経営力向上計画の対象資産と投資活用法

経営力向上計画に基づく投資対象となる資産の種類を正確に理解することは、企業が税制優遇措置を最大限に活用するための必須条件です。対象となる資産と対象外の資産を明確に区別することで、企業は投資計画を最適化できます。

一方で、対象資産の定義を十分に理解していない企業も多く、対象外の資産に投資してしまい、税制優遇を受けられない可能性があります。経営力向上計画の対象資産の具体的な種類、対象資産の判定基準、対象外資産、投資計画への記載方法、税制優遇の適用条件を正確に理解することで、企業は効果的な投資計画を立案でき、税制優遇を確実に活用できます。

本記事では、対象資産の定義、具体的な対象資産の種類、対象外資産、対象資産の判定方法、投資計画への記載方法、よくある誤解、成功事例など、対象資産に関する実践的な情報を詳しく解説します。

この記事の監修

中小企業診断士 関野 靖也

大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。

中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士

経営力向上計画の対象資産の基本的な理解

対象資産の定義と位置づけを理解することが重要です。

対象資産の定義

経営力向上計画における対象資産とは、計画に基づいて企業が取得する資産のうち、政府の税制優遇措置が適用される資産です。即時償却や税額控除の対象となる資産が、対象資産です。

対象資産の法的根拠

対象資産の範囲は、経済産業省が定める政令により規定されています。政令により、具体的にどの資産が対象かが定められるのです。

対象資産の重要性

対象資産を正確に把握することで、企業は計画に含める投資を最適化でき、税制優遇措置が確実に受けられるようになるのです。

対象資産と非対象資産の区別

同じ性質の資産でも、対象資産と非対象資産に分類されることがあります。正確な区別が重要です。

経営力向上計画の有形固定資産(対象資産)

有形固定資産のうち、対象となる資産があります。

機械・装置

製造機械、加工機械、検査機械など、事業に使用される機械が対象資産です。自動化機械、最新技術を搭載した機械が典型的な対象資産です。

工具

事業に使用される工具のうち、一定の金額以上のものが対象資産になります。測定工具、特殊工具などが含まれます。

建物・構築物

新築建物、改築建物が対象資産になる場合があります。ただし、建物の増改築に伴う建物本体は対象外になることもあります。

車両・運搬用機械

事業用の自動車、フォークリフトなどの運搬機械が対象資産です。ただし、乗用車は対象外になることが多いです。

情報処理機械

サーバー、ワークステーション、複合機などが対象資産です。パソコンなどの汎用機器は、金額によっては対象外になる場合があります。

生産用機械

半導体製造装置、食品加工機械、印刷機械など、生産に直接使用される機械が対象資産です。

経営力向上計画の無形固定資産(対象資産)

無形固定資産のうち、対象となる資産があります。

ソフトウェア

ビジネスアプリケーション、システムソフトウェアなど、企業の経営改善に使用されるソフトウェアが対象資産です。クラウド型ソフトウェアは対象外の場合が多いです。

データベース

企業が所有し、事業に使用するデータベースが対象資産になる場合があります。

特許権・商標権

企業が保有する特許権や商標権が対象資産になる場合があります。ただし、条件が厳格です。

経営力向上計画の対象外資産

投資しても税制優遇が適用されない資産があります。

土地

土地は、有形固定資産であっても、即時償却の対象にはなりません。土地に関連する税制優遇は限定的です。

繰延資産

開業費、開発費などの繰延資産は、対象外です。資産ではなく、事業上の支出として処理されます。

無形資産(一部)

ノーハウ、顧客リストなど、明確な評価基準がない無形資産は対象外です。

在庫資産

商品、原材料などの在庫資産は、対象外です。固定資産ではなく、流動資産だからです。

リース資産(特定条件下)

リース資産の一部は、対象外になる場合があります。所有権移転リースか、オペレーショナルリースかにより、対象性が異なります。

中古資産

一部の中古資産は、対象外になる場合があります。新規取得資産が対象という場合が多いです。

外国資産

一部の海外資産は、対象外になる場合があります。日本国内で使用される資産であることが条件です。

経営力向上計画の対象資産の判定基準

資産が対象資産か否かを判定するための基準があります。

減価償却の対象か否か

減価償却の対象となる資産が、基本的に対象資産です。減価償却されない資産(土地など)は対象外です。

事業に使用される資産か否か

事業に直接使用される資産が対象です。個人的な用途に使用される資産は対象外です。

一定の金額以上か否か

細かい消耗品など、一定の金額以下の資産は、対象外になる場合があります。

計画に記載された資産か否か

計画に記載されていない資産については、税制優遇が適用されません。計画に記載されていることが必須条件です。

取得時期が計画期間内か否か

認定計画期間内に取得されることが、基本的な条件です。期間外の取得は対象外になります。

経営力向上計画への対象資産の記載方法

計画に対象資産を記載する方法があります。

資産の具体的な記述

「機械を購入する」ではなく、「CNC複合加工機械(◎◎工業製、型式△△)」というように、具体的に記述されるべきです。

資産の取得価格の明示

各資産の取得予定価格が、見積もり書に基づいて明示されるべきです。概算額ではなく、具体的な価格が必要です。

資産の取得時期の明確化

各資産の取得予定時期が、月単位で明確にされるべきです。例:「初年度6月取得予定」。

資産の使用目的の説明

各資産が、具体的にどのような目的で使用されるか説明されるべきです。改善目標達成への貢献が示されるべきです。

複数資産の場合の総額記載

複数の資産が投資される場合、各資産の合計額が明記されるべきです。年度別の投資総額も示されるべきです。

経営力向上計画の対象資産と税制優遇

対象資産が税制優遇を受ける条件があります。

即時償却の適用条件

対象資産が計画期間内に取得されることが条件です。購入契約が計画期間内に締結されることが、基本的には要件です。

取得から活用までのタイムライン

資産取得後、速やかに事業に活用されることが期待されます。購入後、長期間活用されない場合は、問題になる可能性があります。

計画との整合性

実際の取得資産が、計画書に記載された資産と、内容が一致していることが重要です。大幅な変更があれば、計画変更申請が必要になります。

領収書などの根拠書類

資産取得時の領収書や請求書が、保管されるべきです。税務申告時に提示が必須です。

経営力向上計画の対象資産に関するよくある誤解

対象資産について、よくある誤解があります。

建物投資は全て対象という誤解

建物投資でも、増改築の場合、建物本体は対象外になることがあります。附属設備のみが対象になる場合があります。

中古資産が全て対象外という誤解

一部の中古資産は対象になる場合があります。取得時期、資産種類により、判定が異なります。

クラウドソフトウェアが対象という誤解

クラウド型のソフトウェアは、サービス利用費として扱われ、対象外になることが多いです。

リース資産が全て対象外という誤解

ファイナンシャルリース(所有権移転リース)の場合、対象になることがあります。オペレーショナルリースは対象外です。

土地関連投資が全て対象という誤解

土地は即時償却の対象外です。ただし、建物など附属資産は対象になります。

経営力向上計画の対象資産の相談窓口

対象資産の判定に関する相談が可能な機関があります。

税理士

対象資産の判定、税制優遇の適用方法について、税務的な専門知識に基づいたアドバイスが得られます。

中小企業診断士

対象資産の選定、投資計画への記載方法についてのアドバイスが得られます。

経済産業局

対象資産の定義についての確認が可能です。疑問な点は、事前に確認すべきです。

ソフトウェアベンダー・機械メーカー

ソフトウェアや機械が対象資産であるかの確認が、ベンダーから得られます。

経営力向上計画の対象資産と非対象資産の区分経理

対象資産と非対象資産を区分して管理することが重要です。

減価償却資産台帳での区分

減価償却資産台帳に、対象資産と非対象資産を区分して記入することが推奨されます。

会計処理での区分

対象資産と非対象資産の会計処理を区分することで、追跡可能性が確保されるのです。

税務申告での記載

法人税申告書で、対象資産による減価償却額を区分して記載することが必要な場合があります。

経営力向上計画の対象資産に関する成功事例

対象資産を効果的に活用した企業の実例があります。

自動化機械導入による生産性向上事例

製造業企業が対象資産として自動化機械を導入し、生産効率が30%向上したケースがあります。即時償却により初年度の税負担が軽減されました。

ERP導入による経営効率化事例

企業がERP(対象ソフトウェア)を導入し、経営分析時間が大幅に削減されたケースがあります。

経営力向上計画の対象資産の総合戦略

複数要素を統合した対象資産活用戦略が重要です。

対象資産の正確な把握

投資する資産が対象資産であるか、事前に正確に確認されるべきです。税理士などの専門家への相談が推奨されます。

計画への正確な記載

対象資産が、計画書に具体的かつ正確に記載されるべきです。記載漏れは、税制優遇喪失につながります。

取得から申告までの追跡管理

対象資産の取得から税務申告まで、一貫した追跡管理が行われるべきです。領収書等の根拠書類の保管が重要です。

まとめ

経営力向上計画の対象資産を正確に理解し、効果的に投資計画に組み込むことで、企業は税制優遇措置を最大限に活用できます。対象資産と非対象資産を明確に区別し、計画に具体的に記載することが重要です。税理士や専門家の支援を活用しながら、対象資産の活用戦略を立案することで、企業の経営改善投資が最適化され、経営力向上計画の成功が確実に実現できるでしょう。

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