創業融資 コンサルとは?選び方から相場・注意点まで完全ガイド

創業融資の申請は、書類準備から審査対策まで多くの手間がかかり、初めての起業家にとって大きな負担になります。そこで活躍するのが創業融資コンサルです。
本記事では、コンサルが提供するサービス内容、相場、失敗しない選び方、税理士との違いまで、起業家が知るべき情報を完全解説します。
この記事の監修
中小企業診断士 関野 靖也
大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。
中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士
創業融資コンサルとは|役割と必要性を理解する
創業融資コンサルは、起業家や新規事業を立ち上げる経営者に対して、融資制度の活用や申請手続きについて専門的なアドバイスとサポートを提供する専門家です。単なる書類作成の代行ではなく、金融機関の審査基準を理解し、融資成功へ導く「戦略的なパートナー」としての役割を担っています。
創業時の資金調達は、事業の成功を左右する最初の重大な意思決定です。営業実績がない段階での融資申請では、金融機関に説得力を持つ事業計画書の作成と、審査通過に必要な全ての書類を正確に準備することが欠かせません。コンサルに依頼することで、こうした準備の負担を軽減しながら、融資成功の可能性を大幅に高めることができるのです。
創業融資コンサルが提供する主なサービス内容
創業融資コンサルのサービス内容は幅広く、相談から融資実行までの全過程をサポートします。各社によってサービス範囲は異なるため、依頼前に詳細を確認することが重要です。
初期ヒアリングと融資可能性の診断
コンサル契約の最初のステップは、経営者の状況を詳しくヒアリングすることです。業界経験、資金状況、事業内容、必要資金額など、多角的な情報を収集し、どの融資制度が適切か、融資が通る可能性があるかを診断します。
この段階で、コンサルは経営者の事業計画に問題がないか、現実的な実現可能性があるかを見極めます。融資通過が難しい場合は、この時点で正直に伝え、事業計画の改善が必要な点を指摘することも重要な役割です。コンサル側が成果報酬のみを目的として無理な申請を勧めるケースもあるため、慎重な判断が必要です。
事業計画書の作成・修正支援
融資審査において最も重視されるのが事業計画書です。コンサルは、市場分析、競合分析、売上予測、損益計画など、金融機関が納得する根拠のある内容に整形します。
経営者が粗案を提供すれば、コンサルが修正・ブラッシュアップするケースもあれば、コンサル側が一から作成するケースもあります。重要なのは、単に見た目が立派な書類を作成するのではなく、金融機関の審査基準に合わせた説得力のある計画書に仕上げることです。特に、売上根拠が曖昧だったり、経費計算に信頼性がないと、審査担当者の心証は悪くなります。
提出書類の準備と審査サポート
融資申請には、事業計画書以外にも多くの提出書類が必要です。商業登記簿謄本、決算書、自己資金証明、資金繰り表など、不備があると再提出を求められます。
コンサルは、必要書類のリストアップ、各書類の不備チェック、金融機関ごとの書類要件の確認など、申請手続きの効率化をサポートします。初めての申請者にとって、この準備段階の手続き支援は時間と手間の大幅な削減につながります。
面談対策と本番サポート
融資審査では、金融機関との面談が実施されることがほとんどです。面談での印象や応答内容が審査結果に大きく影響します。
コンサルは、想定問答集を作成し、模擬面談を通じて本番への対策を行います。「どのような質問が予想されるか」「どう答えるべきか」を事前に練習することで、本番での自信や説得力が格段に向上します。ただし、金融機関の中には、コンサルの面談同席を敬遠する傾向もあるため、対策として事前準備に重点を置くケースが多いです。
融資後の経営サポート
融資が実行された後も、コンサルがサポートを継続することがあります。資金繰り管理、経営計画の見直し、追加融資の検討など、経営安定期へのサポートを行うコンサルも存在します。単に「融資を通す」だけでなく、事業の成長段階に合わせた伴走支援をしてくれるコンサルは、長期的なパートナーとして高い価値があります。
創業融資コンサルの相場と費用体系
創業融資コンサルの費用は、相談先によって大きく異なります。適切な価格設定とそうでない場合の見分け方を理解することが、優良なコンサル選びの第一歩です。
成果報酬型が一般的
最も一般的な費用体系は「成果報酬型」で、融資成功時に融資額の3~5%を手数料として支払う形式です。出資法により、コンサルが請求できる報酬は融資額の5%までと定められているため、5%を超える手数料を提示するコンサルは要注意です。
成果報酬型のメリットは、融資が成功しなければ費用を支払わなくてもよい点です。起業家の立場からすると、リスクが低く利用しやすい体系といえます。
着手金がかかるケースもある
一部のコンサルティング会社では、成果報酬に加えて着手金を請求することがあります。着手金相場は10万円~50万円程度が一般的ですが、中には高額な着手金を要求する業者も存在します。
着手金が高いほど、経営者の負担が大きくなるため、避けるべき傾向にあります。理想は「成果報酬のみ」「着手金なし」という条件のコンサルを選ぶことです。
顧問契約の相場
融資成功後、継続的にサポートを受ける場合は、月額顧問料が発生することもあります。顧問料相場は月3~10万円程度が一般的で、税理士顧問と組み合わせると月5~15万円程度になるケースもあります。
融資後の事業運営安定化、税務申告、資金繰り管理までトータルサポートを受けるなら、顧問契約も検討する価値があります。
創業融資コンサルと税理士の違い|どちらに依頼すべきか
創業融資サポートを依頼する際、融資コンサルと税理士のどちらに依頼するかは重要な選択です。両者の役割と特徴を理解することが、最適な選択につながります。
融資コンサルの特徴
融資コンサルは、金融機関の審査基準や融資ロジックに詳しい「融資のプロ」です。元銀行員や金融機関出身者が多く、どのような事業計画が金融機関に評価されやすいか、どのような書類作成が審査通過につながるかを熟知しています。
融資獲得に特化しているため、融資審査における戦略的なアプローチが得意です。ただし、融資後の税務申告や会計管理については、サービス範囲外であることが多い点が特徴です。
税理士の特徴
税理士は、会計知識と税務知識に基づいた数字の信頼性を高める「会計のプロ」です。融資審査では、事業計画書の売上予測や経費計算が、会計的に正当性があるかが重視されます。
税理士が支援した場合、「国家資格を持つ専門家による審査」というフィルターが金融機関から信頼を得るため、融資成功率が向上する傾向にあります。さらに、融資後の税務申告や経営管理まで一連のサポートが可能な点も大きなメリットです。
結論:税理士への依頼が有利な傾向
融資成功率やサポートの質を総合的に判断すると、税理士への依頼が有利な傾向にあります。実際、税理士に依頼した場合の融資成功率は90%程度に達することもあり、融資コンサルのみの依頼よりも高いとのデータがあります。
ただし、特定業種での市場分析や競合分析が必要な場合は、業種専門のコンサルと税理士の両者に依頼するハイブリッド型のアプローチも効果的です。
失敗しない創業融資コンサル選びの5つのポイント
創業融資コンサル選びで失敗しないためには、複数の視点から慎重に比較検討することが重要です。以下の5つのポイントを押さえれば、優良なコンサルを見分けることができます。
1. 実績と成功事例を確認する
コンサルのホームページに掲載されている成功事例やクライアント企業の融資成功率を確認しましょう。「融資成功率95%」といった数字があれば、信頼性の目安になります。
ただし、数字だけでなく、自分の事業内容に近い成功事例があるかを確認することも重要です。例えば、飲食店で起業する予定なら、飲食業での成功事例が多いコンサルを選ぶべきです。
2. 費用体系と料金表示の透明性
着手金と報酬率が明確に表示されているかを確認します。「相談無料」という触れ込みでも、実際には高額な手数料を請求される可能性もあります。
契約前に書面で費用条件を確認し、後々のトラブルを防ぎましょう。理想は「成果報酬5%以内」「着手金なし」という条件です。
3. 対応する融資制度の専門性
日本政策金融公庫、制度融資、銀行融資など、複数の融資制度がある中で、どの融資制度が得意かを確認します。コンサル側の専門分野と、あなたの融資ニーズが合致しているかが重要です。
例えば、初めての起業で自己資金が限定的なら、日本政策金融公庫に強いコンサルを選ぶべきです。
4. ヒアリングと相性の確認
実際に相談する前に、複数のコンサルから無料相談を受けることをお勧めします。ヒアリング時に、コンサルタントが「自分の事業をしっかり理解しようとしているか」「無理な融資申請を勧めていないか」を判断できます。
コンサルタントとの相性が良く、信頼できると感じられることが、良好な支援につながります。
5. 認定支援機関資格の有無
経営革新等認定支援機関の資格を持つコンサルは、一定の知識と経験を備えた専門家として認定されています。この資格の有無は、コンサル選びの参考になります。
創業融資コンサルを利用すべき人・不要な人
創業融資コンサルのサポートは、すべての起業家に必須ではありません。自分がコンサル依頼の対象かどうかを見極めることが重要です。
コンサル依頼をお勧めする人
初めて融資申請をする人、融資知識がない人、創業期で業務多忙の人には、コンサル依頼をお勧めします。特に、高額な融資を希望する場合や、複数の融資制度から最適なものを選択したい場合は、プロのアドバイスが大きな価値を持ちます。
コンサル不要な場合
銀行員や税理士として融資業務の経験が豊富な人、既に複数の融資経験がある人は、コンサル依頼が必須ではありません。ただし、新規事業への融資申請の場合は、業種特有の知識が必要になるため、依頼を検討する価値があります。
創業融資コンサル利用時の注意点と落とし穴
コンサル利用で失敗しないためには、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。
悪質な業者に注意
出資法の上限である5%を超える手数料を要求するコンサルは、悪質業者である可能性が高いです。また、「必ず融資が通る」「審査に落ちたら全額返金」といった過度な約束をするコンサルも避けるべきです。
コンサルに任せきりにしない
融資成功のためには、経営者自身も事業計画に対して真摯に向き合う必要があります。コンサル主導で書類作成が進まないよう、経営者側も積極的に意見を述べ、プロセスに参加することが大切です。
複数の相談先を検討する
一つのコンサルだけに頼るのではなく、複数のコンサルから相談を受けることをお勧めします。異なる視点から複数のアドバイスを受けることで、最適な判断ができるようになります。
まとめ|創業融資コンサル活用で成功確度を高める
創業融資コンサルの選択と活用は、起業家にとって重要な経営判断です。相場、実績、費用体系、専門性を総合的に判断し、信頼できるパートナーを選ぶことが成功への第一歩です。
特に初めての融資申請の場合、プロのサポートを受けることで融資成功率が大幅に向上し、事業開始までの時間短縮にもつながります。ただし、コンサルに「任せきり」にするのではなく、経営者自身も積極的に関わることで、融資後の事業運営も円滑になるでしょう。
信頼できるコンサルとのパートナーシップを通じて、創業融資成功を実現し、安定した事業スタートを切ることをお勧めします。

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金融機関の融資審査では、以下のような基準が重視されます。
・開業予定の業種に関する経験や実績
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