創業融資とリボ払いの違い、正しい資金調達方法の選択

創業融資とリボ払いは、どちらも事業資金の調達方法ですが、その性質と利用条件は全く異なります。起業家の中には、リボ払いを創業融資の代替手段と考える人もいますが、これは大きな誤りです。リボ払いは高い金利が特徴であり、事業資金としては不適切な資金調達方法です。創業融資とリボ払いの違いを正確に理解し、適切な資金調達方法を選択することが、事業成功のために極めて重要です。本記事では、創業融資とリボ払いの基本的な違い、リボ払いが事業資金に不適切な理由、リボ払いを使用した場合のリスク、正しい創業融資の活用方法、リボ払いと創業融資の比較など、創業融資の正しい理解を詳しく解説します。
この記事の監修
中小企業診断士 関野 靖也
大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。
中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士
創業融資とリボ払いの基本的な違い
二つの資金調達方法の違いを理解することが重要です。
創業融資の定義と特徴
創業融資は、政府系金融機関や民間銀行が、起業家に対して事業目的の資金を低金利で提供する仕組みです。創業融資は、事業成功を支援する政策的な目的で提供されており、低い金利(1%から4%程度)が特徴です。返済期間が長く(最大20年程度)、月間返済額が軽減されるのです。
リボ払いの定義と特徴
リボ払いは、クレジットカード会社が提供する返済方法であり、毎月一定額の返済を行う仕組みです。リボ払いの金利は、消費者金融と同等の高い金利(15%から18%程度)が特徴です。返済期間が長いと、利息が大幅に増加するのです。
資金提供者の違い
創業融資は、銀行や政府系金融機関が提供する公式な融資です。リボ払いは、クレジットカード会社が提供する消費者向けのサービスです。資金提供者の性質が全く異なるのです。
利用目的の違い
創業融資は、事業目的の資金として使用されることを想定されています。リボ払いは、個人の消費目的として使用されることを想定されており、事業目的での使用は想定されていないのです。
リボ払いが事業資金に不適切な理由
リボ払いを事業資金として使用すべきでない理由があります。
極度に高い金利による負担
リボ払いの金利は15%から18%程度であり、創業融資の金利(1%から4%程度)より極度に高いです。この金利差により、返済総額が大幅に増加し、経営を圧迫するのです。同じ100万円の資金調達でも、創業融資とリボ払いでは、返済総額が数倍異なるのです。
利息が経費計上できない可能性
リボ払いの利息は、クレジットカード会社への消費者金融的な返済であり、事業経費として計上できない可能性があります。創業融資の利息は事業経費として計上され、税務上の利益が減少し、税負担が軽減されるのです。
信用情報への悪影響
複数のクレジットカードのリボ払いを事業資金として使用すれば、個人信用情報が悪化し、今後の融資が困難になる可能性があります。多額のリボ払い残高は、信用度を低下させるのです。
返済困難への陥りやすさ
リボ払いの月間返済額が固定であるため、事業利益が減少しても返済額が変わりません。事業困難時に返済が滞りやすく、遅延利息が積み重なる可能性があります。創業融資は返済条件の変更が可能ですが、リボ払いにはそのような柔軟性がないのです。
一時的な資金調達の悪循環
リボ払いを事業資金として使用すると、一時的に資金が確保されますが、高い金利により経営が圧迫されます。その結果、さらに追加のリボ払いが必要になり、多重債務に陥る悪循環が生じるのです。
リボ払いを事業資金として使用した場合のリスク
リボ払いを使用した場合のリスクは極めて大きいです。
返済総額の急速な増加
リボ払いの高い金利により、返済総額が急速に増加します。100万円のリボ払いで月間返済額が2万円の場合、返済総額は約200万円になり、利息だけで100万円になるのです。
経営悪化による返済不能
事業の売上が減少したり、予想外の経費が発生したりすれば、月間返済額が支払えなくなる可能性があります。返済が滞れば、遅延利息が加算され、状況がさらに悪化するのです。
連鎖的な負債増加
リボ払い返済が困難になり、別のクレジットカードでリボ払いを開始する悪循環が生じます。複数のリボ払いが積み重なれば、多重債務に陥り、事業継続が不可能になるのです。
個人信用情報の毀損
複数のリボ払い残高や返済遅延は、個人信用情報に記録され、今後の融資申し込みが極めて困難になるのです。金融機関から信用を失い、事業成長に必要な追加融資が受けられなくなるのです。
個人破産への発展
返済不能に陥れば、個人破産を検討する必要が生じます。事業が失敗しただけでなく、個人資産まで失うことになるのです。
創業融資とリボ払いの金利比較
具体的な金利負担を比較することが重要です。
金利の比較
創業融資の金利は1%から4%程度です。リボ払いの金利は15%から18%程度です。金利差が10倍以上あることが明らかです。
返済総額の具体的な比較
融資金500万円、返済期間5年の場合、創業融資(金利2%)の返済総額は約540万円(利息約40万円)です。リボ払い(金利15%)の返済総額は約720万円(利息約220万円)です。同じ金額を調達するのに、返済総額で180万円の差が生じるのです。
月間返済額の比較
融資金500万円、返済期間5年の場合、創業融資の月間返済額は約9,000円です。リボ払い(月間返済額を同等にした場合)の返済期間は8年以上になり、その間、高い金利が蓄積されるのです。
正しい創業融資の活用方法
事業資金調達のために創業融資を活用する正しい方法があります。
日本政策金融公庫の最優先活用
公庫は低い金利(1%から3%程度)と長期返済(最大20年)を提供し、個人保証も不要です。起業家にとって最適な融資機関であり、最優先で活用すべきです。
複数融資機関による最適な選択
公庫以外に、民間銀行、信用金庫、ネット銀行なども創業融資を提供しています。複数機関の金利と条件を比較し、最も有利な融資機関を選択することが重要です。
十分な事業計画の準備
融資承認を得るために、詳細で根拠のある事業計画書を準備することが重要です。複数相談機関での相談により、計画書の質を向上させることが推奨されます。
自己資金の最大化
可能な限り多くの自己資金を準備することで、融資金を減らし、金利負担を軽減することが重要です。自己資金比率が高いほど、融資機関からの評価が向上し、金利が優遇される可能性があります。
リボ払いと創業融資の混同への警告
一般的な誤解を正すことが重要です。
クレジットカードの事業用利用の問題
クレジットカードはあくまで個人向けのツールであり、事業資金として使用することは想定されていません。クレジットカードの利用規約で、事業目的での使用を禁止している場合が多いのです。
消費者金融との誤解
リボ払いは消費者金融と同等の高い金利であり、事業資金としては完全に不適切です。この点を理解していない起業家も多いのです。
一時的な資金不足への対応の誤り
事業の一時的な資金不足にリボ払いを使用する起業家もいますが、これは大きな誤りです。一時的な資金不足には、創業融資の返済条件変更や二次融資で対応すべきなのです。
リボ払いからの脱却方法
もしリボ払いを使用してしまった場合の対応方法があります。
リボ払い残高の一括返済
可能な限り迅速にリボ払い残高を一括返済し、高い金利負担を回避することが重要です。一括返済により、今後の利息発生が回避されるのです。
創業融資への借り換え
リボ払い残高を創業融資で借り換えることにより、金利が15%から18%から1%から4%に低下し、返済総額が大幅に減少します。借り換えにより、経営が改善される可能性があります。
融資機関への相談
金融困難に陥った場合、リボ払いを提供したクレジットカード会社だけでなく、創業融資を提供した金融機関にも相談することが重要です。返済条件の変更が可能な場合があります。
創業資金の正しい調達順序
事業資金を調達する際の正しい優先順位があります。
第一段階:自己資金の最大化
事業開始前に、可能な限り自己資金を準備することが最優先です。給与からの貯蓄、親からの援助、副業による収入など、あらゆる方法で自己資金を増やすことが推奨されます。
第二段階:創業融資の活用
自己資金では不足する資金について、創業融資を申し込むことが次のステップです。公庫への申し込みを最優先し、複数の融資機関から融資を受けることも検討できます。
第三段階:補助金や給付金の活用
創業支援補助金、小規模事業者持続化補助金など、返済義務のない補助金が利用可能であれば、これらを活用することが推奨されます。
リボ払いは最後の手段
リボ払いは、上記のすべての方法が不可能な場合の最後の手段として考えるべきであり、可能な限り使用を避けるべきなのです。
創業融資と正しい資金管理
事業資金を適切に管理することが重要です。
月次決算による現金流出の把握
月別の売上、経費、利益を毎月計算し、月間利益が月間返済額をカバーしているか確認することが重要です。月次決算により、経営状況が常に把握されるべきです。
返済計画の厳格な遵守
融資契約で定められた月間返済額を、期限までに確実に支払うことが重要です。返済遅延は信用を失わせ、追加融資が困難になるのです。
返済困難への早期相談
月間利益が月間返済額をカバーできなくなる見込みが生じた場合、早期に融資機関に相談することが重要です。返済条件の変更が可能な場合があります。
創業融資と事業成功の関係
正しい資金調達が事業成功につながります。
低い金利による経営安定
創業融資の低い金利により、月間返済額が軽減され、初期段階の経営が安定化します。経営に余裕が生まれ、事業成長に集中することが可能になるのです。
長期返済による返済負担の分散
創業融資の長期返済により、月間返済額が低く抑えられ、返済負担が分散されます。リボ払いの場合、返済期間が長いと利息が膨大になるのに対し、創業融資ではこの問題が生じないのです。
まとめ
創業融資とリボ払いは、全く異なる資金調達方法です。創業融資は低い金利(1%から4%程度)と長期返済が特徴であり、事業資金として最適です。リボ払いは高い金利(15%から18%程度)が特徴であり、事業資金として完全に不適切です。事業資金を調達する際は、自己資金の最大化、創業融資の活用が正しい順序であり、リボ払いは絶対に使用すべきではありません。正しい資金調達方法を選択することで、事業の経営安定性が向上し、キャッシュフローに無理のない運営が可能になります。

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