日本政策金融公庫 創業融資申し込み|2025年最新版|手続きの流れと必要書類を完全解説

日本政策金融公庫で創業融資を申し込みたいけれど、手続きの流れや必要書類が分からず不安を感じていませんか。
創業融資の申し込みは、事前準備から融資実行まで約2週間〜1ヶ月かかります。
本記事では、2024年4月の制度変更を踏まえた最新の申し込み方法を、ステップごとに詳しく解説します。
この記事の監修
中小企業診断士 関野 靖也
大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。
中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士
日本政策金融公庫の創業融資申し込み前に知っておくべきこと
創業融資の申し込みをスムーズに進めるには、事前に制度の概要と申し込み要件を理解しておくことが重要です。
準備不足で申し込むと、審査に時間がかかったり、最悪の場合は審査落ちになる可能性があります。
2024年4月からの制度変更のポイント
2024年4月に新創業融資制度が廃止され、新規開業資金に統合される形で大幅にリニューアルされました。
最も大きな変更点は、融資限度額が3,000万円から7,200万円(うち運転資金4,800万円)へと2倍以上に拡充されたことです。
また自己資金要件が撤廃され、理論上は自己資金ゼロでも申し込みが可能になりました。ただし実際の審査では自己資金の有無が大きく影響するため、創業資金総額の3分の1程度は用意しておくことが推奨されます。
返済期間も延長され、運転資金が7年以内から10年以内に変更されました。これにより月々の返済負担を軽減し、創業初期の資金繰りに余裕を持たせることができます。無担保・無保証人での利用が原則となり、法人代表者の個人保証も不要です。
申し込み対象者と条件
新規開業資金の申し込み対象者は、「新たに事業を始める方」または「事業開始後おおむね7年以内の方」です。
業種や規模を問わず、幅広い創業者が利用できる制度となっています。ただし一部の業種(金融業、投機的事業、遊興娯楽業の一部など)は融資対象外となります。
また創業計画書の提出が必須となり、事業内容や資金計画を明確に示す必要があります。審査では、事業計画の実現可能性、経営者の経験、自己資金の準備状況などが総合的に評価されます。
特に売上予測の根拠を具体的に示すことが重要で、「なぜその数字が達成できるのか」を論理的に説明できなければなりません。
融資限度額と返済条件
新規開業資金の融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)です。ただし初回の融資では1,000万円〜2,000万円程度が平均的な融資額となっています。
返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内で設定できます。据置期間は5年以内で、創業直後の元金返済を猶予し、利息のみを支払う期間を設けることができます。
金利は基準利率から0.65%の引下げが適用され、年2.5%前後での借り入れが可能です。女性、35歳未満の若者、55歳以上のシニアの場合は特別利率が適用され、さらに低い金利で借り入れができます。
創業融資申し込みの流れ|5つのステップ
日本政策金融公庫の創業融資申し込みは、大きく5つのステップに分かれます。各ステップでのポイントを押さえて、計画的に準備を進めましょう。
ステップ1:事前相談(任意だが推奨)
申し込み前に事前相談を行うことを強くおすすめします。
日本政策金融公庫では全国152の支店で創業相談を受け付けています。創業ホットライン(0120-154-505)では、平日9:00〜19:00まで専任スタッフが相談に応じています。ガイダンス後に「0」を選択すると、創業専用の窓口につながります。
事前相談では、利用できる融資制度の確認、必要書類の説明、審査のポイントなどを聞くことができます。またオンライン相談も可能で、Microsoft Teamsを使った面談を希望日の2営業日前16時までに予約できます。
近くに支店がない方や、忙しくて支店に行けない方でも気軽に相談できる環境が整っています。各支店で定期的に開催される創業支援セミナーや個別相談会に参加することもおすすめです。
ステップ2:必要書類の準備
創業融資の申し込みには、複数の書類が必要となります。
主な必要書類は、借入申込書、創業計画書、本人確認書類(運転免許証またはパスポート)、預金通帳のコピー(過去6ヶ月分程度)、源泉徴収票または確定申告書のコピー、設備資金の見積書(設備投資を行う場合)、不動産の登記簿謄本(担保提供する場合)などです。
創業計画書は日本政策金融公庫の所定様式があり、ウェブサイトからダウンロードできます。創業計画書には、創業の動機、経営者の略歴、取扱商品・サービス、取引先・取引関係等、従業員、お借入の状況、必要な資金と調達方法、事業の見通しなどを記載します。
特に「事業の見通し」では、売上高、売上原価、経費、利益などを月次または年次で記載する必要があります。売上予測の根拠を具体的に示すことが審査通過の鍵となります。
ステップ3:申し込み手続き
書類が揃ったら、申し込み手続きを行います。
申し込み方法は、インターネット申込、郵送、窓口持参の3つがあります。インターネット申込は24時間365日いつでも可能で、最も便利な方法です。日本政策金融公庫のウェブサイトから「創業資金のお申込」ページにアクセスし、必要事項を入力して送信します。
インターネット申込の場合、後日、必要書類を郵送または窓口に持参する必要があります。郵送の場合は、借入申込書と必要書類一式を管轄支店に送付します。窓口持参の場合は、事前に電話予約をしてから訪問するとスムーズです。
申し込みは原則として、創業する場所(事業を行う場所)を管轄する支店に行います。管轄支店は日本政策金融公庫のウェブサイトで確認できます。
ステップ4:面談(審査の重要プロセス)
申し込み後、書類審査を経て面談の日程が調整されます。
通常、申し込みから1週間〜2週間程度で面談の連絡があります。面談は融資の可否を左右する非常に重要なプロセスで、通常30分〜1時間程度行われます。面談場所は、日本政策金融公庫の支店または、創業予定地の現地確認を兼ねて事業所で行われる場合もあります。
想定される質問として、創業の動機、事業内容の詳細、競合との差別化ポイント、売上予測の根拠、資金の使い道、返済計画、これまでの経験などがあります。特に売上予測については、「なぜその数字が達成できるのか」を具体的な根拠を示しながら説明することが最重要です。例えば、「1日〇〇人の来客×客単価〇〇円×営業日数」といった計算式と、その前提条件を明確に示す必要があります。
服装は清潔感のあるビジネスカジュアル程度で問題ありませんが、誠実で信頼できる経営者という印象を与えることを心がけましょう。
ステップ5:融資決定と契約手続き
面談後、日本政策金融公庫内部で融資の可否が審査されます。審査期間は通常1週間〜2週間程度ですが、内容によって前後します。融資が承認されると、電話または郵送で融資決定の連絡があります。
融資決定通知には、融資額、金利、返済期間、据置期間などの条件が記載されています。条件に同意できる場合は、契約手続きを進めます。
契約手続きでは、借用証書、預金口座振替利用届などの書類に署名・押印します。契約手続きが完了すると、通常3営業日〜1週間程度で指定の口座に融資金が振り込まれます。
申し込みから融資実行までの期間は、全体で2週間〜1ヶ月程度が目安となります。
必要書類を完全リストアップ|準備漏れを防ぐ
創業融資の申し込みには多くの書類が必要です。準備漏れがあると審査が遅れる原因となるため、チェックリストを作成して確実に準備しましょう。
すべての申込者に必要な書類
すべての申込者に共通して必要な書類は以下の通りです。
借入申込書は、日本政策金融公庫の所定様式で、希望融資額、資金使途、返済期間などを記載します。創業計画書も所定様式があり、事業内容や収支計画を詳しく記載します。
本人確認書類として、運転免許証またはパスポートのコピーが必要です。預金通帳のコピーは、過去6ヶ月分程度の全ページが必要です。自己資金の形成過程を確認するため、通帳の記録は非常に重要です。源泉徴収票または確定申告書のコピーは、過去3年分の提出が望ましいです。
給与所得者の場合は源泉徴収票、個人事業主の場合は確定申告書の控えを用意します。これらの書類から、収入の安定性や納税状況が確認されます。
状況別に必要な追加書類
事業内容や状況によって、追加の書類が必要となります。
設備資金の融資を希望する場合は、設備の見積書や契約書のコピーが必要です。店舗や事務所を借りる場合は、賃貸借契約書のコピーが求められます。
許認可が必要な業種の場合は、許認可証のコピーまたは取得予定を証明する書類が必要です。飲食店なら食品衛生責任者の資格証、美容室なら美容師免許などが該当します。
法人として申し込む場合は、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)、定款のコピー、法人の印鑑証明書などが追加で必要となります。
担保を提供する場合は、不動産の登記簿謄本や評価証明書が必要です。
フランチャイズに加盟する場合は、フランチャイズ契約書のコピーが求められることもあります。
事業計画書は別途作成がおすすめ
日本政策金融公庫の創業計画書は所定様式のため、記載スペースが限られています。
より詳細な事業計画を示すために、別途、独自の事業計画書を作成することを強くおすすめします。詳細な事業計画書には、事業概要、市場分析、競合分析、マーケティング戦略、組織体制、財務計画などを含めます。特に市場分析では、ターゲット市場の規模、成長性、ニーズなどを具体的なデータで示します。
競合分析では、主要競合の強み・弱みを分析し、自社の差別化ポイントを明確にします。財務計画では、月次または年次の詳細な収支計画、資金繰り表、損益分岐点分析などを含めます。
事業計画書の作成に自信がない場合は、税理士や中小企業診断士などの専門家に相談することも検討しましょう。
審査通過率を高める申し込みのコツ
日本政策金融公庫の創業融資審査通過率は一般に50〜60%程度といわれています。適切な準備により、審査通過の可能性を大幅に高めることができます。
自己資金は創業資金総額の3分の1を目指す
自己資金は審査において最も重視される要素の一つです。
2024年4月から自己資金要件は撤廃されましたが、実際の審査では自己資金の有無が大きく影響します。創業資金総額の3分の1程度は自己資金を用意しておくのが理想的です。自己資金として認められるのは、通帳などで形成過程が確認できる預貯金です。
タンス預金や直前に借りた資金、見せ金などは自己資金として認められません。少なくとも創業の半年前から計画的に資金を貯めている実績を示すことが重要です。通帳には不自然な入出金がないよう注意し、公共料金やクレジットカードの支払い遅延がないようにしましょう。
現実的で根拠のある売上予測を立てる
事業計画書で最も重視されるのが、売上予測の妥当性です。
「初月から満席」「初年度から黒字」といった楽観的すぎる計画は、審査担当者の信頼を得られません。売上予測は、具体的な計算式と根拠を示すことが重要です。
例えば飲食店なら、「座席数×回転率×客単価×営業日数」といった計算式を示し、各数値の根拠を説明します。同業種の平均データや、商圏分析の結果などを活用すると説得力が増します。
また事業が軌道に乗るまでの期間を現実的に見積もることも重要です。一般的に、開業から売上が安定するまでに最低でも3〜6ヶ月かかるといわれています。
業界経験をしっかりアピールする
創業する事業に関連する業界での勤務経験は、大きなプラス要因となります。
同業種での6年以上の勤務経験や、管理職としての経験があれば、審査で高く評価されます。創業計画書の「これまでの事業経験等」欄に、具体的な業務内容、役職、実績などを詳しく記載しましょう。
全く未経験の業種で起業する場合は、なぜその事業を選んだのか、どのようにノウハウを獲得したのかを説明する必要があります。業界の専門家をアドバイザーとして招聘する、十分な研修期間を設けるなどの対策を示すことで、不安を払拭できます。
よくある質問と回答
創業融資の申し込みに関して、よくある質問とその回答をまとめました。疑問を解消してから申し込み手続きを進めましょう。
申し込みから融資実行までどのくらいかかる?
申し込みから融資実行までの期間は、通常2週間〜1ヶ月程度です。
ただし書類に不備がある場合や、審査内容が複雑な場合は、それ以上の時間がかかることもあります。特に確定申告時期(2月〜3月)や決算期は混雑するため、余裕を持ったスケジュールで申し込みを進めることをおすすめします。
急ぎの資金需要がある場合は、事前相談の段階でその旨を伝え、できるだけ早く手続きを進める方法を相談しましょう。
審査に落ちた場合、再申請はできる?
審査に落ちた場合でも、再申請は可能です。
ただし一般的に、審査落ちから6ヶ月程度は期間を空けることが推奨されています。再申請の際は、前回の審査で指摘された問題点を改善した上で、再度申し込む必要があります。
自己資金を増やす、事業計画を見直す、業界経験を積むなど、具体的な改善策を講じてから再チャレンジしましょう。審査落ちの理由について、日本政策金融公庫に問い合わせることも可能です。
インターネット申込と窓口申込、どちらが良い?
インターネット申込は24時間365日いつでも可能で、忙しい創業期には便利です。
一方、窓口申込は、担当者と直接話ができるため、疑問点をその場で解消できるメリットがあります。初めての申し込みで不安がある場合は、窓口での申し込みをおすすめします。
ただしインターネット申込でも、後日の面談で十分に質問できるため、どちらを選んでも大きな違いはありません。自分の都合に合わせて、最適な方法を選びましょう。
まとめ
日本政策金融公庫の創業融資申し込みは、事前準備から融資実行まで約2週間〜1ヶ月かかります。
2024年4月から融資限度額が7,200万円に拡充され、より多くの資金を調達できる環境が整いました。申し込みは、事前相談→書類準備→申し込み→面談→融資決定の5ステップで進みます。
必要書類を漏れなく準備し、現実的で根拠のある事業計画を作成することが審査通過の鍵となります。自己資金は創業資金総額の3分の1を目指し、業界経験をしっかりアピールしましょう。
本記事で解説した内容を参考に、計画的に準備を進めて、創業融資の獲得を実現してください。

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金融機関の融資審査では、以下のような基準が重視されます。
・開業予定の業種に関する経験や実績
・融資希望額に対してどの程度の自己資金を準備しているか
・信用情報や返済に関する過去の履歴
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