新規事業検討の進め方|7ステップと成功させる5つの視点を解説

新規事業の検討は、企業の持続的成長に不可欠な戦略です。しかし、何から手をつければよいか分からず、検討が進まないケースも少なくありません。

本記事では、新規事業検討の具体的なステップと、成功確率を高めるための実践的な視点を詳しく解説します。

この記事の監修

中小企業診断士 関野 靖也

大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。

中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士

新規事業検討が重要な理由

新規事業検討は、企業が長期的に成長し続けるための重要な取り組みです。既存事業だけに依存していると、市場環境の変化や競合の台頭によって、事業基盤が脆弱になるリスクがあります。

 

近年の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの企業が既存ビジネスモデルの限界を痛感しました。リモートワークやオンライン化の急速な進展により、従来のやり方では対応できない状況が生まれています。このような環境変化に対応するため、DXを中心とした新規事業への取り組みが加速しています。

 

新規事業を検討することで、新しい収益源の確保、既存資産の有効活用、経営人材候補の育成など、多くのメリットが得られます。また、市場の変化を先読みし、競合より先にポジションを確立することで、持続的な競争優位性を築くことができます。

 

ただし、新規事業の検討にはリソース確保や事業環境の変化への対応など、多くの課題があります。体系的なアプローチと適切なフレームワークの活用により、これらの課題を乗り越えることが可能です。

新規事業検討の7つのステップ

新規事業を成功に導くには、体系的なプロセスに従って検討を進めることが重要です。以下の7つのステップで進めることで、検討の質を高められます。

事業領域の選定

新規事業検討の最初のステップは、どの事業領域に参入するかを決定することです。「新規事業の狙い目はどこか」という領域選択は、成功確率を大きく左右する重要な意思決定です。

 

事業領域を選定する際には、既存事業の周辺から探す、自社のシーズ(技術・ノウハウ)から探す、社会の変化点を探すという3つの視点が有効です。既存事業の周辺であれば、既存の顧客基盤や販売チャネルを活用でき、参入障壁が低くなります。

 

自社のシーズから探す場合は、独自技術やノウハウを活かせる領域を特定します。社会の変化点を探す場合は、規制緩和や技術革新、人口動態の変化などのマクロトレンドを分析し、成長が見込まれる市場を見つけます。

市場分析と顧客ニーズの把握

事業領域が決まったら、その市場の詳細な分析を行います。市場規模、成長率、競合状況、顧客セグメントなどを多角的に調査し、参入の妥当性を検証します。

 

特に重要なのは、顧客ニーズの深掘りです。表面的なニーズだけでなく、顧客が本当に解決したい課題や潜在的な不満を見つけ出すことが、差別化された価値提案につながります。顧客インタビューやアンケート調査を通じて、定量・定性の両面からニーズを把握しましょう。

 

マクロ環境分析とミクロ環境分析の両方を実施することで、より網羅的な視点での検討が可能になります。PEST分析で政治・経済・社会・技術のマクロトレンドを捉え、5フォース分析で業界構造を理解します。

アイデアの具体化

市場分析で得た情報をもとに、具体的な事業アイデアを創出します。この段階では、量より質を重視せず、できるだけ多くのアイデアを出すことが重要です。

 

ブレインストーミングやデザイン思考などの手法を活用し、チームメンバーの多様な視点を取り入れます。既成概念にとらわれず、顧客視点で「こんなサービスがあったら便利」という発想を大切にしましょう。

 

アイデアを具体化する際には、誰に(ターゲット)、何を(提供価値)、どのように(提供方法)を明確にします。ビジネスモデルキャンバスなどのフレームワークを使うと、アイデアを構造化しやすくなります。

事業計画の立案

選定したアイデアを事業計画に落とし込みます。事業コンセプト、ターゲット市場、提供価値、収益モデル、競合優位性、マーケティング戦略、組織体制、収支計画などを詳細に記載します。

 

事業計画は社内承認を得るための重要な資料です。経営層が投資判断をするために必要な情報を、論理的かつ説得力を持って提示する必要があります。実現可能性と収益性を数値で示すことが重要です。

 

短期・中期・長期の目標を設定し、各フェーズで達成すべきマイルストーンを明確にします。KPIを設定し、進捗をモニタリングできる仕組みも計画段階で組み込みましょう。

実現可能性の検証

事業計画が立案できたら、実現可能性を検証します。技術的実現可能性、市場受容性、財務的実現可能性の3つの観点から評価します。

 

技術的実現可能性では、必要な技術やノウハウが確保できるか、開発期間は妥当か、品質基準を満たせるかを検証します。市場受容性では、MVPを作成して実際の顧客に試してもらい、フィードバックを収集します。

 

財務的実現可能性では、初期投資額、損益分岐点、投資回収期間などを算出し、リスクとリターンのバランスを評価します。複数のシナリオを想定し、最悪の場合でも事業が成立するかを確認します。

リソース確保の計画

新規事業を推進するには、人材、資金、設備、技術などのリソースが必要です。どのリソースをどのタイミングでどれだけ確保するかを計画します。

 

人材については、社内の既存メンバーを活用するか、外部から採用するか、あるいは外部パートナーと協業するかを決定します。新規事業に必要なスキルセットを明確にし、適切な人材配置を計画しましょう。

 

資金については、自己資金、銀行融資、補助金・助成金、ベンチャーキャピタルなど、複数の調達手段を検討します。資金ショートを起こさないよう、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。

リスク分析

最後に、新規事業に潜むリスクを洗い出し、対策を立てます。市場リスク、競合リスク、技術リスク、財務リスク、法務リスクなど、多角的にリスクを評価します。

 

各リスクについて、発生確率と影響度を評価し、リスクマップを作成します。高リスク項目については、リスクを回避・軽減・移転・受容するための具体的な対策を立てます。

 

撤退基準も事前に設定しておくことが重要です。どの指標がどの水準を下回ったら事業を見直すか、あるいは撤退するかを明確にしておくことで、損失を最小限に抑えられます。

新規事業検討で活用すべきフレームワーク

新規事業の検討を効率的に進めるには、フレームワークの活用が不可欠です。フレームワークは思考を整理し、検討漏れを防ぐための強力なツールです。

マクロ環境分析のフレームワーク

PEST分析は、政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの視点からマクロ環境を分析するフレームワークです。事業環境の変化を先読みし、機会と脅威を特定できます。

 

規制緩和や政策変更、経済成長率や為替動向、人口動態や価値観の変化、技術革新やデジタル化など、自社の事業に影響を与える要因を体系的に整理します。これにより、中長期的なトレンドを踏まえた事業計画が立てられます。

市場分析のフレームワーク

5フォース分析は、業界の競争構造を理解するためのフレームワークです。既存競合、新規参入、代替品、買い手の交渉力、売り手の交渉力の5つの競争要因を分析します。

 

業界の収益性や参入障壁を評価し、自社がどのようにポジショニングすべきかを検討できます。競合優位性を築くための戦略立案にも役立ちます。

 

3C分析(Customer、Competitor、Company)も有効です。顧客、競合、自社の3つの視点から市場を分析し、成功要因を特定します。顧客ニーズと自社の強みが一致し、競合に対して優位性を持てる領域を見つけることが重要です。

事業評価のフレームワーク

VRIO分析は、自社のリソースや能力の競争優位性を評価するフレームワークです。Value(価値)、Rarity(希少性)、Imitability(模倣困難性)、Organization(組織)の4つの視点で評価します。

 

自社の強みを客観的に評価し、それを新規事業でどう活かすかを検討できます。持続的な競争優位性を築くには、価値があり、希少で、模倣困難で、組織的に活用できるリソースが必要です。

 

ビジネスモデルキャンバスは、事業の全体像を1枚のシートで可視化するツールです。顧客セグメント、提供価値、チャネル、顧客との関係、収益の流れ、主要リソース、主要活動、パートナー、コスト構造の9要素で事業を整理します。

新規事業検討を成功させる5つの視点

新規事業検討を成功に導くには、以下の5つの視点を意識することが重要です。これらは、多くの成功事例から導き出された実践的な知見です。

 

第一に、複数のフレームワークを組み合わせることです。一つのフレームワークだけでは、認知バイアスや見落としが発生する可能性があります。マクロとミクロ、定量と定性など、異なる視点のフレームワークを併用しましょう。

 

第二に、顧客視点を徹底することです。自社のやりたいことではなく、顧客が本当に求めていることを起点に検討を進めます。顧客インタビューや現場観察を通じて、深いインサイトを獲得しましょう。

 

第三に、小さく始めて検証を繰り返すことです。最初から完璧な事業計画を目指すのではなく、MVPを作って市場の反応を見ながら改善していくアプローチが有効です。リーンスタートアップの考え方を取り入れましょう。

 

第四に、スピード感を持って進めることです。新規事業は「正しいことを、ライバルより速くやること」が重要です。完璧を求めて時間をかけすぎると、市場機会を逃してしまいます。

 

第五に、社内外のリソースを柔軟に活用することです。すべてを自社で賄おうとせず、外部パートナーとの協業や、オープンイノベーションの活用も検討しましょう。必要なリソースを迅速に確保することが成功の鍵です。

まとめ

新規事業検討は、企業の持続的成長に不可欠な取り組みです。事業領域の選定から始まり、市場分析、アイデア具体化、事業計画立案、実現可能性検証、リソース確保計画、リスク分析という7つのステップで体系的に進めることが重要です。

 

各ステップでは、PEST分析、5フォース分析、3C分析、VRIO分析、ビジネスモデルキャンバスなどのフレームワークを活用することで、検討の質とスピードを高められます。フレームワークは単なる穴埋めツールではなく、思考を深め視野を広げるための補助ツールとして活用しましょう。

 

成功のためには、複数のフレームワークの組み合わせ、顧客視点の徹底、小さく始める検証、スピード感、柔軟なリソース活用という5つの視点を意識することが重要です。これらの実践的な知見を活かし、自社の新規事業検討を前に進めてください。

 

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