成果報酬型の融資サポートとは?中小企業が失敗しないためのポイント

中小企業や個人事業主にとって、融資は事業を守り、成長を実現するための重要な資金調達手段です。
しかし、実際に申請しようとすると「書類が複雑で準備が大変」「どの金融機関を選べばいいか分からない」「過去に断られて自信がない」といった不安や壁に直面する経営者は少なくありません。
こうした課題を解決するために活用されているのが 融資サポートサービス です。特に近年注目を集めているのが 成果報酬型の融資サポート。融資が実行されたときだけ費用が発生するため、リスクを抑えて安心して依頼できる仕組みです。
本記事では、成果報酬型融資サポートの特徴、メリット・デメリット、着手金型との徹底比較、さらに利用の流れまでを詳しく解説します。
この記事の監修

株式会社ウブントゥ 関野 靖也
大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。
認定経営革新等支援機関
情報処理支援機関
M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会 会員
経済産業大臣登録 中小企業診断士
応用情報処理技術者、Linux Professional、ITIL Foundation etc
目次
なぜ今、融資サポートが重要なのか
金融機関の審査基準が厳しくなっている
近年、金融機関の融資審査は厳格化しています。コロナ禍の特別融資で一時的に資金調達が容易になったものの、その反動として返済負担が膨らみ、不良債権リスクを避けるために金融機関は審査をより慎重に行うようになっています。
今では「決算書を提出すれば融資が受けられる」という時代ではなく、将来性を示す事業計画書や現実的な返済計画が不可欠です。
補助金や助成金だけでは資金需要を満たせない
補助金や助成金は返済不要の制度として人気ですが、対象となる投資が限定されており、申請から採択までに時間もかかります。必要なタイミングで資金を確保するためには、やはり融資の活用が欠かせません。
経営者の「時間不足」を解消する
経営者は日々の業務に追われ、複雑な書類作成や金融機関との交渉に十分な時間を割けないことが多いです。融資サポートを活用すれば、専門家が資料を整備し、成功率を高めるサポートを行うため、経営者は本業に集中しながら融資申請を進められます。
成果報酬型と着手金型の違いを徹底比較
融資サポートを依頼する際に最も気になるのが料金体系です。
代表的なのは「着手金型」と「成果報酬型」の2種類です。それぞれの特徴を多角的に比較してみましょう。
1. 費用発生のタイミング
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着手金型:依頼時にまとまった金額を支払う方式。採択の可否に関わらず費用が発生します。
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成果報酬型:融資が実行された場合にのみ費用が発生。不採択の場合は費用ゼロ。
※経営者にとって大きな違いは「結果が出る前にお金を支払う必要があるかどうか」です。
2. 費用総額のイメージ
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着手金型:着手金20〜30万円+成功報酬10〜20万円=合計30〜50万円程度。
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成果報酬型:融資額の3〜5%程度。融資額が大きければ総額も高額になります。
▼ 例:3,000万円の融資
・着手金型:30万円+20万円=50万円
・成果報酬型:融資額の5%=150万円
※大口融資では成果報酬型の方が割高になる可能性があります。
3. 経営者にとっての心理的負担
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着手金型:依頼時点でコストが発生するため、不採択なら「費用だけが残る」という心理的負担があります。
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成果報酬型:成功してから支払うため、安心して挑戦できます。相談しやすさという点で大きな利点です。
4. サポートする側の姿勢
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着手金型:すでに報酬を得ているため、結果へのコミット感が弱まる場合があります。
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成果報酬型:成功しなければ報酬を得られないため、サポート側も「成功に向けて全力を尽くす」姿勢になります。
5. キャッシュフローへの影響
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着手金型:融資実行前にキャッシュアウトが発生するため、資金繰りが厳しい企業には不向き。
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成果報酬型:融資実行後に支払う仕組みなので、手元に資金が入ってから報酬を支払える安心感があります。
6. 向き・不向き
- 着手金型が向いている企業 → 融資に強い自信がある企業、大規模融資で報酬を抑えたい企業
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成果報酬型が向いている企業 → 初期費用を避けたい企業、融資に不安を抱える企業、創業期の企業
成果報酬型のメリット
初期費用が不要で依頼しやすい
成果報酬型は「融資が成功してから報酬を支払う」方式のため、資金繰りが厳しい状況でも依頼できます。
不採択時のリスクを回避できる
もし融資が通らなかった場合でも費用はゼロ。経営者にとって安心感が大きく、挑戦しやすいのが魅力です。
成功に直結したサポートが受けられる
報酬が「成功に直結」するため、サポート側は融資を通すことに全力で取り組みます。計画書の改善や面談対策など、実際に成果を左右する支援を徹底する傾向があります。
経営判断のスピードを高められる
初期コストがかからないため、「まずは相談してみよう」と意思決定しやすくなります。
成果報酬型のデメリット・注意点
成功時の報酬が高額になる可能性
融資額に対して数%の報酬を支払うため、大口融資では総額が大きくなります。
最低報酬額の設定に注意
「融資額に関係なく最低30万円」といった条件がある場合、少額融資を希望する企業には割高になります。
サポート範囲が限定されるケース
「事業計画書の添削のみ」といった限定的な支援に留まる場合があります。依頼前に内容を明確に確認する必要があります。
契約条件を丁寧に確認する必要
「成果報酬」といっても実費や追加費用が発生する場合があります。契約書の細部まで確認しておくことが大切です。
成果報酬型融資サポートの流れ
ステップ1:相談・ヒアリング
経営状況や資金ニーズを整理し、最適な金融機関や申請方法を検討します。
ステップ2:必要書類の準備
決算書、資金繰り表、納税証明書などを整理。サポートを受けることで不備を防ぎ、効率的に準備できます。
ステップ3:事業計画書の作成・改善
融資の成否を分けるのは事業計画書。売上予測や返済計画を根拠を持って示し、金融機関を納得させられる内容に仕上げます。
ステップ4:申請・面談
金融機関に申請を行い、担当者との面談に臨みます。想定質問への回答を準備し、信頼を得られる受け答えを目指します。
ステップ5:融資実行・フォローアップ
融資が実行されれば成果報酬の支払いが発生。さらに返済計画の見直しや次の資金調達について相談できる場合もあります。
成果報酬型が向いている企業・そうでない企業
<成果報酬型が向いている企業>
- 創業期・スタートアップ企業
創業直後の企業は、実績が少なく、資金繰りに余裕がない場合が多いです。着手金を支払う余裕がないこともあり、成果報酬型であれば「融資が実行されてから報酬を支払う」という仕組みが安心です。 また、専門家のサポートを受けることで、初めての事業計画書作成や面談準備をプロの視点で整えられるのも大きなメリットです。
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資金繰りに余裕がない小規模事業者
日々の資金繰りに苦労している事業者にとって、数十万円の着手金は大きな負担になります。成果報酬型なら、不採択時のリスクをゼロにでき、挑戦のハードルを下げられます。
- 過去に融資が通らなかった企業
一度断られると「次も失敗するのでは」と不安が残ります。成果報酬型であれば、万が一不採択でも費用負担がなく、リスクを恐れず再挑戦できます。
- 金融機関との関係性が弱い企業
これまで取引実績が少なく、金融機関との関係性が薄い場合、独力での申請は不安定です。成果報酬型の専門家を介することで、金融機関に信頼性を伝えやすくなります。
- 融資に挑戦したいが「時間がない」企業
日常業務に追われる経営者にとって、融資準備に時間をかけるのは難しいもの。成果報酬型サポートでは「結果にコミット」する姿勢で効率的に進めてもらえるため、経営者は安心して任せられます。
<成果報酬型が向いていない企業>
- 融資に強い自信がある企業
長年黒字経営を続けており、金融機関との関係も良好な企業は、専門家に依頼しなくても融資が通る可能性が高いです。その場合、成果報酬型で高額な報酬を支払うより、自社で申請したり、着手金型の低コストサポートを選ぶ方が合理的です。
- 大規模な融資を繰り返し受ける企業
成果報酬型では融資額に比例して報酬も増えるため、1件ごとの負担は大きくなります。例えば1億円の融資に対して5%の報酬を支払うと500万円に達します。大口融資を複数回行う予定がある企業には不向きです。
- 内部に財務担当者や顧問がいる企業
経理や財務に精通した人材が社内におり、事業計画書の作成や金融機関との折衝ができる場合は、成果報酬型に依頼せず自前で進めた方がコストを抑えられます。
- 短期的ではなく長期的に融資を繰り返す予定の企業
1度きりの融資ではなく、今後も定期的に資金調達を行う予定がある企業は、成果報酬型よりも、顧問契約型や着手金型の方が総コストを抑えやすいケースがあります。
★判断のポイント★
リスクを避けたい/初期費用を払えない → 成果報酬型
大口融資が多い/成功に自信がある → 着手金型または自社対応
成果報酬型は「挑戦のハードルを下げたい企業」に適しており、着手金型は「融資に強い自信がある企業」や「コストを抑えたい企業」に適しています。
まとめ
成果報酬型の融資サポートは、初期費用を抑えてリスクを回避しつつ、専門家のサポートを受けられる仕組みです。
一方で、成功時の報酬や最低報酬額、サポート範囲について事前に確認することが不可欠です。
融資は事業の未来を支える大切な一歩。信頼できるパートナーと共に準備を整え、万全の体制で臨みましょう。

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