経営力向上計画の設備追加完全ガイド|変更申請の手順と注意点

経営力向上計画の認定を受けた後に新たな設備を追加したいケースは少なくありません。しかし設備追加には変更認定申請という手続きが必要で、タイミングを誤ると税制優遇が受けられなくなる可能性があります。本記事では設備追加の変更申請手続きから60日ルール、必要書類まで詳しく解説します。
この記事の監修
中小企業診断士 関野 靖也
大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。
中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士
経営力向上計画における設備追加の基本
経営力向上計画で認定を受けた後に設備を追加する場合、原則として変更認定申請が必要です。追加設備も当初の設備と同様に税制優遇の対象となりますが、適切な手続きを踏まなければ支援措置は受けられません。
設備追加で変更認定が必要な理由
経営力向上計画は認定時の計画内容に基づいて税制措置や金融支援が適用されます。計画期間内に新たな設備を導入する場合、その設備も税制優遇の対象とするには変更認定申請を通じて正式に計画へ追加する必要があります。
変更認定申請を行うことで、追加設備についても即時償却や税額控除といった中小企業経営強化税制のメリットを享受できます。当初設定した計画期間内であれば、複数回の設備追加にも対応可能です。
ただし計画の実施期間を過ぎた後に設備を追加する場合は、変更申請ではなく別の新規計画を作成して申請する流れになります。設備追加を検討する際は、必ず当初計画の実施期間を確認することが重要です。計画内容の軽微な変更を除き、設備の追加や仕様変更には変更認定が必須となります。
変更申請と新規申請の違い
変更認定申請は新規申請と比べて事務負担が少なく済む点が特徴です。一から新たに申請書類を作成するのではなく、すでに認定を受けた申請書を修正する形で作成します。
新規申請では企業概要から経営課題の分析、経営指標の設定まですべてを記載する必要がありますが、変更申請では変更や追加があった部分のみを反映させます。変更箇所には下線を引いて明示することで、審査担当者が変更内容を把握しやすくなります。
ただし変更申請でも当初申請と同様に、工業会証明書や経済産業局の確認書といった必要書類の準備は求められます。設備の類型によって必要な証明書が異なるため注意が必要です。また変更申請の標準処理期間も新規申請と同じく約30日程度かかります。
設備追加の変更認定申請が必要なケース
すべての変更に変更認定申請が必要なわけではありません。設備の追加や重要な仕様変更には申請が必須ですが、軽微な変更については申請不要とされています。
変更申請が必須となる主なケース
設備投資に関する変更認定申請が必要となる代表的なケースは3つあります。第一に当初計画から設備を追加する場合です。新たな機械装置やソフトウェアを導入する際は必ず変更申請を行います。
第二に計画に記載した設備よりも生産性の高い設備に変更する場合です。より効率的な設備を見つけた際に、当初計画の設備から変更して導入するケースが該当します。
第三に税制優遇を新たに受けたい場合です。当初計画では税制措置を申請していなかったものの、追加で税制優遇を受けたいと考えた際には変更申請が必要となります。これらのケースでは認定を受けた経営力向上計画の趣旨を変える重要な変更に該当するため、必ず変更認定を受けなければなりません。
変更申請が不要な軽微な変更
一方で変更申請が不要とされる軽微な変更もあります。企業の住所や代表者名の変更、電話番号の変更など、計画の本質に影響しない事項については変更申請は不要です。
経営指標の目標数値について、計画期間中の実績に基づいて合理的な範囲で修正する場合も軽微な変更として扱われます。ただし大幅な目標値の変更は計画の趣旨を変えるものとみなされ、変更申請が必要になる可能性があります。
設備投資に関しても、設備の型番や仕様の細かな変更程度であれば軽微な変更に該当する場合があります。ただし判断に迷う場合は、事業所管の省庁や認定支援機関に事前確認することをおすすめします。変更申請が必要か不要かの判断を誤ると、税制優遇が受けられなくなるリスクがあるためです。
設備取得のタイミングと60日ルール
設備追加における最も重要なポイントは、設備取得のタイミングです。原則として変更認定を受けてから設備を取得する必要がありますが、例外として60日ルールが設けられています。
原則は変更認定後の設備取得
経営力向上計画に追加する設備は、取得前に経営力向上計画の変更認定を受けることが原則です。これは当初計画の新規申請時と同じルールで、認定前に取得した設備は原則として税制優遇の対象になりません。
したがって設備追加の変更申請を行う際は、まず変更認定申請書を提出し、認定を受けてから設備を発注・取得するという順序を守る必要があります。変更認定の標準処理期間は約30日かかるため、設備導入のスケジュールには余裕を持った計画が求められます。
この原則に従うことで、税制優遇を確実に受けられる体制が整います。特に高額な設備投資を行う場合、即時償却や税額控除のメリットは非常に大きいため、手続きの順序を間違えないよう注意が必要です。
60日以内ルールの例外措置
例外として経営力向上計画申請前に設備を取得する場合、申請書到達日から遡って60日以内に設備を取得していれば変更認定の対象となります。つまり設備取得日から60日以内に変更申請が行政庁に到達すれば、税制優遇を受けられる可能性があります。
この例外措置は事業環境の変化などにより急遽設備を導入する必要が生じた場合に活用できます。ただし60日ルールを適用する場合でも、遅くとも当該設備を取得し事業の用に供した事業年度内に認定を受ける必要があります。
事業年度末近くに設備を取得した場合、60日以内に申請しても認定が翌年度になってしまうと、その年度の税制適用は受けられません。したがって決算期を考慮した上で、できるだけ早めに変更申請することが重要です。なお事業承継等を伴う設備取得やE類型を活用する場合は、この60日ルールの例外措置は適用されませんので注意してください。
変更認定申請の具体的な手続き
設備追加の変更認定申請には、電子申請と紙申請の2つの方法があります。必要書類を揃えた上で、適切な窓口に提出する流れとなります。
変更申請に必要な書類
変更認定申請には複数の書類提出が必要です。まず認定経営力向上計画の変更に係る認定申請書である様式第2を準備します。この申請書には変更後の経営力向上計画も添付します。原本一通と副本一通の計2通が必要です。
経営力向上計画に係る実施状況報告書も原本一通を提出します。これは当初計画の進捗状況を報告するもので、変更申請時には必須となります。前回認定された経営力向上計画の写し一通も添付書類として求められます。
税制措置の適用を受ける場合は、工業会等の証明書またはB類型・D類型・E類型の経済産業局確認書の写しが必要です。これらの書類は原本を申請者が保管し、写しを提出します。税の申告時にも必要になるため、提出資料の写しは必ず手元に残しておきます。返信用封筒もA4の認定書を折らずに返送可能なもので、返送用の宛先を記載し切手を貼付して同封します。
電子申請と紙申請の手順
変更認定申請は経営力向上計画申請プラットフォームから電子申請が可能です。プラットフォームを利用するにはGビズIDプライムアカウントが必要で、取得には約2週間かかるため事前準備が重要です。
電子申請では申請書作成時にエラーチェックや自動計算などのサポート機能を活用できます。経済産業部局宛のみの申請であれば認定までの期間が約14日と短縮されるメリットもあります。申請書の郵送費用も不要になります。
紙申請を行う場合は中小企業庁ホームページから申請書様式をダウンロードして作成します。変更箇所には下線を引き、変更内容を明確にします。完成した申請書と必要書類を事業分野に応じた提出先へ郵送します。提出先は事業分野により異なるため、事業分野と提出先の一覧で確認が必要です。なお中小企業経営強化税制C類型の適用を考える場合は現在郵送のみの受付となっています。
変更申請時の重要な注意点
設備追加の変更申請では、タイミングや証明書の取得など注意すべきポイントが複数あります。これらを理解しておくことで、スムーズな手続きと確実な税制優遇の適用が可能になります。
工業会証明書・確認書の事前取得
税制措置を受けるには変更申請前に工業会証明書または経済産業局の確認書を取得する必要があります。A類型の生産性向上設備では工業会等による証明書、B類型の収益力強化設備やD類型・E類型では経済産業局による確認書が求められます。
これらの証明書や確認書は設備取得前に申請する必要があります。工業会証明書の発行には数日から2ヶ月程度かかることもあるため、早めの申請が重要です。発行期間は工業会によって異なるため、事前に問い合わせて確認することをおすすめします。
確認書や証明書がない状態で変更申請を行っても、税制措置の適用は受けられません。設備追加を検討する段階で、必要な証明書の種類と取得方法を確認し、スケジュールに余裕を持って準備を進めましょう。
事業年度内認定の重要性
税制優遇を受けるためには設備を事業の用に供した事業年度内に変更認定を受けることが必須条件です。設備を導入した年度内に認定されなければ、その年度の即時償却や税額控除は適用されません。
例えば3月決算の企業が2月に設備を取得した場合、3月末までに変更認定を受けなければなりません。変更申請の標準処理期間は約30日かかるため、決算期末近くの設備取得は特に注意が必要です。
60日ルールを活用する場合でも、事業年度内認定という条件は変わりません。設備取得から60日以内に申請しても、認定が翌年度にずれ込めば当該年度の税制適用は受けられなくなります。したがって設備投資を計画する際は、決算期を十分に考慮したスケジュール設定が不可欠です。申請書に不備があると処理期間が長期化するため、記載例を参考に正確な書類作成を心がけましょう。
まとめ
経営力向上計画の設備追加には原則として変更認定申請が必要で、取得前に認定を受けることが基本ルールです。例外として60日以内ルールがあり、設備取得日から60日以内に申請が到達すれば対象となりますが、事業年度内の認定が税制優遇の必須条件となります。
変更申請には様式第2の申請書・実施状況報告書・工業会証明書または確認書などが必要で、電子申請または紙申請で提出します。軽微な変更は申請不要ですが、設備追加や重要な仕様変更には必ず変更認定が求められます。証明書の取得に時間がかかるため早めの準備が重要で、決算期を考慮したスケジュール管理により確実な税制優遇の適用を実現できます。

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