【完全ガイド】日本政策金融公庫の創業融資申し込みを徹底解説!必要書類から審査のポイントまで

新たに事業を始める多くの起業家にとって、資金調達は最初の大きなハードルです。その有力な選択肢となるのが、政府系金融機関である日本政策金融公庫からの「創業融資」です。本記事では、「日本政策金融公庫 創業融資申し込み」に関する情報を網羅的に解説します。申し込みの流れから必要書類、審査を通過するための重要なポイントまで、あなたの疑問や不安を解消し、融資実現への道を力強くサポートします。

この記事の監修

中小企業診断士 関野 靖也

大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。

中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士

日本政策金融公庫の創業融資とは?まず知っておきたい基礎知識

日本政策金融公庫は、民間金融機関の取り組みを補完し、中小企業や小規模事業者、そして新たに事業を始める方々への資金供給を担う国の金融機関です。[1] 特に創業期の事業者にとっては、実績がなくても融資を受けやすい心強い味方となります。[2] 低金利で無担保・無保証の制度もあり、多くの起業家が活用しています。[3][4] ここでは、創業融資の基本を理解するために、制度の概要やメリット・デメリットを解説します。

新創業融資制度の概要と特徴

これまで多くの創業者に利用されてきた「新創業融資制度」は、2024年3月31日をもって廃止されました。[2] 同年4月1日からは、その内容が「新規開業資金」という制度に統合・拡充されています。[2] この変更により、以前は設けられていた自己資金の要件が撤廃された点が大きな特徴です。[2][5] これにより、自己資金が少ない場合でも申し込みがしやすくなりました。融資限度額は最大7,200万円(うち運転資金は4,800万円)で、事業の立ち上げに必要な設備資金や運転資金として幅広く活用できます。[2]

その他の創業融資制度の種類

日本政策金融公庫には、「新規開業資金」以外にも創業者を支援するための多様な融資制度が用意されています。[1] 例えば、特定の条件を満たす女性、若者、シニア起業家を対象とした「女性、若者/シニア起業家支援資金」や、廃業歴等がある方の再挑戦を支援する「再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)」などがあります。自身の状況や事業内容に合わせて、最適な制度を選択することが重要です。それぞれの制度で金利や返済期間などの条件が異なるため、事前に公式サイトなどで詳細を確認しましょう。

創業融資を受けるメリットとデメリット

メリット

  • 低金利: 民間の金融機関と比較して金利が低く設定されており、返済負担を抑えられます。[4]

  • 無担保・無保証: 条件によっては、担保や保証人なしで融資を受けられる制度があります。[1]

  • 長期の返済期間: 返済期間が長く設定されているため、月々の返済額を抑え、事業が軌道に乗るまでの資金繰りを安定させやすくなります。[4]

  • 実績がなくても申し込み可能: 創業前の段階や創業後間もない時期で事業実績がなくても、事業計画の将来性などを評価して融資を検討してもらえます。[2]

 

デメリット

  • 審査期間: 申し込みから融資実行までには、一般的に3週間から1ヶ月半程度の時間が必要です。[6][7] 書類の不備などがあればさらに時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールで申し込む必要があります。

  • 書類作成の手間: 申し込みには、創業計画書をはじめとする詳細な書類の作成が求められます。

創業融資申し込みの具体的な流れ【7ステップ】

日本政策金融公庫の創業融資を申し込む際の手順は、事前準備から融資実行までいくつかのステップに分かれています。[1] 各ステップを着実に進めることが、スムーズな資金調達の鍵となります。[8] 窓口での相談やインターネットでの申し込みなど、複数の方法が用意されています。[9] ここでは、申し込みの全体像を把握するために、一般的な7つのステップを解説します。

ステップ1:相談・情報収集

まずは、最寄りの日本政策金融公公庫の支店窓口で相談することから始めましょう。[8] 事業資金相談ダイヤルに電話で問い合わせることも可能です。[10] 創業計画書の案などを持参すると、担当者から具体的なアドバイスをもらえることがあります。[8] 自身の事業プランや資金計画について客観的な意見を聞くことで、計画をより具体的にブラッシュアップすることができます。この段階で、必要な書類や手続きの流れについてもしっかりと確認しておきましょう。

ステップ2:創業計画書の作成

創業融資の審査において最も重要となるのが「創業計画書」です。[8] なぜこの事業を始めるのかという「創業の動機」から、経営者の経歴、商品・サービス内容、取引先、必要な資金と調達方法、そして事業の見通し(収支計画)まで、詳細に記載する必要があります。[11][12] 日本政策金融公庫の公式サイトには、業種別のテンプレートや記入例が用意されているため、これらを参考にしながら作成を進めましょう。[11][12]

ステップ3:必要書類の準備

創業計画書の他に、申し込みにはいくつかの書類が必要です。[9] 個人事業主か法人か、また申し込む制度によっても異なりますが、一般的には以下の書類が求められます。[9]

 

  • 借入申込書: 公庫の公式サイトからダウンロードできます。[7][13]
  • 法人の場合: 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)[10][14]
  • 設備資金の申込の場合: 見積書[13]
  • 許認可が必要な事業の場合: 許認可証の写し[7]

 

その他、状況に応じて自己資金を証明する通帳のコピーや、不動産の登記簿謄本などが必要になる場合があります。[13][14]

ステップ4:申し込み

必要書類がすべて揃ったら、いよいよ申し込みです。申し込み方法は、支店の窓口に直接提出する方法と、インターネットを利用したオンライン申し込みがあります。[7] インターネット申し込みは24時間365日いつでも手続きが可能で、メールアドレスを登録して手続きを進めます。[6][15] どちらの方法でも、提出前に書類に不備がないか再度確認しましょう。

ステップ5:面談

申し込み後、10日ほどで担当者から連絡があり、面談の日程を調整します。[16] 面談は、融資審査において非常に重要なプロセスです。[17] 基本的には、提出した創業計画書の内容に基づいて質問されます。[17] 事業に対する熱意や計画の実現性を、自身の言葉で具体的に説明することが求められます。[9] 面談は代理人の同席が認められないため、経営者自身がしっかりと準備して臨む必要があります。[17]

ステップ6:審査・結果通知

面談の内容を踏まえて、最終的な融資審査が行われます。審査期間は状況によって異なりますが、面談後から結果が出るまでには時間がかかります。審査に通ると、融資決定の通知が届きます。その後、契約手続きに関する書類が郵送されてきますので、内容をよく確認し、必要事項を記入して返送します。

ステップ7:融資実行

契約手続きが完了すると、指定した銀行口座に融資金が振り込まれます。[6] 契約書類を返送してから、通常3営業日ほどで入金されることが多いです。[9] 入金が確認できたら、借用証書に記載された金額と相違がないかを確認してください。[9] これで一連の融資手続きは完了となり、いよいよ事業を本格的にスタートさせるための資金を手にすることができます。

【最重要】創業融資の審査を通過するための5つのポイント

日本政策金融公庫の創業融資は、誰でも簡単に受けられるわけではありません。審査通過率はおおむね3割程度とも言われており、しっかりとした準備が不可欠です。[3][4] 審査では、返済能力や事業の将来性など、様々な角度から厳しくチェックされます。[4][18] ここでは、融資担当者に「この人になら貸しても大丈夫だ」と判断してもらうための、特に重要な5つのポイントを解説します。

ポイント1:自己資金の重要性

2024年4月から自己資金要件は撤廃されましたが、自己資金の重要性がなくなったわけではありません。[2][5] 自己資金は、創業に向けて計画的に準備を進めてきたことの証明であり、事業に対する本気度を示す指標となります。[2][19] 自己資金が多いほど、融資額が増えたり、審査で有利に働いたりする可能性があります。[20][21] 親族から一時的に借りたお金などは自己資金とは認められないため、毎月コツコツと貯めてきた経緯がわかる預金通帳を提示することが重要です。[19][22]

ポイント2:経験・能力のアピール

創業する事業の分野における経験や実績は、審査において非常に重視されます。[21] 創業計画書の「経営者の略歴等」の欄には、これまでどのような業務に携わり、どのようなスキルやノウハウを身につけてきたのかを具体的に記載しましょう。[23][24] 例えば、「飲食店で5年間店長として勤務し、店舗運営や人材育成の経験を積んだ」といった具体的な記述は、事業の成功確率が高いと判断される材料になります。[25] 関連する資格や免許などもあれば、必ずアピールしましょう。

ポイント3:現実的かつ説得力のある創業計画書

創業計画書は、あなたの事業の設計図です。[26] 「なぜこの事業を始めたいのか」という熱意はもちろんのこと、売上や利益の見込みについては、具体的な根拠に基づいて現実的な数値を記載する必要があります。[4][21] 例えば、「客単価 × 座席数 × 回転数 × 営業日数」といった計算式を用いて売上予測を立てるなど、誰が見ても納得できるような説明を心がけましょう。[24] 資金の使い道も明確にし、見積書などを添付して説得力を持たせることが大切です。[21]

ポイント4:信用情報に傷がないか

日本政策金融公庫の審査では、経営者個人の信用情報も確認されます。クレジットカードの支払いや、公共料金、税金などの支払いに遅延や滞納があると、審査に悪影響を及ぼす可能性があります。[1][21] 融資の申し込みをする前に、自身の信用情報に問題がないかを確認しておくことが賢明です。日頃から支払い期日を守るなど、誠実な金銭管理を心がけることが、事業主としての信頼につながります。

ポイント5:面談での的確な受け答え

面談は、書類だけでは伝わらないあなたの人柄や事業への情熱をアピールする絶好の機会です。[16] 提出した創業計画書の内容は完璧に頭に入れておき、担当者からの質問には、自信を持ってハキハキと、そして自分の言葉で答えることが重要です。[9][17] 専門用語を多用せず、誰にでも分かりやすく事業内容を説明できるように準備しておきましょう。[17][27] 想定される質問への回答を事前にシミュレーションしておくことも有効な対策です。[16]

創業融資の申し込みに必要な書類一覧と作成の注意点

日本政策金融公庫の創業融資を申し込むためには、いくつかの書類を準備する必要があります。[9] 書類に不備があると、審査が長引いたり、最悪の場合、融資を受けられなかったりする可能性もあるため、注意が必要です。[7] 個人事業主と法人で必要な書類が一部異なるほか、事業内容や希望する融資制度によっても追加の書類が求められる場合があります。[9] ここでは、一般的に必要となる書類とその作成上の注意点をまとめました。

【必須】借入申込書・創業計画書

借入申込書と創業計画書は、融資申し込みの核となる最も重要な書類です。[10][28] 借入申込書には、申込者の情報や希望する融資額、返済期間などを記入します。[7][13] 創業計画書は、事業内容の全体像を伝えるための書類で、創業の動機、経営者の経歴、取扱商品・サービス、資金計画、事業の見通しなどを詳細に記述します。[11][12] 特に事業の見通し(収支計画)は、売上や経費の算出根拠を明確に示すことが求められます。[24] これらの書類は、日本政策金融公庫の公式サイトからダウンロードできます。[11][13]

【法人の場合】履歴事項全部証明書(登記簿謄本)

法人が融資を申し込む場合には、会社の登記情報が記載された「履歴事項全部証明書(登記簿謄本)」の提出が必要です。[6][14] これは、会社の商号、本店所在地、役員、事業目的などが正式に登記されていることを証明するための公的な書類です。法務局で取得することができます。[14] 申し込みの際には、発行から3ヶ月以内のものを求められることが一般的ですので、有効期限に注意しましょう。

【個人の場合】身分証明書、許認可証など

個人事業主として申し込む場合は、代表者個人の本人確認書類が必要です。運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなどが該当します。[10] また、飲食店営業許可や古物商許可など、事業を行う上で行政の許認可が必要な業種の場合は、その許認可証の写しを提出する必要があります。[6][10] 許認可の取得が融資の条件となることもあるため、事前に取得しておくか、取得のスケジュールを担当者に伝えておきましょう。

自己資金を証明する資料(通帳など)

融資審査において、自己資金をどれだけ準備してきたかは重要な評価ポイントです。[21] その証明資料として、個人名義の預金通帳の原本またはコピーの提出を求められます。[10][14] 直前に大きな金額がまとめて入金されているなど、見せ金と疑われるようなお金は自己資金として認められない可能性があります。[19] 長期間にわたって計画的に貯蓄してきたことがわかるように、メインバンクの通帳を半年から1年分ほど用意しておくと説得力が増します。

その他、事業内容に応じて必要な書類

上記の書類に加えて、事業の内容や資金の使い道に応じて、追加の書類提出を求められることがあります。[28] 例えば、店舗や事務所を借りて事業を行う場合は、不動産の賃貸借契約書が必要です。[10][28] 内装工事や機械設備の購入に資金を使う場合は、業者から取得した見積書が求められます。[13] また、すでに事業を開始している場合は、確定申告書や決算書の提出が必要になることもあります。担当者の指示に従い、速やかに準備しましょう。[15]

専門家のサポート活用も検討しよう

日本政策金融公庫の創業融資は、自分一人で手続きを進めることも可能ですが、書類作成や面談対策に不安を感じる方も少なくありません。[8] 特に、創業計画書の作成は融資の可否を大きく左右するため、専門家の知識を借りることも有効な選択肢です。[15] 税理士や中小企業診断士、行政書士といった専門家は、資金調達のプロフェッショナルであり、あなたの事業計画を客観的な視点からブラッシュアップし、融資担当者に響く資料作成をサポートしてくれます。

税理士や認定支援機関に相談するメリット

税理士や認定支援機関(国が認定した中小企業支援を行う専門家)に相談すると、多くのメリットがあります。[8][18] まず、現実的で説得力のある事業計画書の作成をサポートしてもらえます。[8] 特に、収支計画などの数字の部分については、専門的な視点からのアドバイスが非常に役立ちます。[8] また、必要書類のチェックや面談の事前対策なども行ってくれるため、審査通過の可能性を高めることができます。[15] 専門家が間に入ることで、手続きがスムーズに進むことも期待できます。[1]

サポート費用の相場

専門家に融資サポートを依頼する場合、費用が発生します。費用体系は事務所によって様々ですが、一般的には「着手金」と、融資が成功した場合に支払う「成功報酬」で構成されていることが多いです。成功報酬は、融資実行額の数パーセント(3%〜5%程度)が相場とされています。着手金は無料の場合もあれば、数万円程度かかる場合もあります。複数の専門家から見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討することをおすすめします。費用はかかりますが、融資成功の確率を高め、事業をスムーズにスタートできるというメリットを考えれば、十分に価値のある投資と言えるでしょう。

よくある質問(FAQ)

日本政策金融公庫の創業融資を検討している方から、特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。申し込み前の最終確認として、ぜひ参考にしてください。

申し込みから融資実行までの期間は?

申し込みから融資が実行されるまでの期間は、一般的に3週間から1ヶ月半程度が目安です。[6][7] ただし、これは書類に不備がなく、審査がスムーズに進んだ場合の期間です。創業計画書の内容に修正が必要になったり、追加の書類提出を求められたりすると、さらに時間がかかる可能性があります。[6][7] 開業スケジュールから逆算し、少なくとも開業の2〜3ヶ月前には申し込み手続きを開始するなど、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。[6]

自己資金はいくら必要?

2024年4月1日から「新規開業資金」において自己資金の要件は撤廃され、自己資金がなくても融資の申し込みは可能になりました。[2] しかし、自己資金がある方が審査において有利に働くことは変わりありません。[2] 目安として、創業資金総額の10%〜30%程度の自己資金を準備できると、融資の審査が通りやすくなると言われています。[2] 例えば、500万円の開業資金が必要な場合、50万円〜150万円程度の自己資金があると望ましいでしょう。[2]

創業計画書の書き方が分からない場合は?

創業計画書の作成に不安がある場合は、まず日本政策金融公庫の公式サイトに掲載されている業種別の記入例を参考にしてみましょう。[11][12] それでも難しいと感じる場合は、最寄りの支店窓口で相談に乗ってもらったり、商工会議所や商工会、よろず支援拠点といった公的な相談窓口を活用したりする方法があります。[3] また、より専門的なサポートが必要であれば、税理士などの認定支援機関に相談するのも有効な手段です。[18]

もし審査に落ちてしまったら?

残念ながら審査に落ちてしまった場合でも、すぐに再挑戦の道が閉ざされるわけではありません。まずは、なぜ審査に通らなかったのか、その原因を冷静に分析することが重要です。自己資金が不足していたのか、事業計画の実現性に乏しかったのか、面談での受け答えに問題があったのかなど、考えられる要因を洗い出します。そして、その弱点を克服した上で、半年程度の期間を空けて再度申し込むことを検討しましょう。その間に事業計画を練り直し、自己資金を増やすなどの努力が必要です。

現状の準備で創業融資を受けられるか、不安はありませんか?

金融機関の融資審査では、以下のような基準が重視されます。

・開業予定の業種に関する経験や実績
・融資希望額に対してどの程度の自己資金を準備しているか
・信用情報や返済に関する過去の履歴

ProdX Crowd は、創業期の方に向けて 創業計画書の作成支援から審査対応の準備までを一貫してサポートしています。創業融資に不安をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。

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