工場の経営力向上計画完全ガイド|設備投資で最大限活用する方法

工場を持つ製造業にとって、経営力向上計画は設備投資の税負担を大幅に軽減できる有効な制度です。製造業は全認定件数の約3分の1を占め、最も活用が進んでいる業種です。
本記事では、工場における経営力向上計画の申請方法から、設備投資による税制優遇の具体的な活用法まで詳しく解説します。
この記事の監修
中小企業診断士 関野 靖也
大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。
中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士
工場における経営力向上計画の基本
製造業の工場では、生産設備や機械装置への投資が経営の重要課題です。経営力向上計画を活用することで、これらの設備投資に対する大きな優遇措置を受けられます。
製造業が最多認定を受ける理由
経営力向上計画の認定件数を業種別に見ると、製造業が最も多く全体の約3分の1を占めています。令和3年5月時点で製造業の認定は45,915件にのぼり、建設業の30,931件を大きく上回ります。
この理由は、製造業では設備投資の機会が多く、税制優遇措置のメリットを最大限享受できるためです。工作機械、プレス機、射出成形機、産業用ロボット、搬送装置など、工場で使用される様々な設備が税制措置の対象となります。
また製造業には専用の事業分野別指針が策定されており、業界特有の課題や生産性向上の方法が明確に示されています。この指針に基づいて計画を策定することで、認定を受けやすくなっているのも特徴です。
工場の生産性向上は労働生産性という明確な指標で測定できます。営業利益に人件費と減価償却費を加えた額を従業員数で割った数値で、設備投資による自動化や効率化の効果を定量的に示せるため、計画の妥当性を説明しやすいのです。
工場で活用できる税制優遇措置
経営力向上計画の認定を受けた工場が設備投資を行う場合、中小企業経営強化税制による大きな税制優遇を受けられます。即時償却または税額控除のいずれかを選択できる点が最大の魅力です。
即時償却を選択した場合、取得設備の全額を初年度に償却できます。通常であれば数年かけて減価償却する費用を、一度に経費計上できるため、投資年度の法人税を大幅に削減できます。資金繰りの改善に直結する方法です。
税額控除を選択した場合、取得価額の10パーセント(資本金3000万円超1億円以下の法人は7パーセント)を法人税額から直接差し引けます。長期的に見れば税額控除のほうが節税効果が高く、安定した利益が見込める工場に適しています。
対象となる設備は、機械装置、工具、器具備品、建物附属設備、ソフトウェアなど多岐にわたります。工場の空調設備、照明設備、電気設備なども建物附属設備として対象になる可能性があります。
工場の設備投資で必要な証明書
工場で経営力向上計画による税制措置を受けるには、設備取得前に工業会等による証明書または経済産業大臣による確認書の取得が必須です。
工業会証明書(A類型)の取得方法
A類型は生産性向上設備を対象とした類型で、工業会等が発行する証明書が必要です。対象設備は、機械装置であれば160万円以上、工具及び器具備品であれば30万円以上、建物附属設備であれば60万円以上、ソフトウェアであれば70万円以上という取得価額要件があります。
手続きの流れは、まず設備メーカーに証明書発行を依頼します。設備メーカーが工業会等に申請し、審査を経て証明書が発行されます。この証明書の写しを添付して経営力向上計画を申請する流れです。
証明書の取得には通常2週間から1か月程度かかります。設備の発注前、遅くとも納入前には証明書を取得しておく必要があるため、早めの手続き開始が重要です。工場の生産計画に合わせて、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
注意点として、証明書は設備取得前に申請する必要があります。すでに購入してしまった設備については原則として対象外となるため、計画段階から制度の活用を検討することが大切です。
経産局確認書(B・D・E類型)の取得
B類型は収益力強化設備、D類型は経営資源集約化設備、E類型は経営規模拡大設備を対象とします。これらは経済産業大臣(経済産業局)による確認書が必要で、投資計画の審査を受けます。
B類型では、投資利益率が年平均5パーセント以上となる投資計画であることが要件です。設備投資によってどれだけ利益が向上するかを具体的に示す必要があり、工場の生産能力増強や省人化による人件費削減などの効果を定量的に説明します。
D類型は事業承継等に伴う設備投資が対象で、修正ROAまたは有形固定資産回転率の向上が求められます。工場の事業承継を機に最新設備を導入し、生産性を大幅に向上させる場合に活用できます。
E類型は令和7年度税制改正で新設された類型で、経営規模拡大を目指す企業の設備投資を支援します。詳細は中小企業庁のホームページで順次公開される予定です。工場の大規模な増設計画がある企業は注目すべき制度です。
工場の生産性向上計画の策定ポイント
経営力向上計画の核心は、工場の生産性をどのように向上させるかという具体的な取り組み内容です。実現可能で効果的な計画を策定しましょう。
労働生産性向上の具体策
製造業の経営力向上計画では、労働生産性の向上が最重要指標となります。3年計画で4.5パーセント以上、5年計画で7.5パーセント以上の伸び率を目標として設定する必要があります。
具体的な取り組みとして、生産設備の自動化が効果的です。人手で行っていた作業を自動機に置き換えることで、少ない人員で同等以上の生産量を実現できます。搬送の自動化、検査の自動化、梱包の自動化など、工場内の様々な工程で自動化の余地があります。
IoT技術の導入も有効です。工場内の設備にセンサーを設置し、稼働状況をリアルタイムで把握することで、設備の停止時間を最小化できます。予知保全により突発的な故障を防ぎ、計画的なメンテナンスで稼働率を向上させられます。
従業員のスキル向上も重要な要素です。多能工化により、一人の従業員が複数の工程を担当できるようになれば、人員配置の柔軟性が高まります。技能講習や資格取得支援を計画に盛り込むことで、人材育成による生産性向上を示せます。
現状認識と課題の明確化
経営力向上計画の申請書には、自社の現状認識を記載する欄があります。工場が抱える具体的な課題を明確に示すことで、計画の必要性と妥当性を説明できます。
現状認識では、自社の事業概要、商品・サービスの特徴、市場での位置づけを記載します。工場の生産品目、主要顧客、競合状況などを簡潔にまとめましょう。自社の強みと弱みを分析し、SWOT分析の形で整理すると分かりやすくなります。
具体的な課題としては、人手不足による生産能力の限界、老朽化した設備による生産性の低下、品質のばらつき、リードタイムの長さなどが考えられます。これらの課題が経営にどのような影響を与えているかを数値も交えて説明します。
外部環境の変化も重要な要素です。原材料価格の高騰、人件費の上昇、顧客ニーズの多様化など、工場を取り巻く環境変化への対応策として、経営力向上計画による設備投資や業務改善が必要であることを示しましょう。
実施事項の具体的な記載
経営力向上の内容として、いつまでに何を実施するかを具体的に記載する必要があります。製造業の場合、規模に応じて記載すべき項目数が定められています。
小規模企業の場合は、人材育成、コスト管理、設備投資、IT利活用の4項目から1項目以上の記載が必要です。中規模企業の場合は、これら4項目から2項目以上と、財務管理または店舗・事業場の集約から1項目以上の記載が求められます。
設備投資を記載する場合は、導入する設備の名称、取得予定時期、取得予定価額を明記します。その設備によってどのような効果が得られるかを、生産能力の向上、不良率の低下、省人化の人数など、できるだけ定量的に示すことが重要です。
実施時期も具体的に記載しましょう。計画初年度に設備を取得し、2年目に従業員研修を実施し、3年目に効果を検証するといった時系列で整理すると、計画の実現可能性を示せます。
まとめ
工場における経営力向上計画は、製造業が最も活用している制度で、全認定件数の約3分の1を占めます。設備投資による即時償却または税額控除という大きな税制優遇を受けられるため、工場の生産設備更新には必須の制度といえます。
税制措置を受けるには、設備取得前に工業会等による証明書または経済産業局の確認書を取得する必要があります。A類型の工業会証明書は設備メーカーを通じて取得し、B・D・E類型は投資計画を経産局に提出して確認を受けます。
計画策定では、労働生産性の向上を中心指標として、自動化やIoT導入、従業員のスキル向上など具体的な取り組みを記載します。現状の課題を明確にし、それを解決するための設備投資や業務改善の内容を、時期と効果を含めて詳細に示すことが重要です。
認定を受けることで、税制優遇に加えて低利融資などの金融支援も受けられます。工場の競争力強化には継続的な設備投資が不可欠です。経営力向上計画を戦略的に活用し、生産性向上と持続的成長を実現しましょう。

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