経営力向上計画のABCD類型を完全解説!選び方と手続き

 経営力向上計画で税制優遇を受けるには、A類型からD類型まで設備の目的に応じた類型選択が重要です。
各類型には異なる要件と手続きがあり、適切な選択で即時償却または10%の税額控除が受けられます。

本記事では、製造業やサービス業など業種を問わず活用できる各類型の特徴、申請手続き、選び方まで実務に即して解説します。

この記事の監修

中小企業診断士 関野 靖也

大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。

中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士

経営力向上計画の類型制度とは

中小企業経営強化税制における類型制度は、設備投資の目的や性質に応じて4つの区分が設けられています。認定を受けることで大きな税制メリットを享受できる仕組みです。

 

経営力向上計画の類型は、A類型(生産性向上設備)、B類型(収益力強化設備)、C類型(デジタル化設備)、D類型(経営資源集約化設備)の4種類で構成されていました。ただし、2025年4月1日よりC類型は廃止され、現在はA・B・D類型の3つが主要な区分となっています。

 

各類型は設備の特性や導入目的に応じて要件が異なり、必要な証明書類や申請手続きも類型ごとに設定されています。A類型は工業会等による証明書が、B・D類型は経済産業局による確認書が必要です。

 

税制優遇の内容は全類型共通で、即時償却または取得価額の10%の税額控除を選択できます。資本金3000万円超1億円以下の法人は税額控除率が7%となります。設備投資のタイミングや企業の収益状況に応じて、有利な方を選択することが可能です。

A類型(生産性向上設備)を詳しく解説

A類型は生産性向上を目的とした設備投資に適用される類型で、最も一般的に利用されています。工業会等からの証明書取得により、比較的スムーズに手続きを進められる特徴があります。

A類型の対象設備と要件

対象となる設備は、機械装置、測定工具及び検査工具、器具備品、建物附属設備、ソフトウェアの5種類です。それぞれに最低取得価額が設定されており、

 

機械装置は160万円以上

測定工具及び検査工具は30万円以上

器具備品は30万円以上

建物附属設備は60万円以上

ソフトウェアは70万円以上が要件となります。

 

設備は一定期間内に販売が開始されたモデルである必要があります。具体的には、機械装置は10年以内、工具は5年以内、器具備品は6年以内、建物附属設備は14年以内、ソフトウェアは5年以内に販売開始されたものが対象です。

 

最も重要な要件は、経営力の向上に資する指標が旧モデルと比較して年平均1%以上向上することです。生産効率、エネルギー効率、精度などの指標で判断され、カタログ値や仕様書で証明します。

A類型の申請手続き

A類型の手続きは、まず設備メーカーに証明書発行を依頼することから始まります。メーカーは工業会等に申請し、要件を満たしていることの証明書を取得します。この証明書発行には数日から2カ月程度かかるため、早めの準備が必要です。

 

証明書を入手したら、経営力向上計画の申請書に証明書の写しを添付して、事業分野を所管する主務大臣に提出します。計画が認定されたら、認定書の交付を受けて設備を取得します。原則として設備取得は計画認定後ですが、例外的に設備取得日から60日以内に計画申請が受理される場合も認められます。

 

税務申告の際には、工業会証明書、計画申請書および認定書の各写しを添付して申告することで、税制優遇措置の適用を受けられます。

B類型(収益力強化設備)を詳しく解説

B類型は投資利益率の向上を重視した類型で、オーダーメイド設備や販売開始時期の制約を受けない設備にも適用できる柔軟性が特徴です。経済産業局による確認が必要な分、手続きはA類型よりやや複雑です。

B類型の対象設備と要件

対象設備はA類型と同じく、機械装置、工具、器具備品、建物附属設備、ソフトウェアの5種類です。最低取得価額もA類型と同一の基準が適用されます。

 

A類型との最大の違いは、販売開始時期に制限がない点です。そのため、特注品やオーダーメイド設備、最新鋭の設備など、幅広い設備が対象となります。ただし、年平均の投資利益率が5%以上見込まれることが必須要件です。

 

投資利益率は、営業利益の増加額を投資額で割って算出します。投資計画書では、設備導入による売上増加や経費削減効果を具体的な数値で示し、5%以上の利益率達成の根拠を明確にする必要があります。

B類型の申請プロセス

B類型の申請は、まず投資計画案を作成し、税理士または公認会計士による事前確認を受けます。事前確認では、投資計画の妥当性や投資利益率の計算根拠などが審査されます。事前確認書が発行されたら、それを添付して経済産業局に確認申請を行います。

 

経済産業局での確認には標準処理期間として30日程度かかります。確認書が交付されたら、その写しを添付して経営力向上計画を主務大臣に申請します。計画認定後に設備を取得し、税務申告時に必要書類を添付して税制優遇の適用を受けます。

 

B類型では、設備取得後も実施状況の報告義務があります。取得した事業年度の翌事業年度終了後4カ月以内に、投資利益率の達成状況を経済産業局に報告する必要があります。

C類型(デジタル化設備)の廃止について

C類型は2020年に追加されたデジタル化促進のための類型でしたが、制度改正により2025年4月1日をもって廃止されました。その背景と今後の対応について解説します。

 

C類型は、テレワーク環境の整備や業務の遠隔操作化、可視化、自動制御化を目的とした設備投資を支援する制度でした。新型コロナウイルス感染症の影響でテレワーク需要が高まった時期に創設され、非対面での業務実施や在宅勤務を可能にする設備が対象でした。

 

廃止の主な理由は、デジタル化設備が企業の標準的な投資となり、特別な支援枠を設ける必要性が低下したためです。IoTや自動化技術は一般的な設備投資の一部として広く普及し、特定の税制優遇を必要とする新技術ではなくなりました。

 

今後デジタル化設備を導入する企業は、A類型またはB類型での申請を検討することになります。デジタル技術の活用により生産性が1%以上向上する場合はA類型、投資利益率5%以上が見込まれる場合はB類型が適用可能です。

D類型(経営資源集約化設備)を詳しく解説

D類型はM&Aなど経営資源の集約化を伴う設備投資を支援する類型で、事業承継や企業統合を行う企業に特化した制度です。他の類型とは性質が大きく異なります。

D類型の対象と特徴

D類型の対象は、経営力向上計画に事業承継等事前調査の記載があり、計画に基づいてM&Aを実施した後に取得する設備です。対象設備の種類や最低取得価額はA・B類型と同じですが、事業承継等を行うことが前提条件となります。

 

事業承継等とは、吸収合併、新設合併、吸収分割、新設分割、株式交換、株式移転、事業譲渡などを指します。これらの手法により他社から事業を引き継ぎ、経営資源を統合することで生産性向上を目指す企業が対象です。

 

計画終了年次において、修正ROAまたは有形固定資産回転率が所定の要件を満たすことが見込まれる必要があります。この要件について経済産業局の確認を受けた投資計画に基づく設備であることが求められます。

D類型の申請における注意点

D類型の申請は、事業承継等の実施前に経営力向上計画を作成し、事業承継等事前調査の内容を記載する必要があります。投資計画案を作成して税理士または公認会計士の事前確認を受け、経済産業局に確認申請を行う流れはB類型と同様です。

 

設備取得のタイミングは、事業承継等を行った後である点が重要です。M&A実施前に設備を取得しても、D類型の要件を満たしません。計画の実施時期と事業承継のスケジュールを綿密に調整する必要があります。

 

D類型でも実施状況報告が必要で、事業承継等を行った事業年度の翌事業年度終了後4カ月以内に、計画の達成状況を認定を受けた主務大臣に報告します。

各類型の比較と選び方

各類型には明確な違いがあり、設備の特性や企業の状況に応じて最適な類型を選択することが重要です。類型選択を誤ると税制優遇を受けられないリスクがあります。

 

A類型は、一定期間内に販売開始された標準的な設備で、カタログ等により生産性向上が証明できる場合に適しています。手続きが比較的簡単で、工業会証明書の取得だけで済むため、初めて経営力向上計画を申請する企業に向いています。製造業の生産設備や小売業のPOSシステムなど、幅広い業種で活用できます。

 

B類型は、オーダーメイド設備や最新鋭の設備、または販売開始から長期間経過した設備など、A類型の要件を満たさない場合に選択します。投資利益率5%以上の達成が見込める計画的な設備投資であれば、柔軟に対応できる利点があります。ただし経済産業局の確認に時間を要するため、余裕を持った申請が必要です。

 

D類型は、M&Aを実施する企業専用の類型です。事業承継や企業統合により経営資源を集約し、設備投資により統合効果を高める場合に活用します。A類型やB類型の要件も満たしていれば、複数の類型で同時に申請することも可能です。

まとめ

経営力向上計画の類型制度は、A類型の生産性向上設備、B類型の収益力強化設備、D類型の経営資源集約化設備の3つが主要な選択肢です。C類型は2025年4月に廃止されましたが、デジタル化設備はA類型やB類型で対応可能です。

 

設備の特性に合わせた類型選択と、工業会証明書または経済産業局確認書の適切な取得が、税制優遇を受けるための鍵となります。各類型の要件を正確に理解し、認定支援機関のサポートも活用しながら、自社に最適な申請を行いましょう。

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