補助金採択率を上げる!申請書の書き方と審査で見られるポイント

補助金の採択率を上げたい——。
そう考えている中小企業や個人事業主の方は多いのではないでしょうか。
設備投資や新規事業の立ち上げにとって補助金は非常に魅力的な制度ですが、「申請したけれど通らなかった」「書き方がよくわからない」「そもそも何をアピールすればいいのか」と悩む声も少なくありません。

実際、同じ内容の事業でも**「伝え方」ひとつで採択結果が変わる**ことがあります。
補助金は単なる申請書類の提出ではなく、「自社の将来性を審査員にプレゼンする機会」なのです。つまり、どんなに良い事業計画でも、正しく伝わらなければ評価されないという現実があります。

本記事では、これまでに300件以上の補助金申請支援を行ってきた中小企業診断士監修のもと、
「採択される申請書」を作るための考え方と書き方のコツをわかりやすく解説します。

この記事の監修

中小企業診断士 関野 靖也

大学卒業後、大手IT企業にて、システムエンジニアとして勤務。株式会社ウブントゥ創業後は補助金申請支援実績300件以上、経営力向上計画や事業継続力向上計画など様々な公的支援施策の活用支援。

中小企業庁 認定経営革新等支援機関
中小企業庁 情報処理支援機関
中小企業庁 M&A支援機関
一般社団法人 東京都中小企業診断士協会
経済産業大臣登録 中小企業診断士

目次

【第1章】なぜ「採択率の差」は生まれるのか?

同じ業種・同じ補助金に応募しても、採択される企業とそうでない企業がはっきり分かれます。この「採択率の差」は、運ではなく“準備と表現の差”によって生まれるものです。

補助金の審査では、事業の内容だけでなく、「経営者が自社の課題をどう捉え、どのような戦略で解決しようとしているか」というストーリー性と一貫性が重視されます。つまり、書類を読む審査員が「この企業は本気で取り組んでいる」と納得できるかどうかが、採択の分かれ目なのです。

一方で、多くの申請書は「事業概要」や「目的」の欄が抽象的で、どの企業にも当てはまりそうな表現にとどまっています。「売上を伸ばしたい」「効率化を図りたい」など、目的が曖昧なままでは審査員の心を動かすことはできません。補助金申請は“形式的な作業”ではなく、“自社を語るプレゼン”です。その意識の違いが、採択率に直結します。

【第2章】補助金申請書に求められる3つの基本要素

採択される申請書には、必ず3つの共通点があります。

それは「課題の明確化」「解決策の具体化」「成果の数値化」です。

これらが欠けると、どんなに立派な設備導入計画であっても説得力が弱まります。

要素

ポイント

課題の明確化

 「なぜ今この投資が必要なのか」を、データや現場の課題をもとに明確に説明する。

解決策の具体化

導入する設備・システム・人材が、課題解決にどう直結するのかを論理的に示す。

成果の数値化

 補助金投入によって、売上・利益・生産性などがどのように向上するかを数値で示す。

たとえば「業務効率化を図る」と書くだけでは弱く、「既存システムでは月80時間発生している手入力業務を、新システム導入により月20時間まで削減し、人件費で年間○○万円の削減を見込む」と書けば、説得力が格段に増します。審査員が重視するのは“効果の見える化”です。数値で語ることで、事業の実現性とインパクトを伝えられます。

【第3章】審査員がチェックする5つの評価ポイント

審査員は何百件もの申請書を短時間で読みます。その中で“採択したい”と思わせるには、評価基準を理解した上で構成することが重要です。

一般的に審査で見られるポイントは、以下の5つです。

評価項目

審査員が見る視点

① 事業の目的と背景

社会的・経済的な課題に対応しているか、時流に合っているか。

② 事業の実現可能性

計画が現実的か、必要な体制や資金が整っているか。

③ 波及効果・持続性

効果が一時的でなく、中長期的な発展につながるか。

④ 新規性・創意工夫

他社にない特徴や新しい取り組みがあるか。

⑤ 数値的根拠

売上予測・コスト削減効果など、客観的な根拠が示されているか。

この中で特に重要なのが「実現可能性」と「数値的根拠」です。補助金は“公的資金”ですから、採択されても実行できない計画や、根拠のない数字は最も嫌われます。逆に、地に足のついた計画で、明確なデータを示す企業は高く評価されます。

【第4章】採択率を上げるための「書き方の工夫」

申請書の良し悪しは“伝え方”で大きく変わります。

特に意識したいのは、「見やすさ」「一貫性」「感情の動き」です。

まず、見やすさ。審査員は文章をじっくり読む時間がないため、改行・小見出し・太字の使い方が重要です。視線を誘導するように構成し、要点を冒頭で述べることで理解が早まります。

次に、一貫性。申請書の各項目がバラバラな主張をしているケースがよくあります。「目的」で掲げた課題と、「事業内容」で説明している取り組みが一致していないと、一貫性を欠いた印象になります。章ごとのメッセージをそろえ、ストーリーとして流れるように構成することが大切です。

最後に、感情の動き。数字だけでは人の心は動きません。「コロナ禍で来店客数が半減し、従業員の雇用を守るために新事業を立ち上げた」など、企業が抱える“想い”を一文でも入れることで、申請書が人間味を帯びます。審査員も同じ人間です。共感を生む言葉が、最終的な印象を左右します。

【第5章】よくある失敗パターンと改善のヒント

補助金申請の現場でよく見られる失敗には、一定のパターンがあります。

その多くは「もったいない書き方」に起因します。

たとえば、計画書の中で「新しい機械を導入して業務を効率化します」とだけ書いているケース。これでは“なぜその機械なのか”“どんな効果があるのか”が伝わりません。具体的な比較や数値がないと、計画の説得力が極端に下がります。

また、「自社の強み」が正しく表現されていないケースも多いです。単に「地域密着型である」と述べるより、「開業以来20年間、同一地域で顧客満足度アンケート90%以上を維持している」と書くことで、同じ事実でも印象がまったく違います。審査員が“実績と信頼”を感じる表現を意識しましょう。

さらに、「補助金ありきの事業計画」も危険です。補助金を使うための計画ではなく、補助金がなくても実行したい事業であることを前提に描くことが、信頼を高めるポイントです。補助金は「助成」であり、「依存」ではありません。

【第6章】成功企業が実践した“採択される”申請の秘訣

実際に採択率80%以上を達成している企業では、申請書作成前の「準備段階」に多くの時間をかけています。成功の鍵は、“書く前に整理する”ことです。

ある製造業では、補助金コンサルタントのサポートを受け、事業の課題を図で整理しました。

売上構成、工程ごとのボトルネック、改善に必要な投資額などを可視化したうえで申請書に落とし込んだ結果、「課題が明確」「改善効果が具体的」と高く評価され、見事採択されました。

もう一社、ITサービス業では、過去の不採択理由を分析して再挑戦しました。前回は「市場性の説明不足」が指摘されたため、今回は競合比較表を加え、市場ニーズを数値で示す形に改善。採択通知を受けた後の担当者は「書き方を変えただけで見え方が全く違った」と語っています。

つまり、“書く前の設計図”がある企業ほど強い。採択率を上げる秘訣は、書類づくりではなく、“事業の伝え方設計”にあります。

【第7章】業務代行・補助金コンサルを活用するメリット

補助金申請は、制度ごとにフォーマット・評価軸・専門用語が異なり、慣れていない企業にとって大きな負担になります。そのため、近年では「業務代行」「補助金コンサル」を活用して採択率を高める企業が増えています。

専門家を活用する最大のメリットは、採択される構成と表現を熟知していることです。審査員が重視するポイントを理解した上で、内容をロジカルに整理し、表現を最適化してくれます。また、企業側が書きづらい「数値計画」「KPI設定」「根拠資料の整備」までを代行できるため、負担を大幅に減らせます。

サポート内容

効果

事業計画の整理・構成設計

論理の流れが明確になり、読みやすい書類になる

成果目標・数値シミュレーション

定量的な根拠を補強し、採択率を向上させる

制度選定・スケジュール管理

適切な補助金を選び、期限内に確実に申請できる

書類作成・添削サポート

表現の精度を上げ、ミスによる減点を防ぐ

また、専門家が入ることで「客観的な第三者の視点」が加わり、審査員の目線に近い形で改善を重ねることができます。結果として、初めて申請する企業でも採択率が大幅に上がるのです。

【第8章】まとめ:補助金申請は「準備力」と「伝える力」で決まる

補助金は、ただ“出せば通る”ものではありません。採択される企業は、すべてに共通して「事業をどう見せるか」という伝える力に長けています。審査員に「この企業は必ず成果を出す」と思わせる計画書を作るためには、課題を深く掘り下げ、解決の道筋をデータで裏付けることが不可欠です。

もし、これまでに申請をしたが不採択に終わった場合でも、それは“チャンス”です。不採択理由には、必ず改善のヒントが隠れています。

「書き方のコツ」を理解し、専門家とともにブラッシュアップすることで、次回の採択率は大きく変わります。

採択される申請書には、理由があります。
あなたの事業計画を、“通る計画書”へ。

補助金申請の書き方に悩んでいませんか?
私たちは、申請書作成の代行から採択後のフォローまでを一貫サポートしています。
採択率を高めたい方は、まずはお気軽にご相談ください。

無料相談する

ProdXマガジン