小規模事業者持続化補助金における「業種の考え方」徹底解説|商業・サービス業・製造業の違いとは

小規模事業者持続化補助金では、事業者が営む「業種」によって、申請要件や従業員数の上限が変わります。たとえば「商業・サービス業」は従業員数5名以下、「製造業その他」は20名以下といった形で、区分ごとに条件が異なります。
このため、自社がどの業種に分類されるかを正しく理解しておくことは、申請成功に直結する重要なポイント です。しかし一見シンプルに見える「商業・サービス業」「宿泊業・娯楽業」「製造業その他」の定義も、具体的な事業内容によっては判断が難しいケースがあります。
この記事では、小規模事業者持続化補助金における業種区分の考え方を、公式定義と具体例をもとに詳しく解説します。
この記事の監修

中小企業診断士 関野 靖也
大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。
中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士
応用情報処理技術者、Linux Professional、ITIL Foundation etc
目次
業種区分が補助金申請に重要な理由
小規模事業者持続化補助金では、業種区分ごとに「従業員数の上限」が定められています。
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商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く):5名以下
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宿泊業・娯楽業:20名以下
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製造業その他:20名以下
たとえば、飲食業であれば「商業・サービス業」に分類されるため、従業員が6名以上いると申請できません。逆に製造業であれば20名まで認められるため、同じ「小規模事業者」であっても区分の違いが申請可否を分けるのです。
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)の定義と特徴
商業・サービス業とは、仕入れた商品をそのまま販売する事業、あるいは 在庫性や代替性のない技能を提供する事業 を指します。
商業の例
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小売業(書店、衣料品店、雑貨店)
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卸売業(食品卸、建材卸など)
サービス業の例
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美容院、エステサロン、学習塾
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その場で技能を提供するコンサルティングや専門サービス
ポイントは「在庫性のないサービス」「流通性のない価値提供」が中心であることです。
宿泊業・娯楽業の取り扱い
サービス業の中でも「宿泊業」と「娯楽業」は別枠で定義されています。
宿泊業
ホテル、旅館、民泊など宿泊を提供する事業。レストランや宴会場などを併設していても、主目的が宿泊であれば「宿泊業」に分類されます。
娯楽業
映画館、演劇場、遊園地、カラオケ、ゲームセンターなど。娯楽を提供するビジネスは「娯楽業」として扱われ、一般のサービス業とは区分されます。
製造業その他の範囲と事例
製造業その他とは、流通可能な商品や無形価値を自ら生産・加工する事業 を指します。
製造業の例
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食品製造(パン工場、菓子製造業)
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金属加工、木工、繊維製造
その他の例
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ソフトウェア開発(流通性のある無形財産)
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建設業、運送業(商業・サービスに当てはめにくいため「製造業その他」に分類)
業種分類の具体例
飲食店
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店内で料理を作り、その場で提供 → 商業・サービス業
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弁当・総菜・お土産として流通性のある商品を製造 → 製造業
本屋
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出版社や取次から仕入れた本を販売 → 商業
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自社企画の雑誌や付加価値を加えた商品(例:本+飲食体験セット) → 製造業
このように、同じ業種名でも事業形態によって分類が変わる ため注意が必要です。
複数の事業を営む場合や判断が難しい場合の扱い
建設業や運送業など、商業・サービス・製造のいずれかに分類しにくい事業は「製造業その他」に分類されます。
また、小売と製造を兼業している場合は、より従業員数が多いほうの基準を用いることになります。判断が難しい場合には「製造業その他」に区分されるのが一般的です。
よくある誤解と注意点
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「飲食店はすべて商業」と思い込む → 弁当や土産物製造は製造業に該当
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「ソフトウェアはサービス業」 → 実際は流通性のある商品なので製造業に分類
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「複数事業を営んでいる場合は有利な区分を選べる」 → 実際には「製造業その他」として扱われるケースが多い
まとめ:業種区分を正しく理解して申請不備を防ぐ
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商業・サービス業:仕入れ販売や技能提供
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宿泊業・娯楽業:ホテル・旅館、映画館や遊園地など
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製造業その他:モノや無形財産を生産・加工する事業
誤った区分で申請すると不採択や差し戻しのリスクがあります。事業内容を正しく整理し、適切な区分で申請することが補助金活用の第一歩です。

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