経営力向上計画に係る認定申請書・認定書の写しとは

中小企業の経営力向上を支援する制度において、認定申請書の写しと認定書の写しは重要な証明書類です。これらは税制優遇や補助金申請、金融支援を受ける際に必要となります。本記事では、これらの書類の入手方法から活用場面まで詳しく解説します。
この記事の監修
中小企業診断士 関野 靖也
大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。
中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士
認定申請書の写しと認定書の写しは、中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けた証明となる書類です。これらの書類は、計画認定後に主務大臣から交付され、各種支援措置を受ける際の必須書類となります。
経営力向上計画制度の概要
経営力向上計画は、人材育成、財務管理の改善、設備投資などを通じて企業の経営力を高める取り組みを記載した計画書です。
中小企業者等が事業分野別指針に沿って計画を策定し、各省庁に申請します。認定を受けることで、法人税の即時償却や税額控除、金融支援、法的支援などの優遇措置が利用できるようになります。
申請から認定までの標準的な処理期間は、単一省庁の場合で約30日、複数省庁にまたがる場合は約45日です。経済産業部局のみへの電子申請であれば約14日で認定が得られます。
認定申請書の写しが必要となる場面
認定申請書の写しは、経営力向上計画が 申請段階にあることを対外的に示すための重要な確認資料 として、さまざまな実務の場面で提出を求められます。認定書が交付される前であっても、計画に基づく取り組みであることを説明する必要がある場合には、申請書の写しがその役割を果たします。
代表的な場面の一つが、補助金の申請手続きです。省エネルギー関連補助金やものづくり補助金などでは、事業が経営力向上計画に沿った内容であることを示す資料として、認定申請書の写しの提出を求められることがあります。認定書の交付時期が補助金の申請期限に間に合わない場合であっても、まずは申請書の写しを提出し、認定書が交付され次第、追加で提出するという対応が認められているケースも多く見られます。
また、税務申告において中小企業経営強化税制を適用する場合にも、認定申請書の写しが必要となることがあります。設備投資に係る即時償却や税額控除を受ける際には、当該投資が経営力向上計画に基づくものであることを説明する資料として、申請書の写しを税務署へ提出します。これは、認定書が交付される前の段階であっても、制度利用の前提となる計画が正式に申請されていることを示すための重要な書類です。
このように、認定申請書の写しは、認定前後の移行期間において制度活用を円滑に進めるための橋渡し的な書類として、実務上大きな役割を担っています。
認定書の写しが必要となる場面
認定書の写しは、経営力向上計画が 国の正式な認定を受けたことを客観的に証明する最も重要な書類 です。計画の内容そのものだけでなく、「認定済みである」という事実を示す根拠資料として、各種手続きにおいて中核的な役割を担います。
まず、税制優遇措置を適用する場面では、認定書の写しの提出が不可欠となります。中小企業経営強化税制を活用し、設備投資に係る即時償却や税額控除を受ける場合には、法人税または所得税の確定申告時に、税務申告書へ認定書の写しを添付して提出します。これは、当該設備投資が経営力向上計画に基づくものであることを税務署に対して明確に示すための公式な証明資料となります。
次に、経営力向上計画の変更申請を行う場合にも、直近の認定書の写しが必要となります。設備の追加や投資内容の変更、計画全体の見直しを行う際には、既に認定を受けている計画内容との整合性を確認する必要があるため、過去の認定内容を示す資料として認定書の写しを添付します。この手続きを通じて、計画の継続性や一貫性が担保されます。
さらに、金融機関から融資を受ける場面においても、認定書の写しは重要な提出書類となります。特に、日本政策金融公庫の低利融資制度など、経営力向上計画の認定を要件とする金融支援を利用する場合には、計画が正式に認定されていることを示す資料として、認定書の写しの提出が求められます。金融機関にとっては、国の制度に基づき評価された計画であることを確認するための判断材料となります。
このように、認定書の写しは、税務、制度申請、金融取引といった複数の実務領域において活用されるため、計画認定後は確実に入手し、適切に管理しておくことが極めて重要です。
認定申請書・認定書の写しの入手方法
認定申請書と認定書の入手方法は、電子申請と書面申請で異なります。
令和4年4月以降、経済産業部局への申請は原則として電子申請に移行しており、入手方法も変更されています。
電子申請での取得方法
経営力向上計画申請プラットフォームを利用して電子申請を行った場合、認定後にシステム上から認定書をダウンロードできます。
まずGビズIDプライムアカウントでプラットフォームにログインします。アカウント取得には、時間がかかる場合もあるため、計画的な準備が必要です。
認定後は、マイページから認定書をいつでもPDF形式でダウンロード可能です。郵送による返送はなくなったため、返信用封筒や切手の準備も不要となりました。申請書については、申請時にシステムから印刷またはダウンロードして保管しておくことをお勧めします。
電子申請では、申請書作成時のエラーチェック機能や自動計算機能が利用でき、記入漏れを防ぐことができます。
書面申請での取得方法
やむを得ない事情により、経営力向上計画を 書面で申請した場合 は、認定手続き完了後、認定書および認定申請書の写しが 郵送により交付 されます。電子申請とは異なり、書類の返送方法や事前準備に注意が必要です。
書面申請を行う際には、認定書が A4サイズで折らずに返送できる返信用封筒 をあらかじめ同封し、所定の郵送料金に相当する切手を貼付する必要があります。返送される認定書は、認定の真正性を担保するため 袋とじの状態 となっているため、受領後は開封や加工を行わず、そのままの形で保管することが求められます。
また、認定申請書については、提出後に原本が返却されないケースもあるため、提出前に必ず写しを作成し、社内で保管しておくことが重要 です。認定申請書の写しは、後日の税務申告や補助金申請において、計画内容を確認・証明する資料として提出を求められる場面があるため、原本送付前の複写は実務上不可欠な対応となります。
書面申請は、電子申請に比べて手続きが煩雑になりやすいため、返送方法や書類管理まで含めて、事前に十分な準備を行うことが重要です。
紛失時の対応方法
経営力向上計画に関する 認定書または認定申請書の写しを紛失した場合 は、放置せず、できるだけ早い段階で対応することが重要です。これらの書類は、税務申告や補助金申請、金融機関との手続きなど、後日の実務で提出を求められる場面が多いため、紛失に気づいた時点で速やかに再取得の手続きを進める必要があります。
電子申請で計画を提出している場合 は、経営力向上計画申請プラットフォーム上から、認定書を再度ダウンロードすることが可能です。認定後に発行される書類は、マイページ上でPDF形式として管理されているため、ログイン情報を適切に保管していれば、必要なタイミングでいつでも再入手できます。こうした点からも、GビズIDや関連アカウントの管理は、経営実務の一部として位置づけておくことが望まれます。
一方、書面申請によって認定を受けた場合 は、電子的な再ダウンロードができないため、認定を行った省庁や地方局に直接問い合わせ、再交付や写しの取得方法について確認することになります。経営力向上計画は、事業分野によって所管する主務大臣や提出先が異なるため、まずは自社の計画がどの機関によって認定されたのかを整理し、その上で正しい窓口に連絡することが最初のステップとなります。
このように、申請方法によって対応手順は異なりますが、いずれの場合も 早期対応と正確な窓口確認 が、実務への影響を最小限に抑えるポイントとなります。
認定申請書・認定書の写しの保管と管理
認定申請書と認定書は、計画期間中および税務申告期間中は適切に保管する必要があります。紛失や破損を防ぐための管理方法を理解しておきましょう。
適切な保管方法
経営力向上計画の認定書は、認定の真正性を担保するため 袋とじの状態で交付 されます。このため、受領後は開封や加工を行わず、原状のまま保管しておくことが実務上望ましい対応といえます。特に税務申告や金融機関への提出時には、原本性が重視される場面もあるため、状態を維持したまま管理することが重要です。
あわせて、認定書や認定申請書については、デジタルデータとしてPDF化し、複数の保存先にバックアップを取っておく ことで、紛失や劣化のリスクを大幅に低減できます。クラウドストレージに保存する方法に加え、USBメモリなどの外部記憶媒体を併用することで、万が一のトラブルにも備えることが可能です。
原本については、耐火性能のある金庫や鍵付きのキャビネットなど、第三者のアクセスや災害リスクを考慮した場所での保管が推奨されます。経営力向上計画の計画期間は、通常3年から5年に設定されるため、その期間中は 必要なときにすぐ参照できる状態を維持すること が求められます。
さらに、認定書の内容とあわせて、計画の実施期間や認定日、変更申請が想定されるタイミングなどを明記した管理ファイルを作成しておくと、実務上の見落としを防ぐことができます。こうした管理を行うことで、変更申請や報告書提出の時期を逃すリスクを抑え、制度を継続的に活用しやすくなります。
提出時の注意点
経営力向上計画に基づく各種支援措置を利用する際には、認定申請書や認定書の写しを提出することになりますが、実務上いくつか押さえておくべき注意点があります。これらを理解せずに提出してしまうと、手続きの差し戻しや追加提出を求められる可能性があるため、事前確認が重要です。
まず、提出先ごとに求められる書類の内容や形式が異なる 点に注意が必要です。補助金を申請する場合は各補助金の申請要領を確認し、税制優遇を適用する場合は税務署や税理士からの指示に従う必要があります。また、金融機関から融資を受ける際には、金融機関独自の確認資料を求められることもあるため、事前に必要書類を整理しておくことが望まれます。
次に、認定申請書や認定書の写しを提出する場合には、全ページが鮮明に判読できる状態で複写することが求められます。特に認定書については、袋とじ部分の認証印や綴じ目が確認できるようにコピーすることが重要です。これらが不明瞭な場合、書類の真正性を確認できないとして再提出を求められるケースがあります。
原則として、提出するのは写しのみとし、原本は社内で保管することが基本的な取り扱いとなります。万が一、提出先から原本の提出を求められた場合には、後日のトラブルを防ぐためにも、必ず受領証や預かり証を受け取り、原本を提出した事実を記録として残しておくことが重要です。
このように、提出時の対応を適切に行うことで、手続きを円滑に進めることができ、経営力向上計画に基づく支援措置を安心して活用することにつながります。
まとめ
経営力向上計画に関する 認定申請書および認定書の写し は、中小企業が税制優遇、補助金、金融支援といった各種支援措置を活用するうえで、欠かすことのできない重要な証明書類です。これらの書類は、単に制度を利用するための添付資料ではなく、企業の取り組みが国の認定を受けていることを示す 経営上の根拠資料 として位置づけられます。
近年は電子申請の普及により、申請や書類取得の手続き自体は以前に比べて簡便になりました。しかしその一方で、認定後の書類管理や運用を疎かにしてしまうと、税務申告や補助金申請の場面で手続きが滞ったり、本来受けられるはずの支援を十分に活用できなかったりする可能性があります。
そのため、計画が認定された後は、速やかに認定書や申請書の写しを入手し、原本の適切な保管に加えて、デジタルデータによるバックアップを複数の方法で確保しておくことが重要です。こうした管理を徹底することで、将来的な変更申請や各種制度活用にも柔軟に対応できるようになります。
経営力向上計画を 「認定を受けて終わりの制度」にしないためにも、書類の管理まで含めて計画的に対応し、税制優遇や補助金といった支援措置を最大限に活用していきましょう。

認定後こそ差がつく。経営力向上計画を「活かし切る」ために
経営力向上計画の認定申請書や認定書の写しは、単なる「提出用の書類」ではありません。
税制優遇、補助金申請、金融機関との交渉など、その後の経営判断を支える“根拠資料” として長期にわたって活用される重要な資産です。
一方で、実務の現場では次のような声も多く聞かれます。
「認定は取れたが、どの制度にどう使えばいいのか分からない」
「補助金や税制の話が出たとき、書類の整合性に不安がある」
「計画と実際の経営がズレてきている気がする」
これは決して珍しいことではありません。
経営力向上計画は“認定された時点”がゴールではなく、むしろスタートだからです。
特に、
・税制優遇を最大限に活かせているか
・補助金や金融支援と計画内容がきちんと連動しているか
・変更申請が必要なタイミングを見逃していないか
といった点は、日常業務の中で後回しになりやすく、
気づいたときには「本来受けられたはずの支援を逃していた」というケースも少なくありません。
こうした“もったいない状態”を防ぐためには、
計画書そのものだけでなく、計画を軸にした経営の整理と運用が欠かせません。
ProdX Crowdでは、
経営力向上計画を単なる申請業務としてではなく、
**税制・補助金・資金調達・業務改善をつなぐ「経営の設計図」**として捉え、
その活用まで見据えたサポートを行っています。
「この認定書、今後どう使えばいいのか一度整理したい」
「補助金や税制と、計画内容が合っているか確認したい」
「次の設備投資や事業展開に向けて、計画を見直したい」
そう感じたタイミングが、相談のベストタイミングです。
まずは、現在お持ちの経営力向上計画や認定書の状況を確認するだけでも構いません。
ProdX Crowdでは、無理な営業は行わず、
「今、何をすべきか」「何もしなくてよいのか」を含めて、客観的に整理するお手伝いをしています。
経営力向上計画を、
“取って終わりの制度”にしないために。
必要なときに、いつでもご相談ください。
課題で探す