小規模事業者持続化補助金は再申請できる?過去採択歴・様式第14・災害支援枠の扱いを徹底解説

小規模事業者持続化補助金は、中小企業や小規模事業者の販路開拓や生産性向上を支援する代表的な制度として、毎年多くの事業者が活用しています。制度自体は公募が複数回に分けて行われるため、「過去に採択を受けたことがあるが、再度申請できるのか?」という疑問を持つ方が非常に多いのも事実です。

特に注意が必要なのは、過去に補助事業を実施した事業者に課されている「様式第14(事業効果および賃金引上げ等状況報告書)」の提出義務です。これを提出していない場合、あるいは不備が解消されていない場合は、原則として申請できません。また、2024年以降に設けられた「災害支援枠(令和6年能登半島地震等対応)」は通常枠との同時申請が可能ですが、その条件や留意点を正しく理解する必要があります。

この記事では、再申請を検討する事業者が必ず確認すべきルールを体系的に整理し、過去採択歴がある場合の申請可否、様式第14の扱い、災害支援枠との関係、補助対象外となる事業者の具体条件、そして実務上の注意点を詳しく解説します。

この記事の監修

中小企業診断士 関野 靖也

大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。

中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士
応用情報処理技術者、Linux Professional、ITIL Foundation etc

目次

1. 過去に採択された事業者でも再申請は可能か

小規模事業者持続化補助金は、過去に採択を受けた事業者であっても新しい事業計画であれば再申請が可能です。制度の目的が「小規模事業者の持続的成長支援」にあるため、一度採択を受けたからといって申請資格を失うわけではありません。

 

ただし、再申請が認められるのは前回とは異なる取組を計画している場合に限られます。例えば、以前はホームページの立ち上げに補助金を活用した事業者が、次回は展示会出展や海外市場開拓を目的とするのであれば、新規性があるとして再申請が可能となります。一方で、前回とほぼ同じ内容を繰り返す申請は、審査段階で「重複」とみなされることが多く、不採択のリスクが極めて高くなります。

 

つまり再申請は可能であるものの、過去の事業との違いを明確に示すことが不可欠なのです。

2. 再申請に欠かせない様式第14の提出と重要性

再申請を検討する際に最初に確認すべきことは、過去の補助事業について提出が義務付けられている「様式第14(事業効果および賃金引上げ等状況報告書)」です。

 

この書類は補助事業でどのような成果があったのか、従業員の処遇改善にどの程度つながったのかを事務局に報告するものです。形式的に提出しただけでは足りず、不備が解消され、正式に受理されていることが再申請の前提となります。提出していない、あるいは修正を求められたまま放置している場合は、原則として再申請はできません。

 

また、共同申請に参画していた場合であっても提出義務は免除されません。事業終了日の属する月の翌月から一年が経過し、その時点で様式第14が受理されていることが通常枠の再申請条件に含まれている点にも注意が必要です。

3. 災害支援枠と通常枠の同時申請の仕組み

2024年以降に新設された災害支援枠は、能登半島地震をはじめとした自然災害で影響を受けた事業者を支援する特別な枠組みです。この枠と通常枠は併願が可能であり、柔軟な申請が認められています。

 

災害支援枠では、過去一年以内に補助事業を実施していた場合でも様式第14の提出は不要とされています。通常枠では提出済みでなければ申請できませんが、災害支援枠であれば申請資格を得られるのです。この違いは大きく、再申請の可能性を広げています。

 

ただし、両方に申請する場合は内容が重複しないようにしなければなりません。例えば災害で被災した店舗の復旧費用を災害支援枠に申請し、新商品の販路開拓は通常枠に申請する、といった具合に事業目的を明確に切り分けることが求められます。

4. 再申請が認められない事業者や事例

再申請の可能性がある一方で、対象外とされる事業者も存在します。典型的なケースは、様式第14を提出していない、あるいは不備が解消されていない場合です。また、過去に「卒業枠」で採択を受けた事業者も再申請はできません。

 

法人の代表者が交代しても、法人そのものが過去に補助金を受給していれば、新しい代表者の下での再申請は認められません。さらに、内容が過去の申請とほとんど同一である場合も実質的に対象外となります。タイトルや表現を変えただけの計画では「新規性がない」と判断されるため、計画そのものに新しい要素を盛り込む必要があります。

5. 再申請を成功させるための実務上のポイント

再申請を成功させるには、単に条件を満たすだけでは不十分です。実務上の工夫が大きな差を生みます。

 

まず、過去の取組と比較してどの点が新しい挑戦なのかを明確に説明することが大切です。オンライン販売の立ち上げから展示会出展へ、国内市場から海外市場への拡大へといった変化を具体的に示すと説得力が増します。

 

次に、様式第14の提出状況を事前に確認し、受領通知や修正記録を社内で保管しておくと安心です。さらに、災害支援枠と通常枠を併願する場合は、費用の内訳や目的を整理し、審査側に誤解を与えないように準備する必要があります。

 

最後に、新規性や独自性を文章だけでなく図表や計画の流れ図を用いて示すと、審査員に伝わりやすくなります。採択率を高めるには「なぜ今この取組が必要なのか」を論理的に説明することが不可欠です。

まとめ

小規模事業者持続化補助金は、過去に採択を受けた事業者でも条件を満たせば再申請が可能です。ただし、様式第14の提出が完了していること、新規性が明確であること、そして災害支援枠との区分が適切であることが必須条件となります。

 

再申請は難しそうに見えますが、報告義務を果たし、新しい挑戦を計画として示せば十分にチャンスはあります。申請の可否を曖昧にしたまま進めるのではなく、条件を正しく理解したうえで計画を練り直すことが成功への近道です。

再申請の可否を専門家に確認して安心の申請を

持続化補助金の再申請は、過去採択歴、報告書提出状況、申請枠の使い分けなど、確認すべき条件が複雑に絡み合います。誤解や不備があると、せっかくの申請が無効となり、大きな機会損失につながります。

当社は中小企業庁認定の経営革新等支援機関として、補助金の新規申請から再申請まで多数の実績を有しています。特に、過去採択歴のある方や災害支援枠を活用したい方に向けて、要件確認から事業計画書のブラッシュアップまで一貫したサポートが可能です。

「過去に採択されたが、再申請できるのか不安」
「様式第14を提出していないがどうすれば良いか知りたい」
「通常枠と災害支援枠を併願したいが、事業内容の切り分け方が難しい」

そうした悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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