経営力向上計画でフォークリフト購入を支援!即時償却の活用法

フォークリフトは、製造業や物流業、卸売業など多くの中小企業にとって欠かせない設備です。しかし、購入費用が高額になりやすく、「今投資すべきか」「税負担を少しでも抑えられないか」と悩む経営者も少なくありません。
こうした場面で活用したい制度が 経営力向上計画と中小企業経営強化税制 です。一定の要件を満たせば、フォークリフトの購入費用を 即時償却 でき、導入年度の税負担を大きく軽減できます。
本記事では、フォークリフトが経営力向上計画の税制優遇対象となる仕組みから、即時償却を活用するための要件、申請の流れ、注意点までを実務目線でわかりやすく解説します。設備投資と税務の判断を誤らないためにも、ぜひ最後までご確認ください。
この記事の監修
中小企業診断士 関野 靖也
大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。
中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士
フォークリフトと経営力向上計画の基礎知識
フォークリフトの導入を検討する際、経営力向上計画を活用することで税制上の支援を受けられる ことは、意外と知られていません。中小企業経営強化税制の適用対象となれば、設備投資に伴う税負担を抑えながら、業務効率化を進めることが可能になります。
経営力向上計画は、単なる書類上の制度ではなく、「生産性向上につながる設備投資」を後押しするための仕組みです。フォークリフトのように、作業効率や安全性の向上に直結する設備は、この制度との親和性が高いといえます。
この章では、フォークリフトがなぜ経営力向上計画の税制優遇対象となり得るのか、その制度的な位置づけや基本的な考え方について、まず押さえておきたいポイントを整理していきます。
フォークリフトが税制優遇の対象となる理由
フォークリフトは、通常の会計・税務処理では「車両運搬具」として区分されるのが一般的です。しかし、経営力向上計画に基づく中小企業経営強化税制では、一定の条件を満たすことで「機械装置」として扱われるケースがあります。
この取り扱いの根拠となるのが、一般社団法人日本産業車両協会が発行する工業会証明書です。工業会証明書においてフォークリフトが「機械装置」と明記されている場合、その記載内容に基づいて税制上の判定が行われます。
その結果、取得価額が160万円以上のフォークリフトであれば、機械装置として中小企業経営強化税制の対象設備に該当し、即時償却や税額控除といった税制優遇を受けることが可能となります。
このように、実務上の資産区分(車両運搬具)と、税制適用上の資産区分(機械装置)が一致しないケースがある点が、フォークリフト特有の重要なポイントです。経営力向上計画では、工業会証明書の内容が判断基準となるため、適切な証明書を取得することで税制優遇の道が開かれます。
車両運搬具と機械装置の区分
税法上、フォークリフトは原則として車両運搬具に分類されます。これは「陸上で人や物を運ぶことを主目的とする自走式の運搬設備」に該当するためです。フォークリフトは荷役自動車・産業車両という位置づけであり、通常の会計処理では車両運搬具として減価償却が行われます。
一方で、ブルドーザーやパワーショベルのような建設機械は、作業そのものを行うことを目的とした自走式の設備であるため、「機械装置」として扱われます。
この違いは、「移動・運搬が主目的か」「作業・加工が主目的か」という観点で区分されている点がポイントです。
フォークリフトはあくまで運搬を主目的とする設備であるため、本来の税務上の区分では機械装置には該当しません。
しかし、中小企業経営強化税制の適用においては、この原則とは異なる判断が行われます。同制度では、設備の区分は工業会等が発行する証明書の記載内容に基づいて判定されます。そのため、工業会証明書にフォークリフトが「機械装置」と明記されている場合には、税制上も機械装置として取り扱うことが認められます。
この特例的な考え方により、通常は車両運搬具として扱われるフォークリフトであっても、一定の条件を満たせば即時償却や税額控除といった税制優遇を受けることが可能となります。
フォークリフトが経営力向上計画と相性の良い設備とされる理由は、まさにこの「区分の特例」にあります。
経営力向上計画でフォークリフト購入時に受けられる税制優遇
経営力向上計画の認定を受けたうえでフォークリフトを導入すると、中小企業経営強化税制を活用した税制優遇を受けることができます。
この制度を利用することで、設備投資に伴う初年度の税負担を抑え、資金繰りを大きく改善することが可能になります。
フォークリフトは現場の生産性や安全性を高める重要な設備であり、一定の要件を満たすことで、他の機械装置と同様に税制優遇の対象となります。
即時償却と税額控除の選択
中小企業経営強化税制では、「即時償却」または「税額控除」のいずれかを選択できます。
即時償却を選択した場合
即時償却を選ぶと、フォークリフトの取得価額を取得した事業年度に全額経費として計上できます。
通常、フォークリフトは耐用年数4年で減価償却しますが、即時償却を適用すれば初年度に一括で損金算入できるため、当期の課税所得を大きく圧縮できます。
利益が出ている年度に設備投資を行う場合、節税効果を即座に得られる点が大きなメリットです。
税額控除を選択した場合
税額控除を選択すると、フォークリフトの取得価額の
-
10%(資本金3,000万円以下の法人)
-
7%(資本金3,000万円超1億円以下の法人)
を、法人税額から直接差し引くことができます。
税額控除は、経費計上ではなく税額そのものを減らせる制度のため、毎期安定して黒字が出ている企業にとって、確実性の高い節税手法といえます。
なお、控除額には法人税額の20%という上限がありますが、控除しきれなかった分は翌期以降に繰り越すことも可能です。
どちらを選ぶべきか
即時償却と税額控除のどちらが適しているかは、企業の状況によって異なります。
-
初年度の税負担を最大限に軽減したい場合 → 即時償却
-
中長期的に安定した節税を行いたい場合 → 税額控除
決算見込みや資金繰りを踏まえたうえで選択することが重要です。
対象となるフォークリフトの要件
フォークリフトを中小企業経営強化税制の対象とするためには、以下の要件を満たす必要があります。
取得価額の要件
フォークリフトは機械装置として160万円以上の取得価額が必要です。
この金額判定は、企業の経理方式によって異なります。
-
税抜経理を採用している場合:税抜金額で判定
-
税込経理を採用している場合:税込金額で判定
A類型(生産性向上設備)への該当
フォークリフトは、生産性向上設備(A類型)として申請するのが一般的です。
工業会証明書により、年平均1%以上の生産性向上が見込まれる設備であることを証明する必要があります。
この証明書は、フォークリフトメーカーや販売会社を通じて取得します。
経営力向上計画への記載と認定
フォークリフトの導入内容を経営力向上計画に明確に記載し、事前に認定を受けることが大前提です。
原則として、認定後に設備を取得し、事業の用に供することで、税制優遇が適用されます。
これらの要件を正しく満たすことで、フォークリフト購入時の税負担を大きく抑え、設備投資を有利に進めることが可能になります。
フォークリフト導入時の申請手順
フォークリフトの購入で税制優遇を受けるためには、決められた順序で手続きを進めることが非常に重要です。
手順を誤ると、要件を満たしていても即時償却や税額控除が認められないケースがあるため、事前に全体像を把握しておく必要があります。
基本的な流れは、
①工業会証明書の取得 → ②経営力向上計画の申請・認定 → ③フォークリフトの取得・稼働
という順番になります。
特に注意したいのは、原則として「計画認定後に設備を取得する」という点です。
この順序を守ることで、フォークリフトを中小企業経営強化税制の対象設備として確実に位置づけることができます。
次の章では、各ステップごとに
-
何を準備すべきか
-
どこでつまずきやすいか
-
実務上の注意点
を具体的に解説していきます。
工業会証明書の取得
フォークリフトの場合、一般社団法人 日本産業車両協会が発行する工業会証明書を取得します。
申請は事業者自身が直接行うのではなく、フォークリフトのメーカーまたは販売代理店を通じて行うのが一般的です。
そのため、導入を検討する段階で、「経営力向上計画での利用を想定している」ことを、あらかじめ販売店に伝えておくと手続きがスムーズです。
証明書で必ず確認すべきポイント
工業会証明書には、設備が生産性向上設備(A類型)に該当することが記載されます。
特に重要なのが、証明書内の
「減価償却資産の種類」欄に『機械装置』と記載されているか
という点です。
フォークリフトは通常、税務上は車両運搬具に分類されますが、この証明書で「機械装置」と明記されていれば、取得価額160万円以上の機械装置として中小企業経営強化税制の対象となります。
この記載内容が、税制優遇を受けられるかどうかを左右するため、証明書を受け取った際は必ず内容を確認してください。
複数台導入・取得時期が異なる場合の注意点
同一仕様のフォークリフトを同時期に複数台導入する場合は、経営力向上計画の申請書に導入台数を明記することで、原則として1枚の工業会証明書で対応可能です。
一方で、
-
取得時期が異なる
-
年度をまたいで導入する
といった場合は、取得時期ごとに工業会証明書が必要となります。
後から追加導入するケースでは、変更申請と併せて証明書を再取得する必要がある点に注意してください。
工業会証明書の発行には一定の期間がかかるため、フォークリフトの発注前から余裕を持って準備を進めることが、税制優遇を確実に受けるための重要なポイントとなります。
経営力向上計画の認定申請
工業会証明書を取得したら、次のステップとして経営力向上計画の認定申請を行います。
この認定を受けることで、フォークリフト購入に対する即時償却や税額控除といった税制優遇を適用できるようになります。
申請方法の選択(電子申請が基本)
認定申請は、
-
経営力向上計画申請プラットフォームを利用した電子申請
-
書面による申請
のいずれかで行えますが、現在は電子申請が原則となっています。
電子申請を行う場合は、事前に GビズIDプライムアカウント の取得が必要です。
GビズIDの発行にはおおむね2週間程度かかるため、フォークリフト導入を検討し始めた段階で早めに準備しておくことをおすすめします。
申請書に記載する主な内容
申請書では、以下の項目を中心に記載します。
-
企業概要(事業内容・従業員数など)
-
現状の課題や経営環境の認識
-
経営力向上の目標(生産性向上など)
-
経営力向上の具体的な取組内容
フォークリフト導入については、
-
導入するフォークリフトの種類
-
取得価額
-
導入予定時期
-
業務効率化・生産性向上への効果
を、工業会証明書の内容と整合する形で具体的に記載することが重要です。
添付書類と認定までの期間
申請時には、工業会証明書の写しを必ず添付します。
電子申請の場合はPDF形式でアップロードします。
認定までの標準的な期間は以下のとおりです。
-
経済産業部局のみへの電子申請:約14日(休日等を除く)
-
複数省庁にまたがる場合:約45日程度
認定が完了すると、
-
認定書
-
認定申請書の写し
が交付されます。これらは税務申告時に必須となる重要書類のため、必ずデータ・紙の両方で適切に保管しておきましょう。
設備取得と事業供用
経営力向上計画の認定を受けた後、フォークリフトを取得し、実際の業務に使用します。
原則として、設備の取得は計画認定後に行うことが求められますが、実務上は「60日ルール」と呼ばれる例外規定が設けられています。
60日ルールとは、設備を取得した日から60日以内に、経営力向上計画の申請書が行政庁に到達していれば、認定前に取得した設備であっても税制優遇の対象となるという制度です。ただし、この特例はあくまで例外であり、原則どおり認定後に取得する方が確実です。
また、フォークリフトを取得しただけでは足りず、速やかに事業の用に供していることが重要な要件となります。さらに、税制優遇を受けるためには、設備を取得し、かつ事業の用に供した事業年度内に、経営力向上計画の認定を受けていることが絶対条件です。
たとえ60日ルールを満たしていても、事業年度をまたいで認定を受けた場合には、即時償却や税額控除などの税制措置は適用されません。決算期が近い場合は、認定までの標準処理期間を考慮し、余裕を持ったスケジュール管理が不可欠です。
税務申告の際には、
-
経営力向上計画の認定書の写し
-
認定申請書の写し
-
工業会証明書の写し
を申告書に添付します。
いずれかが欠けていると税制措置を受けられない可能性があるため、取得後は書類の保管と管理を徹底しておきましょう。
申請時に必ず押さえておきたい重要ルール
フォークリフトを経営力向上計画で導入し、税制優遇を確実に受けるためには、いくつかの絶対に外せないルールがあります。
中でも重要なのが「60日ルール」と「事業年度内認定」の2点です。どちらか一方でも満たせていない場合、即時償却や税額控除は適用できません。
60日ルールの正しい理解
経営力向上計画では、原則として計画の認定を受けた後に設備を取得することが求められます。
しかし、実務上の柔軟性を確保するために設けられているのが「60日ルール」です。
このルールでは、設備を取得した日から60日以内に、経営力向上計画の申請書が行政庁に到達していれば、認定前に取得したフォークリフトであっても、税制優遇の対象として扱われます。
たとえば、
-
急な業務量増加により先にフォークリフトを購入した
-
納期の都合で設備取得を先行せざるを得なかった
といったケースでも、60日以内に申請が完了していれば救済される仕組みです。
ただし、このルールはあくまで例外措置であり、次に説明する条件を満たさなければ適用されません。
また、計画変更によりフォークリフトを追加導入する場合でも、同様に60日ルールが適用されます。
事業年度内認定が必須である理由
60日ルール以上に重要なのが、事業年度内に認定を受けているかどうかです。
中小企業経営強化税制は、税務上「事業年度単位」で適用可否が判断されます。
そのため、フォークリフトを取得し、事業の用に供した事業年度内に、経営力向上計画の認定を受けていなければ、税制優遇は一切適用されません。
たとえば、3月決算の企業が次のようなケースの場合です。
・2月にフォークリフトを取得
・3月中に申請したが、認定は4月
→ この場合、税制優遇は適用不可
申請が年度内であっても、認定が年度をまたぐとアウトになる点は、非常に見落とされやすい注意点です。
年度末導入時の実務的な対策
事業年度末が近いタイミングでフォークリフト導入を検討している場合は、特に慎重なスケジュール管理が必要です。
認定までの標準的な処理期間は以下が目安となります。
-
経済産業部局のみの電子申請:約14日(休日除く)
-
複数省庁にまたがる申請:約45日
照会や差し戻しが発生すれば、さらに日数が延びる可能性があります。
そのため実務上は、決算期の2か月前までに申請を完了させることが、安全な運用ラインといえます。
フォークリフトの種類別対応状況
フォークリフトには、バッテリー式・ガソリン式・ディーゼル式といった複数の種類があります。
経営力向上計画を活用した中小企業経営強化税制では、すべてのフォークリフトが一律に対象になるわけではありません。
実際には、機種・出力・用途ごとに工業会証明書の取得可否が異なるため、導入前の確認が不可欠です。
ここでは、フォークリフトの種類ごとに、税制優遇との相性や注意点を整理します。
バッテリー式フォークリフト
バッテリー式フォークリフトは、中小企業経営強化税制との相性が最も良いタイプといえます。
多くの中型以上の機種で、
-
生産性向上要件
-
技術的な新規性要件
を満たし、工業会証明書を取得できるケースが多く見られます。
排気ガスが出ないため、倉庫や工場内での使用に適しており、近年の物流拠点の大型化や環境配慮の流れもあって、導入実績が増えています。
即時償却や税額控除を狙う場合、まず検討したいのがバッテリー式といえるでしょう。
ただし、同じバッテリー式でも対象外となる機種は存在するため、購入前に「工業会証明書の取得可否」を販売代理店へ確認することが重要です。
ガソリン式・ディーゼル式フォークリフト
内燃機関を搭載したフォークリフトについては、機種ごとの差が特に大きい点に注意が必要です。
▼ガソリン式フォークリフト
ガソリン式は、
-
小型機種でも対象となるケースがある
-
屋外作業向けで取り回しが良い
といった特徴がありますが、すべての機種が対象になるわけではありません。
生産性向上要件を満たさない場合、工業会証明書が発行されず、税制優遇を受けられないケースもあります。
▼ディーゼル式フォークリフト
ディーゼル式については、
-
小型クラスでは対象外となるケースが多い
-
中型以上になると対象となる可能性が出てくる
という傾向があります。
これは、排ガス規制や技術要件の関係で、工業会証明書の取得基準が厳しく設定されているためです。
機種選定時の実務ポイント
フォークリフト導入で即時償却などの税制優遇を狙う場合、「フォークリフトの種類」ではなく、「その機種で工業会証明書が取れるか」が最重要ポイントです。
そのため、導入検討時には以下を必ず確認してください。
-
検討している具体的な型式
-
工業会証明書の取得可否
-
証明書上の資産区分が「機械装置」になっているか
この確認を後回しにすると、
「購入後に対象外と判明し、即時償却が使えなかった」
という事態にもなりかねません。
機種選定の段階から税制優遇を前提に検討することで、コスト面・資金繰り面の両方で効果的な設備投資が実現できます。
まとめ
経営力向上計画を活用することで、フォークリフトの購入時に即時償却または税額控除の税制優遇を受けることができます。工業会証明書の取得、経営力向上計画の認定申請、設備取得という手順を正しく踏むことが重要です。特に60日ルールと事業年度内認定のルールは適用の可否を左右するため、スケジュール管理を徹底しましょう。機種によって対象可否が異なるため、購入前の確認が欠かせません。

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フォークリフトが税制優遇の対象になるかどうかは、
機種ごとの工業会証明書の可否や、
事業年度・申請タイミングとの関係によって判断が分かれるため、
実務では「判断に迷うポイント」が数多く存在します。
ProdX Crowdでは、
導入予定フォークリフトが税制優遇の対象になるかの事前確認
工業会証明書取得に向けたメーカー・販売店との整理
経営力向上計画への記載内容の確認
事業年度を踏まえた申請スケジュールの整理
といった点を、実務目線で一緒に確認・整理することが可能です。
「このフォークリフトは即時償却できるのか」
「今の決算期に間に合うのか」
「60日ルールを使っても問題ないか」
といった判断に少しでも不安がある場合は、
購入を進める前の段階で一度ご相談いただくことで、
制度を使えなかったというリスクを未然に防ぐことができます。
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