整骨院・整体院開業ガイド|資金・資格・補助金・集客まで完全解説

「自分の整骨院・整体院を開業したいけど、何から始めればいいかわからない」
――そんな悩みを抱える方も多いでしょう。
開業には、資金の準備・資格の確認・物件選び・集客戦略など、多くのステップがあります。
特に医療系業種では、保健所や厚生局への届け出、国家資格の有無によっても要件が変わるため、事前準備が欠かせません。
本記事では、整骨院・整体院の開業に必要な資金・資格・補助金・集客方法を専門的にわかりやすく解説します。
これから独立を目指す柔道整復師・整体師の方は、ぜひ開業計画の参考にしてください。
この記事の監修
中小企業診断士 関野 靖也
大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は資金調達の支援実績300件以上、事業計画書の策定支援実績500件以上など中小企業支援に特化。中小企業にとってメリットの大きい経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用も支援。
中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士
応用情報処理技術者、Linux Professional、ITIL Foundation etc
目次
第1章 整骨院と整体院の違いを理解しよう
まず押さえておきたいのが、「整骨院」と「整体院」は法律上の立ち位置が異なるという点です。
1-1. 整骨院(柔道整復師)
整骨院を開業できるのは、**国家資格「柔道整復師」**を持つ人のみです。
打撲・捻挫・骨折・脱臼などに対して保険を適用でき、厚生労働省の管轄で「医療類似行為」に該当します。
開業には保健所への届出・柔道整復師免許証の写し提出など、法的な手続きが必要です。
1-2. 整体院(民間資格・無資格でも可)
一方、整体院は民間資格で開業可能です。
保険請求はできませんが、姿勢改善・リラクゼーション・骨格調整など、自由なメニュー設計が可能。
「リピート客を増やす仕組みづくり」が鍵となります。
第2章 開業に必要な資格・届出・許可手続き
整骨院・整体院どちらも「開業できる=すぐ始められる」わけではありません。
開業前に以下の手続きを確認しておきましょう。
区分
必要資格・届出/管轄機関
整骨院
柔道整復師免許/施術所開設届
保健所・厚生局
整体院
特定資格不要
保健所不要(届出のみの場合あり)
共通
開業届・青色申告承認申請
税務署
また、整骨院で保険請求を行う場合は、**地方厚生局への「療養費取り扱い申請」**が必要です。
この申請を忘れると、健康保険による診療ができないため注意が必要です。
第3章 整骨院・整体院の開業資金はいくら必要?
開業資金は、店舗規模・立地・施術内容によって大きく変わります。
平均的な目安は以下の通りです。
項目
内容/ 目安金額
物件取得費
敷金・礼金・仲介料・前家賃など
約100〜300万円
内装・設備費
ベッド・施術器具・空調・看板など
約200〜500万円
広告・開業準備費
チラシ・HP・SNS広告・予約システム
約30〜80万円
運転資金
家賃・人件費・材料費3〜6か月分
約100〜200万円
平均的な開業資金総額は500〜1,000万円前後。
小規模な整体院なら300〜500万円台でも開業可能ですが、保険診療を行う整骨院は設備・基準が厳しいため高めになります。
第4章 費用を抑えるための工夫と補助金の活用法
4-1. 中古設備・居抜き物件を活用
マッサージベッド・低周波治療器・タオルウォーマーなど、設備費を中古品で抑えればコストを30%以上削減できます。
また、整骨院の居抜き物件は水回りや電源容量が整っているため、工事費を最小限にできます。
4-2. 小規模事業者持続化補助金を活用
整骨院・整体院の開業にも活用できる国の補助金制度です。
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補助上限:最大200万円(補助率2/3)
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対象経費:広告費・HP制作・内装・備品購入など
審査では「地域貢献性」「経営計画の明確さ」が重視されるため、
事業計画書をしっかり作成すれば採択の可能性が高まります。
4-3. 自治体の創業支援補助金もチェック
都道府県・市区町村によっては、創業助成金(最大300万円)や家賃補助制度を設けている地域もあります。
特に人口減少地域や商店街再生エリアでは、開業支援が手厚い傾向があります。
第5章 集客で失敗しないための基本戦略
「技術があれば自然とお客様が来る」と思われがちですが、実際には集客設計の有無が明暗を分けます。
5-1. 開業前からSNSで認知をつくる
Instagram・LINE公式アカウントを開設し、
「姿勢改善のビフォーアフター」「院内工事の様子」「スタッフ紹介」などを発信。
オープン前にフォロワーを獲得しておくことで、初月の集客が安定します。
5-2. Googleビジネスプロフィール(MEO対策)は必須
「整骨院+地域名」で検索した際に上位表示されるための登録・最適化は必須です。
口コミ返信・投稿更新・写真管理を行うことで、無料で安定的に集客できます。
5-3. リピーターを増やす仕組みをつくる
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LINEスタンプカード
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再来院割引・紹介キャンペーン
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定期メンテナンス予約
「一度来た人がまた来る仕組み」を整えることで、安定した経営が可能になります。
第6章 安定経営を実現するポイントと成功事例
6-1. 売上シミュレーションを事前に立てる
「1日○人×単価○円×営業日○日」=月商
という形で、収支シミュレーションを明確にすることが重要です。
損益分岐点を理解することで、赤字期間を最短化できます。
6-2. サービスの差別化がリピーターを生む
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姿勢分析機の導入
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女性専用メニュー
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産後骨盤ケア・美容整体などニッチ領域の強化
他院と差別化できる強みを明確に打ち出すことで、競争を避けつつ顧客単価を上げられます
6-3. 経営支援を受けると継続率が上がる
中小企業診断士や税理士などの支援を受けると、融資・補助金・経営改善のトータルサポートが可能。
特に初年度は「数字管理の型」を作ることで、資金繰りトラブルを未然に防げます。
まとめ
整骨院・整体院の開業には、平均500〜1,000万円の資金と、明確な資格・計画・集客戦略が必要です。
保険診療の可否によって準備内容は変わりますが、
共通して大切なのは「信頼される技術」と「続けられる仕組み」を両立すること。
融資・補助金を上手に活用し、
地域の人々に愛される治療院を目指しましょう。
開業はゴールではなく、あなたの新しい“出発点”です。

