【食品加工業必見】真空包装機は小規模事業者持続化補助金の対象?

食品加工や飲食業、小売業において、商品の品質保持や販路拡大のために真空包装機を導入する企業が増えています。しかし、真空包装機は高額な設備投資となるため、導入をためらう事業者も少なくありません。
そこで活用を検討すべきなのが「小規模事業者持続化補助金」です。補助金を利用することで、真空包装機の導入コストを大幅に軽減でき、事業拡大のスピードを高めることが可能です。本記事では、真空包装機が補助対象となる条件、不採択リスク、申請書に盛り込むべきポイント、そして導入後の実績報告に至るまで、徹底的に解説します。
この記事の監修

中小企業診断士 関野 靖也
大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。
中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士
応用情報処理技術者、Linux Professional、ITIL Foundation etc
目次
1. 機械装置等費の基本的な考え方
小規模事業者持続化補助金における「機械装置等費」は、最も利用される経費区分の一つです。対象となるのは、単なる業務便利化ではなく「販路開拓」や「業務効率化(生産性向上)」に直結する機械・設備です。真空包装機は、食品業界を中心に販路拡大や生産性向上に貢献する典型的な機器と位置づけられています。
例えば、飲食店が自社製品をテイクアウトやEC販売に展開するために導入するケースや、食品加工業が保存期間を延ばして卸販売を拡大するために導入するケースでは、補助対象として認められやすい傾向があります。
ただし「交付決定前に発注・契約した場合」や「単なる利便性向上にとどまる場合」は対象外となるため、利用目的の説明には注意が必要です。
2. 真空包装機が補助対象となる条件
真空包装機が補助対象として認められるには、いくつかの具体的な条件があります。
まず第一に「販路開拓との直接的な関連性」が求められます。補助金の趣旨は単なるコスト削減ではなく、新たな市場を切り開くことにあります。そのため、申請書には「真空包装機の導入によってどのように新規顧客を獲得し、売上を伸ばすか」を明記する必要があります。
第二に「業務効率化や生産性向上への寄与」が重要です。例えば、従来の手作業包装に比べて処理速度が2倍になる、従業員1人で対応可能になる、といった具体的な改善効果を示すことが求められます。
第三に「補助事業期間中に活用実績を示せること」が必須です。購入しただけで活用しなければ補助対象外とされる可能性が高いため、導入後すぐに実際の事業に使用する計画を立てる必要があります。
3. 補助対象外となるケースと注意点
真空包装機は基本的に補助対象となりやすい機器ですが、次のようなケースでは不採択や不認定になる可能性があります。
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中古品をオークションや個人から購入した場合
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親族や関連会社からの購入で、取引の独立性が担保されない場合
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交付決定前に発注・契約・支払いを済ませた場合
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単なる業務効率化にとどまり、販路開拓との関連性が示せない場合
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家庭用の簡易的な真空包装機を導入し、事業との関係が薄い場合
審査においては「事業としての効果がどの程度あるか」が最も重要視されます。導入理由を「保存性が良くなるから便利」と書くだけでは不十分で、「冷凍品の販売を新たに開始し、県外市場に販路を拡大する」といったストーリーを示す必要があります。
4. 真空包装機導入で期待できる効果
真空包装機の導入によって期待できる効果は多岐にわたります。
まず「保存期間の延長」によって商品価値が高まります。従来3日しかもたなかった商品を7日間保存可能にすれば、遠方への配送が可能となり、EC販売や業務用卸の拡大につながります。
次に「食品ロスの削減」です。未使用食材を真空保存することで廃棄量を減らし、コスト削減と利益率向上を同時に実現できます。
さらに「ブランド力の向上」も期待できます。衛生的で安定した品質を提供できることは、顧客からの信頼を高め、リピーターの獲得にもつながります。
5. 申請書における具体的な記載方法
真空包装機を補助対象経費として申請する際には、単なる機器購入の説明ではなく「導入効果」を中心に据えることが重要です。
例えば次のように記載するのが効果的です。
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「真空包装機の導入により、従来店頭販売のみであった商品をEC販売へ展開し、年間売上を20%拡大する」
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「1時間あたりの包装数を50個から100個に増加させ、従業員1名分の労働時間を削減する」
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「保存期間を3日から7日に延長し、百貨店や通販業者への販路開拓を可能にする」
こうした定量的な数値を盛り込むことで、審査員に対して説得力を高められます。
6. 実績報告に必要な証憑と準備
補助金を受け取るためには、導入後の実績報告が必須です。真空包装機の場合、以下のような証憑を準備する必要があります。
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納品書、請求書、領収書などの経理書類
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設置後の写真(外観や稼働の様子が分かるもの)
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実際に真空包装機を活用した商品の写真や販売記録
これらの証憑が不足していると経費が認められず、補助金額が減額されるリスクがあります。導入の段階から記録を残すことが重要です。
7. 他の補助金との違いと併用可否
真空包装機の導入は、ものづくり補助金など他の制度でも対象となる場合があります。ただし、同一経費で複数の補助金を受けることはできません。
小規模事業者持続化補助金は比較的申請しやすく、小規模な設備投資にも適しています。一方、ものづくり補助金はより高額な設備投資に向いています。事業規模や投資金額に応じて最適な制度を選択することが重要です。
8. まとめ:真空包装機導入を補助金で成功させるために
真空包装機は、小規模事業者持続化補助金の代表的な補助対象機械のひとつです。しかし、導入すれば必ず認められるわけではなく、販路開拓や生産性向上との関連性を明確に示すことが不可欠です。
保存期間延長、EC販売拡大、食品ロス削減など、具体的な効果を数値とともに申請書に盛り込み、導入後は証憑を整えて実績報告することが成功の鍵です。
補助金を活用して真空包装機を導入することで、中小企業や小規模事業者は新たな販路を開拓し、安定的な成長基盤を築くことができます。