新規事業を立ち上げるには|成功に導く7つのステップ

新規事業を立ち上げるには、体系的なアプローチと入念な準備が欠かせません。市場環境の急速な変化により、既存事業だけに依存する経営は大きなリスクを抱えています。
本記事では新規事業の立ち上げに必要な準備から具体的なステップ、成功のポイントまで実践的に解説します。
この記事の監修
中小企業診断士 関野 靖也
大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。
中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士
新規事業を立ち上げるには明確な目的が必要
新規事業を立ち上げるには、まず「なぜ取り組むのか」を明確にすることが重要です。単なる売上増加だけでなく、企業の長期的な成長戦略における位置づけを定義する必要があります。
市場環境の変化に対応するため、収益源を多角化するため、新技術を活用するためなど、目的は企業によって異なります。明確な目的設定により、プロジェクトメンバーの方向性が統一され、意思決定の軸が確立されます。
経営層から現場まで共通認識を持つことで、組織全体での推進力が高まります。目的を見失うと、途中で方向性がブレたり、短期的な利益に囚われて本質を見失ったりするリスクがあります。企業理念や既存事業との整合性を確認しながら、新規事業の存在意義を明文化しましょう。
新規事業を立ち上げるには必須の5つの準備
新規事業の成功確率を高めるには、適切な事前準備が不可欠です。計画段階で押さえるべきポイントを理解し、入念に準備することで、実行段階でのリスクを大幅に軽減できます。
ここでは新規事業を立ち上げる前に整えるべき5つの要素を解説します。
自社の強みとリソースの把握
新規事業を立ち上げるには、自社が持つ資産を正確に理解することが第一歩です。既存の生産設備、流通ネットワーク、顧客基盤、技術力、ブランド力など、活用できるリソースを洗い出します。
ゼロから起業する場合と異なり、企業内での新規事業は既存資産を活かせる点が大きな強みとなります。社内に蓄積されたノウハウや人脈も重要な経営資源です。
顧客データを分析し、自社が選ばれる理由や競合との差別化ポイントを明確にすることも有効でしょう。SWOT分析などのフレームワークを活用して、客観的に自社の強みと弱みを評価します。
強みを最大限に活かせる事業領域を選択することで、成功確率が高まります。
市場調査と顧客ニーズの分析
新規事業を立ち上げるには、市場の実態を正確に把握する必要があります。ターゲット市場の規模や成長性、競合状況、業界のトレンドなどを徹底的に調査します。
インタビューやアンケート、フォーカスグループなど複数の手法を組み合わせて、多角的にデータを収集しましょう。顧客の潜在的なニーズを掘り下げることが重要です。
表面的な要望だけでなく、顧客自身も気づいていない本質的な課題を見極めることで、真に価値ある製品やサービスを提供できます。データに基づく客観的な分析を心がけ、思い込みや希望的観測を排除します。
競合分析では、直接的な競合だけでなく代替サービスも含めて検討しましょう。
事業計画と収支シミュレーション
新規事業を立ち上げるには、具体的な計画を数値化することが欠かせません。どのように収益を生み出すのか、必要な投資額はいくらか、損益分岐点はいつ到達するのかを明確にします。
ビジネスモデルキャンバスやリーンキャンバスなどのフレームワークを活用すると、事業の全体像を整理しやすくなります。
楽観的なシナリオだけでなく、悲観的なケースも想定して複数のシミュレーションを行います。初期投資額、運転資金、予想される売上と費用を詳細に見積もり、現実的な計画を立てましょう。
KGIやKPIを設定し、進捗を測定できる指標を明確にすることも重要です。計画は定期的に見直し、市場の変化に応じて柔軟に修正します。
適切な人材の選定とチーム編成
新規事業を立ち上げるには、適材適所の人材配置が成功の鍵を握ります。
新規事業には既存の枠組みにとらわれない発想力と、困難を乗り越える実行力が求められます。立ち上げ初期は少数精鋭のチームが理想的で、2〜3名程度の小規模体制がコミュニケーションの質と速度を保ちます。
多様なバックグラウンドを持つメンバーを集めることで、イノベーションが生まれやすくなります。
社内の優秀な人材だけでなく、必要に応じて外部の専門家やコンサルタントの活用も検討しましょう。
プロジェクトリーダーには、高いリーダーシップと粘り強さに加え、経営層との調整能力も必要です。既存事業との兼務は避け、新規事業に専念できる環境を整えることが望ましいです。
資金調達と補助金の活用
新規事業を立ち上げるには、十分な資金を確保することが重要です。自己資本での調達が基本となりますが、公的な補助金や助成金の活用も積極的に検討しましょう。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金など、新規事業をサポートする制度が多数存在します。補助金は返済不要で、社会的信用の向上にもつながるメリットがあります。
申請には事業計画書の作成や審査があり、時間と労力がかかりますが、得られる資金とノウハウ面でのサポートは大きな価値があります。各省庁や自治体のホームページで最新情報を確認し、早めに準備を始めることが重要です。
外部投資家からの資金調達が必要な場合は、事業の将来性を明確に示せる資料を用意します。
新規事業を立ち上げるには実践すべき7つのステップ
準備が整ったら、実際の立ち上げプロセスに入ります。各ステップを着実に進めることで、リスクを抑えながら事業を軌道に乗せることができます。状況に応じて柔軟に対応しながら、計画的に推進していきましょう。
ステップ1:プロジェクト責任者の決定
新規事業を立ち上げるには、まず事業を牽引するリーダーを明確にします。強いオーナーシップと実行力を持つ人物を選び、適切な権限を委譲することが成功の第一歩です。
ステップ2:事業コンセプトの確立
企業理念と整合性のある事業ビジョンを策定します。なぜこの事業に取り組むのか、どのような価値を提供するのかを明文化し、チーム全体で共有します。
ステップ3:市場検証とフィードバック収集
想定顧客へのインタビューやプロトタイプのテストを通じて、事業アイデアの妥当性を検証します。早期に市場の反応を確認し、計画を修正します。
ステップ4:ビジネスモデルの構築
収益モデル、コスト構造、提供価値を具体化します。持続可能な事業として成立するか、利益を生み出せるかを慎重に検討します。
ステップ5:詳細な実行計画の策定
いつ、誰が、何をするのかを具体的に定義します。マイルストーンを設定し、進捗を可視化できる計画を作成します。
ステップ6:MVP開発と市場投入
最小限の機能を持つ製品やサービスを開発し、小規模に市場へリリースします。顧客の反応を見ながら改善を重ね、製品の完成度を高めます。
ステップ7:評価と改善の継続
定期的にKPIを確認し、PDCAサイクルを回します。市場環境や顧客ニーズの変化に応じて、戦略を柔軟に見直していきます。
新規事業を立ち上げるには避けたい3つの失敗
新規事業の失敗から学ぶことで、同じ過ちを繰り返さずに済みます。多くの企業が陥りがちな失敗パターンを理解し、事前に対策を講じることが重要です。
ここでは特に注意すべき3つの失敗パターンを紹介します。
経営層のコミットメント不足
新規事業を立ち上げるには、経営トップの強いコミットメントが不可欠です。現場に丸投げしたり、短期的な成果を求めすぎたりすると、プロジェクトは頓挫しやすくなります。経営層は適切なタイミングで意思決定を行い、必要なリソースを迅速に投入する必要があります。
社内政治や既存事業との軋轢から、新規事業が不当な圧力を受けるケースもあります。経営層が新規事業の意義を明確に発信し、組織全体での理解を促進することが重要です。中長期的な視点で事業を育てる覚悟を持ち、一時的な困難に動じない姿勢が求められます。
定期的なレビューミーティングを設け、進捗と課題を共有する場を設けましょう。
市場ニーズとのミスマッチ
新規事業を立ち上げるには、顧客の真のニーズを捉えることが最重要です。技術的に優れた製品や独創的なアイデアでも、市場が求めていなければ成功しません。自社の都合や思い込みで事業を進めると、顧客不在のプロダクトが生まれるリスクがあります。
初期段階から顧客との対話を重ね、フィードバックを製品開発に反映させることが重要です。完璧な製品を目指して開発に時間をかけすぎるより、早期にMVPをリリースして市場の反応を見る方が効果的です。
仮説検証のサイクルを素早く回し、ピボット(方向転換)の判断も恐れずに行いましょう。顧客インサイトを深く理解し、表面的なニーズの先にある本質的な課題を解決します。
撤退基準の未設定
新規事業を立ち上げるには、成功基準と同時に撤退基準も定めておく必要があります。サンクコスト(すでに投資した費用)に囚われて、見込みのない事業を続けることは企業全体に悪影響を及ぼします。
事前に投資額の上限や達成すべきマイルストーンを明確にし、それを下回った場合の対応を決めておきます。撤退は失敗ではなく、戦略的な選択として捉える企業文化を醸成することが大切です。
早期の撤退判断により、損失を最小限に抑え、リソースを他の有望な機会に振り向けることができます。定期的に事業の進捗を評価し、客観的なデータに基づいて継続・撤退を判断する仕組みを構築しましょう。
感情的な判断を避け、冷静に状況を分析することが重要です。
まとめ
新規事業を立ち上げるには、入念な準備と体系的なアプローチが不可欠です。自社の強みを活かし、市場ニーズを正確に捉え、具体的な計画に基づいて実行することが成功への道筋となります。
経営層の強いコミットメント、適切な人材配置、柔軟な戦略修正により、成功確率を高めることができます。補助金の活用や撤退基準の設定など、リスクマネジメントの視点も忘れずに取り入れましょう。
7つのステップを着実に実践し、失敗パターンを避けることで、新規事業の立ち上げを成功に導くことができます。

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