小規模事業者持続化補助金におけるウェブサイト関連費の取扱い徹底解説

小規模事業者持続化補助金では、販路開拓や業務効率化のための経費が幅広く対象となります。その中でも、多くの事業者が関心を寄せるのが「ウェブサイト関連費」です。ホームページ制作やウェブ広告、SNSアカウントの開設、翻訳対応、さらにはシステム開発やアプリ導入まで、デジタル領域に関する投資は中小企業にとって競争力を高める大きな手段となります。
しかし注意が必要なのは、「ウェブサイト関連費のみ」で申請を行うことはできない点です。補助金の趣旨が「販路開拓や生産性向上のための総合的な取組み」にあるため、経費がウェブサイト関連費だけに偏ってしまうと不採択になるリスクがあります。
この記事では、公式の公募要領をもとに「ウェブサイト関連費とは何か」「具体的にどのような費用が対象になるのか」を詳しく解説します。また、対象経費ごとに実務での活用例や注意点も紹介し、申請に役立つ実践的な知識を整理します。
この記事の監修

中小企業診断士 関野 靖也
大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。
中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士
応用情報処理技術者、Linux Professional、ITIL Foundation etc
目次
1. ウェブサイト関連費とは?定義と基本的な考え方
「ウェブサイト関連費」とは、事業者が販路開拓や業務効率化のために行うウェブサイトやデジタル領域に関わる経費を指します。ホームページ制作費、広告運用費、翻訳、動画制作、アプリ開発などが含まれます。
ただし重要な点として、申請する経費が「ウェブサイト関連費のみ」になると不採択の対象になります。これは補助金が「総合的な事業計画」を評価する仕組みであるため、デジタル投資に偏りすぎると「販路開拓全体としての取り組み」とみなされないからです。
例えば、ホームページ制作費とチラシ印刷費を組み合わせたり、広告運用と展示会出展費を併用したりすることで「複数施策を組み合わせた販路開拓」と評価されやすくなります。
2. ロゴデザイン費(ホームページ・広告・動画用)
ロゴは企業や商品の顔となる重要な要素であり、補助対象経費の中でもよく利用される費目です。
対象例
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ホームページに掲載するロゴのデザイン費
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ウェブ広告に使用するロゴのデザイン費
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動画に使用するロゴデザイン費
注意点
ロゴをチラシなど紙媒体と共用する場合、その費用は「広報費」に区分されます。申請時は使用用途を明確にし、「ウェブサイト専用の使用」であることを示すことが重要です。
3. メルマガやメールDM関連費
Eメールを使った情報発信もウェブサイト関連費として扱われます。
対象例
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新規取引先や見込み客へのコンタクトメール送信費用
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メルマガフォーマットの作成や改修費用
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商品コピーライティングの見直しや制作費
注意点
郵送DMやFAX送信の場合は「広報費」として扱われる点に注意が必要です。補助対象経費の分類を誤ると申請差し戻しのリスクがあります。
4. ホームページや動画字幕の翻訳費用
海外市場を視野に入れた販路開拓においては、翻訳費用が重要です。
対象例
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ホームページのテキストを英語などに翻訳する費用
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ウェブサービス紹介ページの翻訳費用
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動画字幕の翻訳費用
ポイント
多言語対応は「海外展開を視野に入れた取り組み」として審査でもプラス評価されやすい領域です。特にインバウンド需要を狙う事業者にとっては有効な戦略となります。
5. ウェブ広告運用代行サービス
デジタル広告は即効性のある販路拡大手段であり、補助対象として利用しやすい経費です。
対象例
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Google広告、Yahoo広告などの運用代行費用
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SNS広告(Instagram、Facebook、TikTokなど)の運用代行費用
注意点
広告の出稿費用そのものは「広報費」となり、運用代行のサービス費用が「ウェブサイト関連費」として扱われます。申請時には費用区分を明確に分ける必要があります。
6. ウェブ上で公開・利用するための費用(ECモール・SNSアカウントなど)
近年増えているのが、ECやSNSを活用した販路開拓です。
対象例
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ECモール(楽天市場やAmazon等)への出店初期費用
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自社のSNS公式アカウント作成費
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SNSマーケティングツール構築費
注意点
ランニングコストや月額費用は対象外となる場合があります。初期費用や構築費を対象とする形で申請するのが基本です。
7. デジタルサイネージ用コンテンツ制作費
店頭やイベントで活用される電子看板(デジタルサイネージ)関連の費用も補助対象です。
対象例
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デジタルサイネージに表示する映像コンテンツ制作費
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電子掲示板への掲載費(広報費扱い)
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LEDビジョンへの掲載費(広報費扱い)
ポイント
映像制作そのものは「ウェブサイト関連費」ですが、掲載費用は「広報費」となる点に注意が必要です。
8. マスメディア広告以外の広報動画制作費
動画マーケティングは中小企業でも注目されており、補助金でも活用可能です。
対象例
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YouTubeやVimeoなど動画共有サービスへの掲載動画制作費
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ホームページに掲載する動画の制作費
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デジタルサイネージ用動画制作費
注意点
テレビCMやラジオなどマスメディア向けの費用は対象外です。
9. ウェブアプリケーションの導入費
デジタル化や効率化に直結するウェブアプリも補助対象です。
対象例
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自社専用のウェブアプリ開発・導入費
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業務効率化を目的としたアプリ導入費
具体例
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予約管理システム
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在庫管理システム
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顧客とのチャットボット導入
10. システム開発・ソフトウェア費用
より高度なシステム投資も補助対象です。
対象例
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顧客管理システムの構築費
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特定業務用ソフトウェアの開発費
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アプリケーション開発全般
注意点
既存ソフトの利用料やサブスクリプション費用は原則対象外となります。新規開発や導入費に絞って申請することが求められます。
11. ウェブサイト関連費で申請する際の注意点
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ウェブサイト関連費を含めつつ、展示会・紙媒体・設備投資など他の費用と組み合わせる
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単なるHP制作ではなく「新規市場開拓」「新商品の販促」と結びつける
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海外展開やDXなど政策的に重点が置かれているテーマと関連付ける
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具体的な成果指標(売上増加率、問い合わせ件数、アクセス数)を計画に明記する
13. まとめ:ウェブサイト関連費を有効活用して補助金採択につなげる
ウェブサイト関連費は、中小企業がデジタルを活用して販路を拡大するために非常に有効な投資領域です。ただし、単独では申請できないという制約があります。
ロゴ、翻訳、広告運用、SNS、アプリ開発、システム構築といった経費を戦略的に組み合わせ、他の広報施策や販路拡大の取り組みとリンクさせることで、採択可能性が高まります。
正しく理解し、効果的に活用することで、補助金を成長戦略の一部として取り込むことができるでしょう。

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