経営力向上計画の目標設定完全ガイド|設定方法と具体例

 経営力向上計画の申請において、最も重要な要素の一つが「目標設定」です。目標は認定の可否を左右する重要な項目であり、事業分野別に定められた指標と伸び率を満たす必要があります。本記事では、経営力向上計画における目標設定の具体的な方法から注意点まで、網羅的に解説していきます。

この記事の監修

中小企業診断士 関野 靖也

大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。

中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士

経営力向上計画の目標とは

 経営力向上計画における目標は、企業の経営力を向上させるための具体的な数値目標を指します。認定を受けるためには、3年から5年の計画期間内に、事業分野別指針で定められた経営指標を一定以上向上させる計画を策定する必要があります。

目標設定の基本原則

 経営力向上計画の目標設定では、申請書に「経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標」を記載することが求められます。

 

この目標は必ず数値で表現する必要があり、定性的な目標は認定要件を満たしません。また、各事業分野で定められた指針に基づいて、適切な経営指標を選択し、その指標について定められた伸び率以上の数値目標を設定することが必須となっています。

 

目標設定の際は、自社の現状分析を十分に行い、実現可能性と挑戦性のバランスを取ることが重要です。

事業分野別指針による目標

 経営力向上計画では、事業分野を所管する省庁が「事業分野別指針」を策定しており、各事業分野において推奨される経営指標と目標伸び率が明示されています。

 

申請する事業分野に「事業分野別指針」が策定されている場合は、必ずその指針を踏まえて計画を策定しなければなりません。指針が策定されていない事業分野については、基本方針に記載されている「経営力向上の定義及び内容」と「経営力向上の実施方法」を参考にして目標を設定します。

 

事業分野別指針は中小企業庁のウェブサイトで確認でき、製造業、卸売業、小売業、サービス業、医療・介護など、様々な分野で策定されています。

目標として設定すべき経営指標

経営力向上計画で目標として設定できる経営指標は、事業分野によって異なりますが、代表的なものとして労働生産性、売上高経常利益率、付加価値額などがあります。

労働生産性による目標設定

 最も一般的に使用される経営指標が「労働生産性」です。製造業、卸売業、小売業、建設業など、多くの事業分野で労働生産性を目標指標として設定することが推奨されています。

 

労働生産性は、企業が投入した労働量に対してどれだけの付加価値を生み出したかを示す指標であり、経営効率の向上を測る上で非常に重要な指標です。

 

労働生産性を向上させることで、同じ労働投入量でより多くの成果を生み出すことができ、企業の競争力強化につながります。また、労働生産性の向上は、従業員の処遇改善や設備投資の原資確保にも寄与するため、持続的な企業成長の基盤となります。

業種別の特殊な経営指標

 一部の事業分野では、労働生産性以外の経営指標が推奨されている場合があります。例えば、保育事業や介護事業では「平均勤続年数」や「離職率」が重要な経営指標として位置づけられています。

 

これは、保育や介護といった対人サービス業では、従業員の定着率が サービスの質に直結するためです。平均勤続年数の向上や離職率の低下を目標とすることで、安定したサービス提供体制の構築を目指します。

 

また、小売業では「売上高経常利益率」、運輸業では「一人当たりの営業収益」など、業種特性に応じた指標が設定されることがあります。自社の事業分野に最も適した指標を選択することが、実効性の高い計画策定につながります。

目標値の算定方法

経営力向上計画の目標値を算定するには、まず現状値を正確に把握し、次に事業分野別指針で定められた伸び率を適用して目標値を計算します。

労働生産性の計算式

労働生産性は以下の計算式で算出します。

 

労働生産性=(営業利益+人件費+減価償却費)÷労働投入量

 

ここで、分子の「営業利益+人件費+減価償却費」は企業が生み出した付加価値を表します。人件費には役員報酬、給料手当、福利厚生費、労務費などが含まれます。

分母の労働投入量は、「労働者数」または「労働者数×1人当たり年間就業時間」で表します。より精緻な分析を行う場合は、後者の労働時間を含めた計算が推奨されます。

 

例えば、営業利益が500万円、人件費が3,000万円、減価償却費が300万円、従業員数が10人の企業の場合、労働生産性は(500万円+3,000万円+300万円)÷10人=380万円/人となります。

伸び率の設定基準

 目標とすべき伸び率は、事業分野別指針ごとに定められています。多くの事業分野では、3年間で労働生産性を9%以上(年平均3%以上)、5年間で15%以上(年平均3%以上)向上させることが求められます。

 

伸び率の計算式は以下の通りです。

 

伸び率=(目標の労働生産性-現在の労働生産性)÷現在の労働生産性×100

 

例えば、現在の労働生産性が380万円/人で、3年後の目標を414.2万円/人とした場合、伸び率は(414.2万円-380万円)÷380万円×100=9%となります。

 

ただし、事業分野によっては異なる伸び率が設定されている場合があるため、必ず該当する事業分野別指針を確認することが重要です。

目標設定時の重要な注意点

経営力向上計画の目標設定では、認定を受けるためだけでなく、実際に経営改善につながる目標を設定することが重要です。

達成可能な現実的目標の設定

 経営力向上計画の目標は、挑戦的でありながらも達成可能な水準に設定することが重要です。過度に高い目標を設定すると、計画の実行段階で従業員のモチベーション低下を招く可能性があります。

 

一方で、容易に達成できる低い目標では、経営力向上の効果が限定的となり、制度の本来の目的を果たせません。

 

目標設定の際は、自社の過去の実績推移、業界平均、競合他社の状況などを参考にしながら、具体的な取り組み内容と整合性のある目標を設定しましょう。

また、経営力向上のための具体的な施策(設備投資、人材育成、業務プロセス改善など)と目標達成の因果関係を明確にすることで、より説得力のある計画となります。

目標未達成時の取り扱い

 経営力向上計画に基づいて取り組んだ結果、目標が未達だったとしても、そのことをもって認定が取り消されることはありません。これは、経営環境の変化などにより、当初の目標達成が困難になる場合があることを考慮した制度設計となっているためです。

 

ただし、経営力向上計画に従って事業が実施されていない場合は、認定を取り消されることがあります。つまり、目標の達成度合いよりも、計画に基づいた取り組みを誠実に実行しているかどうかが重視されます。

 

計画期間中に経営環境が大きく変化した場合は、計画の変更認定申請を行うことができます。当初の目標が不適切になった場合でも、柔軟に対応できる仕組みが用意されています。

まとめ

 経営力向上計画における目標設定は、認定を受けるための形式的な要件ではなく、企業の経営力を実質的に向上させるための道しるべです。事業分野別指針で定められた経営指標と伸び率を満たしつつ、自社の実情に合った達成可能な目標を設定することが成功のカギとなります。

 

労働生産性を中心とした目標設定では、正確な現状把握と適切な計算式の適用が不可欠です。また、目標達成のための具体的な取り組み内容を明確にし、計画全体の整合性を保つことで、認定後の実行段階でも効果的に経営力向上を図ることができます。

 

経営力向上計画の目標設定に不安がある場合は、認定経営革新等支援機関(商工会議所、商工会、税理士、公認会計士、地域金融機関など)のサポートを受けることをお勧めします。専門家のアドバイスを活用しながら、自社の成長につながる実効性の高い計画を策定しましょう。

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