経営力向上計画の認定期間はどれくらい?申請から承認までの流れと注意点

中小企業が税制優遇や金融支援を受けるために活用できる「経営力向上計画」。国の制度として広く認知されつつありますが、実際に申請を検討する経営者の多くが疑問に感じるのが「どのくらいの日数で認定されるのか」という点です。

認定までの期間は固定ではなく、申請方法、計画の内容、不動産関連の特例の有無などによって変動します。さらに、書類に不備があると差戻しや照会が入り、想定よりも大幅に遅れるケースもあります。

この記事では、経営力向上計画の認定までに必要な標準的な日数と、電子申請と紙申請の違い、遅延が生じる典型的な理由、そしてスムーズに承認を得るための実務上のポイントを徹底解説します。

この記事の監修

中小企業診断士 関野 靖也

大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は資金調達の支援実績300件以上、事業計画書の策定支援実績500件以上など中小企業支援に特化。中小企業にとってメリットの大きい経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用も支援。

中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士
応用情報処理技術者、Linux Professional、ITIL Foundation etc 

目次

1. 経営力向上計画とは何か

経営力向上計画は「中小企業等経営強化法」に基づいて認定される制度で、中小企業や小規模事業者が生産性向上や収益基盤の強化を図るための取り組みを支援する仕組みです。



認定を受けることで、中小企業経営強化税制の活用による即時償却や税額控除、金融機関からの低利融資の利用、さらには許認可承継の特例といった多様なメリットを享受できます。

 

ただし、この制度を使うためには「認定」が不可欠です。つまり、計画書を提出しただけでは優遇措置は得られず、所管官庁から正式に認定を受ける必要があります。そのため「申請から認定までにどのくらい時間がかかるか」を把握しておくことは、設備投資や補助金申請、事業承継のスケジュールを組み立てる上で非常に重要なのです。

2. 認定までにかかる標準処理期間の目安

経営力向上計画の認定には「標準処理期間」が設定されています。一般的には申請書の提出からおおむね30日程度が目安とされています。

 

しかし、すべての案件が一律で30日で完了するわけではなく、計画の内容や関わる省庁の数によって所要日数は変動します。

 

経済産業部局のみを所管とする計画であれば約30日で済むケースが多いですが、計画に複数の事業分野が含まれ、複数の省庁にまたがる場合は約45日かかります。さらに、不動産取得税の軽減措置や許認可承継の特例を利用する場合には、別途関係機関での評価や審査が加わるため、追加の日数が必要です。

 

このように、標準処理期間はあくまで「目安」に過ぎません。特に年度末や補助金申請が集中する時期は、事務局の処理件数が増えるため、実際には目安を超えるケースも少なくありません。

3. 電子申請と紙申請の違いによる日数の差

近年、経営力向上計画の申請は電子化が進んでおり、専用プラットフォーム「keieiryoku.go.jp」から電子申請を行うことができます。電子申請を利用した場合、経済産業部局宛のみの申請に限られますが、標準処理期間は約14日(休日を除く)と大幅に短縮されます。

 

一方、紙での申請や郵送の場合は確認作業が増えるため、標準で約30日程度かかるのが一般的です。紙申請では照会や補正依頼も郵送ベースで行われることが多く、対応の遅れが処理全体の遅延につながることもあります。

 

電子申請は、申請内容の不備が即座に指摘される仕組みがあり、差戻しや修正のやり取りもスムーズに進められるため、スケジュール面でのメリットが大きいといえます。

4. 認定が遅れる典型的なケースとリスク

認定までの期間が長引く原因の多くは、申請書や添付書類の不備です。事業分野の記載漏れ、設備投資内容の根拠不足、必要な証明書の欠落などは頻発するトラブルです。これらがあると差戻しや追加照会が入り、結果として数週間から1か月以上処理が延びるケースも珍しくありません。

 

また、制度上の要件を誤解したまま申請してしまうケースもあります。例えば、対象外となる設備を誤って記載したり、取得時期の基準を満たしていない投資を盛り込んでしまった場合などです。こうしたミスは申請差戻しにつながり、再提出の手間と時間を生みます。

 

認定の遅れは、設備導入や補助金申請のタイミングに直接影響します。計画認定が間に合わなければ、補助金や税制優遇を利用できないまま投資を行わざるを得なくなるリスクもあるため、申請時点での正確性が非常に重要です。

5. スムーズに承認を得るための実務ポイント

計画をスムーズに認定してもらうためには、以下のような点に注意する必要があります。

 

まず、申請書の記載内容を正確に整えることです。事業分野コードや事業分野別指針名を正しく記載し、設備投資の取得価額や型式番号を明確に記入します。設備投資を伴う場合には、工業会証明書や経済産業局の確認書といった添付書類も忘れずに用意します。

 

次に、申請方法の選択です。可能であれば電子申請を利用することで処理スピードを短縮でき、不備の指摘や補正依頼にも迅速に対応できます。電子申請の利用が難しい場合でも、あらかじめ余裕を持ったスケジュールを立てておくことが不可欠です。

 

さらに、認定までの期間を30日〜45日と見込んだうえで、実際の事業スケジュールには1.5か月程度の余裕を組み込むことが望ましいでしょう。これにより、万が一差戻しが発生しても、予定していた補助金や税制措置を逃さずに済みます。

まとめ

経営力向上計画の認定期間は、申請方法や計画の内容によって大きく異なります。経済産業部局のみであれば標準30日程度、複数省庁にまたがる場合は45日程度、不動産取得税や許認可承継の特例を利用する場合はさらに日数が加算されます。

 

電子申請を利用すれば最短14日で認定されることもありますが、書類不備や記載ミスがあれば一気に遅延リスクが高まります。

 

認定をスムーズに進めるためには、不備のない申請書作成、必要書類の事前準備、電子申請の活用、余裕あるスケジュール設計が欠かせません。こうした準備を怠らなければ、認定プロセスを確実に進め、税制優遇や支援制度を最大限に活用することができます。

経営力向上計画の申請は専門家にお任せください

経営力向上計画は、書類の不備や要件の理解不足によって、認定までの期間が大幅に延びることがあります。専門家のサポートを受ければ、申請から認定までをスムーズに進められます。

当社では中小企業診断士が計画策定から申請支援まで一貫して対応しております。

認定を確実に進めたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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