として採択対象

→ 技術革新と脱炭素化を両立

 

こうした複合的な補助金戦略は、認定経営革新等支援機関(中小企業診断士等)との連携で精度が高まります。

第7章 申請のポイントと採択を勝ち取るコツ

7-1. 申請前に「エネルギー使用量」を把握

電力・ガス使用量、CO₂排出量を数値化することで、削減効果を明確に示せます。

これがないと“効果の根拠不足”で減点されます。

7-2. 事業計画書には“経営上の効果”も記載

単に「省エネしました」ではなく、

「コスト削減」「生産性向上」「企業価値向上」といった経営効果をセットで説明しましょう。

7-3. 複数年計画で考える

補助金は単年度ごとに公募が行われるため、

1年で完結させず、「3年かけてGXロードマップを作る」意識が重要です。

まとめ

GX(グリーントランスフォーメーション)は、

もはや「環境活動」ではなく「経営戦略」です。

補助金を活用すれば、脱炭素化への投資を**“コスト”から“成長資金”へ変えることが可能**です。

  • 中小企業等GX投資促進補助金 → 大規模設備更新

  • 省エネ投資促進支援事業 → 空調・照明の省エネ

  • 再エネ導入補助金 → 太陽光・蓄電池・EV対応

  • 自治体支援 → 地域密着型・中小企業優先

これらを上手に組み合わせ、補助金を“企業の未来を変えるツール”として活用しましょう。

脱炭素経営は、補助金を使えば今すぐ始められます。

GX投資・省エネ設備導入・再エネ事業への転換まで、
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