建設業の経営力向上計画完全ガイド|申請から認定まで徹底解説

建設業は経営力向上計画の認定件数が製造業に次いで2番目に多く、多くの建設企業が税制優遇や金融支援を活用しています。しかし建設業特有の指針や申請方法を理解している企業はまだ少数です。
本記事では、建設業における経営力向上計画の申請方法から活用事例まで詳しく解説します。
この記事の監修
中小企業診断士 関野 靖也
大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。
中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士
建設業における経営力向上計画の特徴
建設業は国土交通省が所管する事業分野として、独自の事業分野別指針が策定されています。一般的な経営力向上計画とは異なる特徴を理解することが重要です。
建設業分野別指針の重要性
建設業で経営力向上計画を申請する場合、建設業分野に係る経営力向上に関する指針に基づいて計画を策定する必要があります。この指針は平成28年10月に策定され、建設業における中小企業者等の経営力向上が特に必要であるという認識のもと制定されました。
指針では、労働生産性に加えて建設業独自の経営指標が設定されています。技能労働者の処遇改善や産業全体で付加価値を向上させるという観点から、建設業に特化した指標が追加されているのが特徴です。
建設関連業や建築設計業の場合は、一部の記載要件が異なります。労働生産性を指標とすることは共通していますが、実施事項の記載において建設業とは異なる扱いとなるため注意が必要です。
令和3年5月時点で、建設業の認定事業者数は30,931件と、製造業に次いで2番目に多い認定件数となっています。これは建設業界において経営力向上計画の活用が進んでいることを示しています。
建設業ならではの支援措置
建設業の経営力向上計画には、他の業種にはない独自の支援措置が用意されています。最も重要なのが建設業法上の許認可の承継の特例です。通常、事業承継等を行う際には許認可を取り直す必要がありますが、この特例により承継できます。
経営力向上計画の申請時に事業承継等を行う旨を記載し、許認可承継の特例上で定められた事業を承継する場合に適用されます。建設業許可の承継が認められることで、事業承継がスムーズに進められます。
また建設業界の課題解決のため、人への投資と経営のイノベーションを中心とした取り組みが求められています。技能と経験を蓄積した熟練工の育成・活用など、人材の効率的活用が重視されている点も建設業の特徴です。
税制措置、金融支援、法的支援という3つの柱は他業種と共通ですが、建設業においては特に設備投資による即時償却や税額控除が大きなメリットとなります。建設機械や車両の購入時に活用できます。
建設業の経営力向上計画申請方法
建設業の場合、提出先や必要書類が他の業種と異なります。スムーズな申請のために正確な手順を把握しましょう。
提出先と申請方法
建設業分野の経営力向上計画は、国土交通省の各地方整備局が窓口となります。例えば関東地方の建設業であれば、関東地方整備局建政部建設産業第一課が提出先です。建設関連業や不動産業分野の場合は建設産業第二課となります。
提出先は企業の所在地によって異なるため、必ず事前に確認が必要です。関東地方整備局の場合、さいたま市中央区新都心のさいたま新都心合同庁舎2号館が所在地となっています。郵送の際は送達過程が記録される簡易書留等の使用が推奨されています。
電子申請も可能で、経営力向上計画申請プラットフォームからオンラインで提出できます。ただし利用にはGビズIDプライムが必要です。電子申請の場合、標準処理期間が約30日となりますが、郵送申請でも同程度の期間がかかります。
申請書に不備がある場合は照会や差し戻しが発生し、手続き時間が長期化します。決算期を考慮の上、早めに提出することが重要です。申請内容の不備を補正する期間は標準処理期間に含まれないため注意してください。
必要書類と記載のポイント
建設業の経営力向上計画申請には、様式第1の認定申請書が基本となります。中小企業庁のホームページに建設業用の記載例が掲載されているため、参考にしながら作成することをおすすめします。
申請書には、企業の概要、現状認識、経営力向上の目標及び指標、経営力向上の内容を記載します。建設業の場合、労働生産性を中心指標とし、計画期間に応じて3年間で4.5パーセント以上、4年間で6パーセント以上、5年間で7.5パーセント以上の伸び率が求められます。
実施事項については、建設業の規模によって記載要件が異なります。小規模の場合は一から四の項目から1項目以上、中規模の場合は一から四の項目から2項目以上と五から六の項目から1項目以上の記載が必要です。
設備投資による税制措置を受ける場合は、工業会等による証明書または経済産業局による確認書が必要です。これらは設備取得前に取得する必要があるため、計画的な準備が求められます。
建設業における経営力向上の実施内容
建設業では、人への投資と経営のイノベーションを中心とした具体的な取り組みが求められます。効果的な実施内容を選択しましょう。
人材育成と技能継承
建設業における最重要課題の一つが、熟練技能者の育成と技能継承です。経営力向上計画では、体系的な教育訓練制度の構築、OJTの充実、資格取得支援などの取り組みを記載できます。
具体的には、若手技能者向けの研修プログラムの実施、ベテラン技能者による技能指導体制の整備、外部研修への参加支援などが挙げられます。これらの取り組みにより、技能と経験を蓄積した人材を効率的に活用できます。
処遇改善も重要なテーマです。社会保険の加入促進、適切な賃金水準の確保、労働時間の適正化などを計画に盛り込むことで、技能労働者の定着率向上につながります。
また建設キャリアアップシステムの活用も推奨されています。技能者の経験や資格を業界横断的に登録・蓄積することで、適正な評価と処遇改善が可能になります。
ICT・新技術の導入
建設業の生産性向上には、ICTや新技術の積極的な導入が不可欠です。経営力向上計画では、建設機械のICT化、BIM/CIMの活用、ドローンによる測量などの先進技術導入を記載できます。
具体的には、3次元測量データを活用したICT建設機械による施工、クラウド型の工事管理システムの導入、遠隔臨場システムの活用などが考えられます。これらにより現場の効率化と省力化が実現します。
また営業や経理などバックオフィス業務のデジタル化も重要です。電子契約システム、クラウド会計ソフト、勤怠管理システムなどの導入により、間接業務の効率化が図れます。
新技術や工法の導入も生産性向上に寄与します。プレキャスト製品の活用、新工法の採用などにより、工期短縮とコスト削減を実現できます。これらの取り組みを具体的に計画に記載することが重要です。
経営管理体制の強化
建設業では、適切な経営管理体制の構築が経営力向上の基盤となります。財務管理の高度化、原価管理の徹底、受注管理の最適化などを計画に盛り込むことができます。
ローカルベンチマークの活用も推奨されています。これは企業の経営状態を把握するための経営診断ツールで、財務情報と非財務情報を組み合わせて分析します。経営力向上計画の申請時にはローカルベンチマークの算出結果を記入する必要があります。
原価管理の精度向上も重要なテーマです。工事ごとの収支管理を徹底し、採算性の見える化を進めることで、利益率の改善につながります。受注判断の精度も高まります。
安全管理体制の強化も経営力向上の一環です。安全教育の充実、安全設備の導入、労働災害の防止などにより、安全で働きやすい職場環境を整備できます。これは人材確保の観点からも重要な取り組みです。
まとめ
建設業における経営力向上計画は、建設業分野別指針に基づいて策定する必要があります。労働生産性を中心指標としつつ、人への投資と経営のイノベーションを重視した計画が求められます。
提出先は国土交通省の各地方整備局で、電子申請または郵送で提出できます。建設業法上の許認可承継の特例など、建設業ならではの支援措置が用意されている点が大きな特徴です。
実施内容としては、技能者の育成と技能継承、ICT・新技術の導入、経営管理体制の強化などが中心となります。具体的で実現可能な取り組みを計画に盛り込み、3年から5年で着実に経営力を向上させることが重要です。
認定を受けることで、即時償却や税額控除といった税制優遇、低利融資などの金融支援、許認可承継の特例といった法的支援を受けられます。建設業の認定件数は製造業に次いで多く、多くの建設企業が経営力向上計画を活用しています。自社の経営課題を明確にし、適切な支援措置を活用して持続的な成長を目指しましょう。

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