創業融資 金利|2025年最新版|日本政策金融公庫の金利を下げる方法を徹底解説

創業融資を検討しているけれど、金利がどのくらいかかるのか不安を感じていませんか。

創業融資の金利は一般に1%〜3%台で、2025年現在の日本政策金融公庫の基準金利は2.3%〜3.35%程度です。

本記事では、創業融資の金利相場から金利を下げる方法、総返済額の計算方法まで、実践的な情報を徹底解説します。

この記事の監修

中小企業診断士 関野 靖也

大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。

中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士

創業融資の金利相場|2025年最新情報

創業融資の金利は融資制度や金融機関によって異なります。まずは主要な創業融資の金利相場を理解し、自分に適した制度を選びましょう。

日本政策金融公庫の金利(2025年最新)

日本政策金融公庫の新規開業資金の金利は、2025年2月時点で以下の通りです。

 

基準金利は年2.30%〜3.35%で、無担保・無保証人での借り入れの場合、この金利が適用されます。特別利率が適用されると、基準金利から0.4%〜0.9%程度引き下げられ、年1.75%〜2.70%程度になります。

 

女性、35歳未満の若者、55歳以上のシニア起業家の場合は、特別利率Aが適用され、年1.91%〜2.86%程度となります。技術・ノウハウ等に新規性がある事業の場合は、特別利率Bが適用され、年1.75%〜2.70%程度です。

 

雇用拡大を図る場合は、特別利率Cが適用され、年1.65%〜2.60%程度とさらに低くなります。金利は金融情勢によって毎月見直されるため、申し込み時期によって若干異なる可能性があります。

 

最新の金利情報は、日本政策金融公庫の公式サイト「国民生活事業(主要利率一覧表)」で必ず確認しましょう。

自治体の制度融資の金利

自治体の制度融資は、日本政策金融公庫よりも低金利になるケースが多いです。

 

金利は自治体によって異なりますが、年1.0%〜2.5%程度が一般的です。東京都の創業融資では、年1.9%〜2.5%程度(2025年時点)で、一部の区では利子補給により実質的な負担がさらに軽減されます。

 

例えば新宿区では、金利の3分の2を区が補助するため、実質負担は年0.6%〜0.8%程度になります。神奈川県の創業支援融資では、年1.2%〜2.0%程度で、保証料についても一部補助があります。大阪府の開業サポート資金では、年1.4%〜2.3%程度となっています。

 

ただし制度融資の場合、金利とは別に信用保証協会の保証料が年0.3%〜1.5%程度かかります。保証料は融資額や返済期間によって異なりますが、通常は融資額の1%前後が目安となります。

民間金融機関の創業融資の金利

地方銀行や信用金庫の創業融資は、金利が年2.0%〜4.0%程度と幅があります。

 

取引実績や担保の有無、事業計画の内容によって金利が大きく変動します。信用金庫は地域密着型の経営を行っているため、地元で創業する場合は比較的低金利で融資を受けられる可能性があります。

 

一方、メガバンクの創業融資は金利が年3.0%〜5.0%程度と高めになる傾向があります。ビジネスローンの場合は、審査が緩い代わりに金利が年4.0%〜18.0%と非常に高くなります。

 

創業期は日本政策金融公庫や自治体の制度融資を優先的に検討し、民間金融機関の創業融資は補完的に活用するのが賢明です。

創業融資の金利を下げる5つの方法

日本政策金融公庫の創業融資では、一定の条件を満たすことで金利を引き下げることができます。特別利率の適用を受けることで、年0.4%〜0.9%程度の金利引き下げが可能です。

方法1:女性・若者・シニア起業家支援資金を利用する

女性、35歳未満の若者、55歳以上のシニアによる起業の場合、特別利率Aが適用されます。

 

基準金利から約0.4%の引き下げとなり、年1.91%〜2.86%程度で借り入れが可能です。この制度は、年齢や性別の要件を満たしていれば、特別な手続きなく自動的に優遇金利が適用されます。

 

例えば、1,000万円を10年で借り入れた場合、金利が0.4%下がることで総返済額が約20万円減少します。該当する方は必ずこの制度を活用しましょう。審査基準は新規開業資金と同じですが、金利面で大きなメリットがあります。

方法2:技術・ノウハウに新規性がある事業として認められる

技術・ノウハウ等に新規性がある事業を行う場合、特別利率Bが適用されます。

 

基準金利から約0.6%の引き下げとなり、年1.75%〜2.70%程度で借り入れが可能です。新規性の判断基準は、「新商品の開発・製造」「新サービスの開発・提供」「新技術の企業化」などです。

 

IT系のスタートアップや、独自の技術を活用した製造業、革新的なサービスモデルなどが該当する可能性があります。ただし新規性の判断は日本政策金融公庫が行うため、事業計画書で明確に説明する必要があります。

 

どのような点が新しいのか、既存のサービスとどう違うのかを具体的に示しましょう。

方法3:雇用創出効果をアピールする

雇用拡大を図る事業の場合、特別利率Cが適用されます。

 

基準金利から約0.7%の引き下げとなり、年1.65%〜2.60%程度で借り入れが可能です。雇用創出の要件は、事業計画において雇用の増加が見込まれることを示すことです。

 

創業時から従業員を雇用する計画がある場合や、事業拡大に伴って雇用を増やす計画がある場合に適用されます。事業計画書に、採用計画や雇用人数の見込みを具体的に記載することが重要です。

 

ただし雇用創出を理由に特別利率の適用を受けた場合、実際に雇用を創出することが求められます。

方法4:担保を提供する

担保を提供することで、金利をさらに引き下げることができます。

 

不動産などの担保を提供する場合、基準金利から1.0%〜1.5%程度引き下げられるケースがあります。ただし創業融資の大きなメリットは無担保・無保証で借りられる点なので、担保提供は慎重に検討すべきです。

 

担保を提供すると、事業がうまくいかなかった場合に担保を失うリスクがあります。自宅を担保に入れると、最悪の場合、住む場所を失う可能性もあります。

 

金利を下げるためだけに担保を提供するのは推奨できません。

方法5:認定支援機関の支援を受ける

認定支援機関(税理士、中小企業診断士など)の支援を受けて事業計画を策定することで、中小企業経営力強化資金が利用できます。

 

この制度では特別利率が適用され、通常よりも低い金利で借り入れが可能です。また認定支援機関が関与することで、事業計画の質が向上し、審査でも有利に働きます。

 

金利面だけでなく、審査通過率の向上や融資額の増額にもつながる可能性があります。認定支援機関への報酬は発生しますが、長期的な金利負担の軽減を考えれば、投資価値は十分にあります。

金利による総返済額の違いを計算する

金利がわずか0.5%違うだけで、総返済額は数十万円変わります。具体的な計算例を見て、金利の重要性を理解しましょう。

1,000万円を10年で借りた場合の比較

日本政策金融公庫から1,000万円を返済期間10年(120ヶ月)で借りた場合を比較してみます。

 

金利2.3%(基準金利)の場合、月々の返済額は約93,000円で、総返済額は約11,160,000円です。利息の総額は約1,160,000円となります。

 

金利1.9%(特別利率A)の場合、月々の返済額は約91,700円で、総返済額は約11,004,000円です。利息の総額は約1,004,000円となり、金利2.3%の場合と比べて約156,000円の節約になります。

 

金利1.65%(特別利率C)の場合、月々の返済額は約90,800円で、総返済額は約10,896,000円です。利息の総額は約896,000円となり、金利2.3%の場合と比べて約264,000円の節約になります。わずか0.65%の金利差でも、10年間では約26万円もの違いが出るのです。

返済シミュレーションの活用方法

日本政策金融公庫の公式サイトには「事業資金用 返済シミュレーション」があります。

 

借入金額、返済期間、金利を入力するだけで、月々の返済額や総返済額を簡単に計算できます。このツールを活用して、自分の希望する融資額での返済計画を事前にシミュレーションしておきましょう。

 

複数の金利パターンで計算することで、特別利率適用の効果を具体的な金額で把握できます。また返済期間を変えてシミュレーションすることで、月々の返済負担と総返済額のバランスを検討できます。

 

返済期間を長くすれば月々の負担は軽くなりますが、総返済額は増加します。事業の収支計画と照らし合わせながら、最適な返済計画を立てることが重要です。

据置期間を設定した場合の影響

据置期間(元金返済を猶予し、利息のみを支払う期間)を設定した場合、総返済額は増加します。

 

例えば、1,000万円を金利2.0%で借り、据置期間6ヶ月を設定した場合を見てみましょう。据置期間中は月々約16,700円(利息のみ)の支払いとなります。

 

据置期間後の返済期間は9年6ヶ月(114ヶ月)となり、月々の返済額は約95,000円です。総返済額は約11,130,000円で、据置期間なしの場合(約11,100,000円)と比べて約30,000円増加します。

 

据置期間を設定すると利息負担は増えますが、創業直後の資金繰りを安定させる効果があります。事業が軌道に乗るまでの期間を考慮して、適切な据置期間を設定することが重要です。

金利だけで融資を選んではいけない理由

創業融資を選ぶ際、金利だけを基準にするのは危険です。総合的な条件を比較して、自分に最適な融資を選びましょう。

保証料の負担を考慮する

自治体の制度融資や信用保証協会付き融資では、金利とは別に保証料がかかります。保証料は通常、融資額の0.3%〜1.5%程度で、創業融資の場合は1%前後が一般的です。

 

例えば、1,000万円を5年で借りた場合、保証料は約50万円になります。金利が年1.5%でも、保証料を年換算すると0.2%相当となるため、実質金利は年1.7%程度になります。

 

一方、日本政策金融公庫の融資は保証料が不要なため、金利2.0%の場合でも実質的な負担は変わらない可能性があります。金利だけでなく、保証料を含めた総コストで比較することが重要です。

融資実行までの期間

日本政策金融公庫は、申し込みから融資実行まで通常2週間〜1ヶ月程度です。

 

一方、自治体の制度融資は、自治体・金融機関・信用保証協会の三者が関与するため、1ヶ月半〜2ヶ月程度かかります。金利が低くても、融資実行が遅れることで開業時期がずれると、機会損失が発生する可能性があります。

 

特に物件の契約や設備の発注など、タイミングが重要な場合は、融資実行のスピードも考慮すべきです。急ぎの資金需要がある場合は、多少金利が高くても日本政策金融公庫を優先するのが賢明です。

無担保・無保証人のメリット

日本政策金融公庫の創業融資は、無担保・無保証人で利用できます。

 

法人代表者の個人保証も不要なため、万が一事業がうまくいかなくても個人資産を守ることができます。一方、制度融資や民間金融機関の融資では、法人代表者が連帯保証人になることが一般的です。

 

金利が0.5%低くても、個人保証のリスクを考えると、日本政策金融公庫の方が総合的に有利なケースも多いです。特に初めての起業で不安がある場合は、無担保・無保証で借りられることの価値は非常に大きいといえます。

創業融資の金利交渉は可能か?

結論から言うと、日本政策金融公庫の創業融資で金利交渉をすることは困難です。

 

金利は制度で定められており、個別の交渉で変更されることはほとんどありません。金利を下げる唯一の方法は、特別利率の適用要件を満たすことです。

 

女性・若者・シニア起業家である、技術・ノウハウに新規性がある、雇用創出効果が見込まれるなどの条件を満たしましょう。また事業計画の内容を充実させることで、より有利な条件での融資を引き出せる可能性があります。

 

売上予測の根拠を明確にする、市場分析を詳細に行う、競合との差別化ポイントを明確にするなどの工夫が重要です。民間金融機関の場合は、ある程度の金利交渉が可能なケースもあります。ただし創業期は実績がないため、交渉の余地は限られています。

 

複数の金融機関に相談し、条件を比較しながら最適な選択をすることをおすすめします。

まとめ

創業融資の金利は、2025年現在、日本政策金融公庫で年2.3%〜3.35%程度が基準となります。

 

特別利率が適用されると、年1.65%〜2.70%程度まで引き下げることができます。金利を下げる方法として、女性・若者・シニア起業家支援資金の利用、技術・ノウハウの新規性のアピール、雇用創出効果の強調、認定支援機関の支援を受けることなどがあります。

 

金利だけでなく、保証料の有無、融資実行までの期間、無担保・無保証のメリットなども総合的に考慮して融資を選びましょう。わずか0.5%の金利差でも、長期的には数十万円の違いが出るため、できる限り低金利で借りることが重要です。

 

本記事で解説した内容を参考に、最適な条件で創業融資を獲得し、事業を成功に導いてください。

現状の準備で創業融資を受けられるか、不安はありませんか?

金融機関の融資審査では、以下のような基準が重視されます。

・開業予定の業種に関する経験や実績
・融資希望額に対してどの程度の自己資金を準備しているか
・信用情報や返済に関する過去の履歴

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