ペットホテル・トリミングサロンを開業したい人必見!初期費用・融資・補助金まで全てまとめました

「ペットが好きだから、自分のトリミングサロンやペットホテルを開きたい」――そう考える方は年々増えています。
しかし、最初に直面するのは「開業資金はいくら必要?」「融資や補助金は使えるの?」という現実的な課題です。
本記事では、ペットホテル・トリミングサロン開業の費用相場から内訳、節約のポイント、資金調達方法までを専門的に解説します。
動物取扱業の登録や衛生基準など、開業に必要な法的手続きにも触れながら、無理のない資金計画の立て方をまとめました。
夢を“現実のビジネス”に変える第一歩を踏み出しましょう。
この記事の監修
中小企業診断士 関野 靖也
大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は資金調達の支援実績300件以上、事業計画書の策定支援実績500件以上など中小企業支援に特化。中小企業にとってメリットの大きい経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用も支援。
中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士
応用情報処理技術者、Linux Professional、ITIL Foundation etc
目次
第1章 ペットホテル・トリミングサロンの開業資金はいくら必要?
1-1. 平均的な開業資金は500〜1,000万円が目安
ペットビジネスは比較的小資本で始められる一方、**「清潔・安心・安全」**という条件を満たすためには一定の初期投資が必要です。
1-1. 平均的な開業資金は500〜1,000万円が目安
ペットサロン単体なら500〜700万円前後、
ホテル併設型では800〜1,000万円以上になるケースが一般的です。
店舗タイプ
開業資金目安/特徴
トリミングサロン単独
500〜700万円/設備投資が少なく始めやすい
ペットホテル併設
800〜1,200万円/設備・空調・監視装置などコスト増
移動式トリミングカー
300〜500万円/ 車両費中心、テナント不要
立地や店舗面積によっても大きく変動します。駅近で路面に面した物件ほど家賃・保証金は高くなりますが、集客効果は高く、結果的に早期回収につながるケースもあります。
1-2. 開業資金の中で見落とされがちな「運転資金」
開業直後は売上が安定せず、赤字期間が続くことも。
家賃・光熱費・人件費・消耗品費などを最低3〜6か月分確保しておくことが成功の基本条件です。
「初期費用を抑えすぎてオープン後に資金ショートする」ケースが最も多いため、資金計画段階から余裕を持たせましょう。
第2章 費用の内訳:物件・設備・人件費・広告宣伝費のリアル
開業費を大きく4つの項目に分けると、以下のような構成になります。
費用項目
内容/目安金額
物件取得費
敷金・礼金・仲介料・保証金など
約100〜300万円
内装・設備費
シンク・トリミング台・ゲージ・空調・給排水
約300〜500万円
広告・開業準備費
チラシ・WEB・SNS運用・HP制作・看板
約20〜50万円
運転資金
家賃・光熱費・人件費の3〜6か月分
約100〜200万円
2-1. 物件取得費:立地と動線を最優先に
トリミングやホテル業は、通いやすさが命。
駐車スペースや入口動線、騒音配慮などを含めて「ペット連れに優しい環境」を選びましょう。
特に住宅街の一角やペット可マンションの1階は人気立地です。
2-2. 内装・設備費:安全性と清潔感に直結
ペット業は衛生設備と快適環境が最重要です。
床は滑りにくい素材を採用し、排水口・消臭換気を完備することで、清掃性と安全性を両立させましょう。
冷暖房・空調管理・照明にもコストがかかるため、内装工事の見積もりは複数業者から取得するのが鉄則です。
2-3. 人件費:オーナー+スタッフ構成を明確に
トリマーを雇用する場合、月15〜25万円/人が相場。
一方でオーナーが現場に立てば人件費を大幅に抑えられます。
また、ペットホテルでは夜間見守りや掃除のシフトも必要なため、時間帯別の人員設計を事前に組んでおきましょう。
2-4. 広告宣伝費:SNSとGoogleビジネスを併用
開業初期は「Instagram×Googleマップ」が最強コンビです。
開業前から工事風景・カット練習・看板設置などの投稿を重ねることで、オープン時にすでにファンがいる状態を作ることができます。
第3章 サロンタイプ別資金シミュレーション(トリミング中心/ホテル併設)
3-1. トリミング専門型:低コストで始めやすい人気モデ
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開業資金:400〜600万円
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月商目安:40〜80万円
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スタッフ構成:オーナー+1名アルバイト
カット技術・仕上がり写真・接客品質が口コミで拡散される業態。
単価を上げるには「犬種別コース」「シャンプー指名制」などの差別化が有効です。
経費を抑えつつリピート率を高めることで、安定経営を実現できます。
3-2. ペットホテル併設型:空間演出でブランド化を狙う
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開業資金:800〜1,200万円
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月商目安:100〜200万円
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スタッフ:2〜3名体制
宿泊スペース・冷暖房・カメラ・防音対策が必要なため初期費用は高めですが、繁忙期(GW・年末年始)の収益は高く、年間を通じて安定化しやすいモデルです。
トリミング+ホテルの**クロス販売(送迎付きセット)**でリピート顧客を増やす戦略が効果的です。
第4章 開業費用を抑えるための具体的な工夫とポイント
4-1. 居抜き物件・中古機器を活用する
トリミングサロンや美容室の居抜き物件は、水回り設備が整っているため初期費用を3割削減できます。
また、トリミング台・ドライヤー・ケージは中古品でも十分実用的。中古業者をうまく使えば、機材費を半減できます。
4-2. DIY内装と中古家具で「手作りの温かみ」を演出
壁や床、棚などをDIYで仕上げれば数十万円単位で節約可能。
ナチュラルウッドやパステルカラーを基調にすると、清潔感と親しみやすさを両立できます。
ペットと飼い主がリラックスできる空間づくりは、ブランドの第一印象を決める要素です。
4-3. SNSを中心に集客コストをゼロに
Instagram・LINE公式アカウントで「ビフォーアフター投稿」「推し犬紹介」などを発信すれば、自然拡散で顧客が増えます。
広告を出すよりも“日常発信”の方が信頼を得やすく、予約につながる傾向があります。
4-4. 補助金・融資を上手に組み合わせる
自己資金だけに頼らず、公的資金を活用して自己負担を最小限にするのがポイント。
次章で詳しく解説します。
第5章 資金調達に使える融資・補助金・助成金制度
5-1. 日本政策金融公庫「新創業融資制度」
個人開業でも利用しやすく、審査ポイントは「事業計画の具体性」と「返済可能性」。
金利2%前後・返済5〜7年・最大1,000万円程度の融資が可能です。
トリマー経験や動物関連資格があると信用度が上がります。
5-2. 小規模事業者持続化補助金(全国対象)
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補助上限:最大200万円
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補助率:2/3
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対象経費:広告・HP制作・看板・内装改修・備品購入など
採択されれば自己負担を大幅に削減できるため、創業初期の最重要制度といえます。
申請には「事業計画書」と「商工会議所の確認書」が必要です。
5-3. 自治体独自の創業支援制度
たとえば東京都・大阪府・愛知県などでは「創業助成金(最大300万円)」や「女性起業家支援プログラム」があります。
ペット業界は地域の福祉・観光にも貢献するため、申請時の評価が高い分野です。
5-4. クラウドファンディングでファンと資金を同時に獲得
「地域密着の保護犬カットサロン」「シニア犬専門ホテル」など、ストーリー性のあるテーマで共感を呼べば、SNS経由で支援が集まりやすくなります。
開業前からファンを育てるマーケティング手法としても有効です。
第6章 成功のカギ:経営計画とリピート戦略
6-1. 初年度の資金繰りシミュレーションを作成
毎月の固定費(家賃・光熱費・人件費・材料費)を一覧化し、損益分岐点を明確に。
「1日○頭の施術で黒字化できる」という目標を設定すると、営業戦略に一貫性が生まれます。
6-2. 顧客リピート率を高める仕掛け
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LINE公式アカウントで定期予約リマインド
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次回来店割引・写真プレゼント
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常連向けの会員制度や季節イベント
一度信頼を得たお客様が長期利用してくれることで、安定した経営基盤ができます。
口コミ紹介の割合が増えると広告費を大きく減らせるのも魅力です。
6-3. 安心・清潔・信頼の3本柱を徹底
トリミング事故やペットトラブルは一度で信用を失う要因に。
「動物取扱業登録証」「動物取扱責任者の資格表示」などを店内に掲示し、衛生面・安全面の透明性を高めましょう。
SNSでも清掃やケアの様子を発信することで、飼い主の安心感を得られます。
まとめ
ペットホテル・トリミングサロンの開業には、平均500〜1,000万円前後の資金が必要です。
ただし、立地選び・内装・サービス内容次第で数百万円単位の差が出るため、
「開業費用+運転資金+余裕資金」をセットで設計することが成功の第一歩です。
自己資金に頼らず、融資・補助金・クラウドファンディングを組み合わせ、
資金繰りに余裕を持ってスタートすれば、無理のない経営が可能です。
そして何より大切なのは、「またお願いしたい」と思われる信頼づくり。
清潔で安心できる空間、丁寧なカウンセリング、心のこもったケアがあれば、リピーターは自然と増えていきます。
あなたのペット愛をカタチにし、地域に愛されるお店をつくりましょう。

